表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/74

差し入れ

パーティー会場に戻った私は、手元にある扇子を見て、フィオ様の事が頭によぎった。


ーフィオ様は、今、何をしているんだろう。


私が不参加を言い渡したから、淋しい想いを抱えながらご自分の部屋にいるのかもしれない。そう考えると、とてもフィオ様に申し訳なくなった。

だから、パーティー会場にある料理をお皿に取って差し入れに持って行く事にした。


「ふふふ〜ん。どれが良いかな〜」


まだまだ気分がふわふわしているから、自然と鼻歌が出てくる。ふふふふふーん、ふふふふーん。

フィオ様は晩ご飯を食べているから、あんまり重たくないものが良いよね。軽く食べられるものを選んでいく。


ーあっ!フィオ様が差し入れてくれたケーキも取らなくちゃ!


新しいお皿にケーキを乗せる。出来たら、私も一緒に食べたいと思うから、私の分も取っていく。飲み物も持っていかなくちゃね。冷たいレモネードが気に入ったから、レモネードにする。フィオ様もレモネード、好きかな?一応、フィオ様にもレモネードを用意する事にする。


準備が出来たら、フィオ様の部屋に向かう。フィオ様の部屋に行くのは久しぶりだ。何か話をする時は応接室でするからね。それに、最近はパーティーの準備で忙しかったから、フィオ様とゆっくり会う事自体が久しぶりなのだ。


コンコンとドアをノックしたら、『入れ』と返事が返ってきたから、遠慮なく入る事にする。


「失礼しまーす!」


私がドアを開けながら声をかけると、中から驚いたような声が聞こえてきた。


「ルーナ!?」


何で驚いてるのかな?オルランドさんが来たのかと勘違いしてたのかな?ま、いっか!


「はい!」

「なぜ、ここに?」


フィオ様からの問いに、私は手にしていたトレイを差し出した。


「参加出来ずに淋しい思いをしているんじゃないかと思って、差し入れを持って来ました!」


私は意気揚々と言った。そしたら、なぜかフィオ様に笑われた。何で?


「何かおかしかったですか?」

「いや、何でもない。ありがとう」


フィオ様は私にお礼を言うと、頭をなでてきた。


ーなぜ、頭を撫でられたのでしょう?差し入れが嬉しかったのかな?


少し腑に落ちないけど、まあ良しとしよう。だって、今の私はふわふわした良い気分だからね〜。

部屋の中に入ると、テーブルにトレイを置いた。そして、セッティングしていったんだけど……。ここで、1つ問題が。


「あのー、私も一緒に食べても良いですか?」

「もちろん構わない」

「良かった!ありがとうございます!」


フィオ様の心優しさから、問題は無事解決した。なので、私の分のお皿も並べていく。


ーフィオ様が『良い』って言ってくれて良かったぁー。


フィオ様は身分をひけらかすお方ではないけど、それとこれとは話が別で、一緒に食事をするのは嫌かもしれないと心配してたんだ。ここまで持ってきておいて、『嫌だ』とか言われたら、淋しすぎるもんね。


「お礼を言われるような事ではない。むしろ、ここに1人残されて食べるのも、ルーナに見られながら1人で食べるのも淋しすぎるぞ」

「確かにそうですね」

「では、共に食べるとしようか」

「はい!」


私は笑顔で返事をして、フィオ様の向かいの席に座った。


「パーティーはどうだ?」

「皆、楽しんでますよ。私も楽しいです。フィオ様、ありがとうございます」

「いや、礼を言われる事はしていない。私自身は何もしていないからな」


お礼を言ったら、遠慮?謙遜?をされてしまった。いやいや、フィオ様それは違いますから。


「えー?何言ってるんですか?十分お礼を言われるような事、してるじゃないですか。だって、皆楽しそうですよ?笑顔ですよ?笑ってますよ?それって、すごい事ですよ?それで、それをしたのは、フィオ様なんですよ?だから、フィオ様はちゃんとお礼を受け取らないとダメなんですからね!」


そう言ったら、フィオ様がびっくりしたような顔をしていた。ちょっと畳み掛けすぎちゃったかな?


「…そうか。分かった」


びっくりしてはいたけど、フィオ様は分かってくれた。良かった。


「なら、良いです!あっ、あとケーキもありがとうございました。とっても美味しかったです」

「そうか。それは良かった」


フィオ様は笑顔でそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ