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相談

私がフィオ様に相談したい事は、ずばりピーラーとスポーツドリンクの開発と販売だ!厨房でお皿洗いをしている時に気がついたんだけど、野菜の皮むきは全部包丁とか包丁より小さいナイフとかでやってるみたいなんだよね。それって、やっぱり大変だと思うんだ。

大量に皮をむきたい時にはピーラーを使うと時短になると思う。それに、ピーラーがあれば、包丁とかナイフの扱いに不慣れな人でもお手伝い出来るもんね。もちろん、気をつけなくちゃならないけど。


ピーラーのターゲットは、やっぱり料理人さんと主婦さんだよね。私も日本にいた時にはピーラーを使って皮むきしてたよ。家が貧乏になってからというもの、私が主に料理をしてたんだけど、それは両親が共働きになって忙しそうにしてたっていう理由もあるし、箱入りお嬢様なお母さんに料理のセンスが全くなかったという悲しい理由もあったからだ。

お母さんも慣れない料理を頑張って作ってくれていた。けれど、毎日出てくる料理を食べて子供心に悟ったのだ。お母さんに料理の腕を上げて貰うよりも、私が作った方が早いんじゃないかと。

もちろん、私が料理をするようになってからも、お母さんは料理してくれてたよ。ありがとう、お母さん。


それにしても、今は私がいなくて料理はどうしてるんだろうか。お母さんが作ってるのかな?それとも、玲ちゃんが?玲ちゃんは昔から私のお手伝いをしてくれていたし、私が忙しい時や体調が悪い時には料理をしてくれていたから、大丈夫だとは思うけど。苦労をかけているであろう事に申し訳なく思う。


ーごめんね、玲ちゃん。


私は日本の家族を思い出して、不意に淋しさに襲われた。


ー会いたいよ。


でも、今は我慢だ。

私が少し泣きそうになった時、フィオ様から声がかけられた。


「それで、相談って何だ?」

「あっ。えっと、前にお話した異世界の製品と同じ物の開発と販売についてなのですが、宜しいでしょうか?」

「…はっ?開発と販売…?その様な話は初めて聞いたが?」


フィオ様に言われて、私は驚いた。


「えっ?えっ?初めて?」


私のノートには確かに相談する事の項目に書いてあったんだけど。見間違い?勘違い?それとも、まだ相談してなかったんだっけ?

あっ!前に相談した時って、確か私が泣いて水の魔石を使って貰った時だったっけ!それでか!!あの一連の流れの中で、この相談事は相談出来ずにいたのか!!


ーあ〜、しまったぁ〜!


「ルーナ?大丈夫か?」

「あっ、はい。大丈夫です。申し訳ございません、フィオ様。私、すっかり相談した気でいたのですが、相談出来ていなかった様です」

「えっ、ああ、それは大丈夫だ。それにしても、さっきのルーナの顔……」


フィオ様はそう言うと、顔を俯かせて肩を震わせた。


ーわ、笑ってる!?何で!?私の顔、顔なのか!?


「私の顔がそんなにおかしかったんですか…?」

「えっ!?い、いや、そんな事は…決して…」


フィオ様は否定してるけど…。私、そんなに変な顔してたのか…。えーん。


「フィオ様。子供とは言え、私も女の子ですよ!それを笑うなんて、ひどいですよー!」

「ああ、すまない。失礼だったな」

「いえ、良いですよ。今度から笑わないで下さいね」

「…善処する。それで話を戻すが、開発と販売だったか?」

「はい」

「それで、具体的には何を開発するつもりなんだ?」

「それは、ピーラーとスポーツドリンクです!」

「ぴーらー?すぽー、つどりん、く…?」


フィオ様がたどたどしく言いながら、首を傾げた。


「ピーラーは、皮むき器です。野菜や果物の皮をむく便利な道具なんです」


私はベッドに横になりながら、私は左手で野菜を持って右手で皮をむく動作をして説明した。だけど、これじゃ上手く伝わらないみたい。そりゃ、そうか。


「ふむ。それで、もう1つの物はどの様な物なんだ?」

「スポーツドリンクは、運動した後に飲むのに最適な飲み物ですよ」

「なるほど、飲み物か」

「はい」

「それで、運動した後に飲むのに最適とは、どういう事なんだ?」

「えっ!?」


フィオ様からの質問は、私にとって想定外のものだった。いや、どんな質問がくるかなんて想定すらしてなかった。


「えっ、えーと、運動して汗として体外に出た水分を素早く補給してくれる飲み物…です…」


ーふう。焦ったけど、何とか説明出来た。良かった。

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