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庭師のお仕事

あれから私は1ヶ月の間、みっちりメイドのお仕事を教わった。今日からは庭師さんのお仕事のお手伝いをする。

でも、メイドのお仕事内容を忘れちゃいけないからって、週に1日はメイド日を設けられているんだけど。


あっ、メイド服は無事頂きましたよ。しかも全部で4着も。掃除をする時用に2着、給仕用に2着。掃除をする用は、汚れても汚れが目立たない様に柄物のドレス?ワンピース?になっている。給仕用は黒い脛丈のドレス?ワンピース?にフリルのついたエプロン、そしてフリルのついた白い帽子。よく見るメイド服ですね。

ちなみにアンナ様達のドレスは足首まである物になっている。私は未成年(設定上だけど)だから、脛丈なんだって。

ベルタさんの裁縫の腕前は素晴らしいものだった。お針子仕事も教えて貰ったけど、ベルタさん程の腕前になるには、まだまだ修練が必要です。うーむ、精進あるのみ。


今、私はオルランドさんに連れられ、庭に向かっていた。その格好は作業着姿だ。いや〜、作業着ってやっぱり楽で良いね。メイド服は丈が長めのスカートだから、しゃがんで立ち上がろうとした時に裾を踏んだりしちゃうんだよね。

ズボンはそんな事もなく、動きやすい。やっぱり動くならズボンだよねー。


庭に着いたら、そこにはハンスさん達が待っていてくれていた。


「ハンス。今日からルーナをお願いしますね」

「ハンスさん、リベリオさん、ラウル、今日から宜しくお願いします」


私が3人に礼をすると、3人も挨拶を返してくれた。


「おう、宜しくな」

「ルーナちゃん、今日から宜しく」

「ルーナ。一緒に仕事が出来て嬉しいよ」

「うん、私も嬉しい」


最初に挨拶した時から、ラウルとは仲良くなっていた。食堂で一緒にご飯を食べたりするよ。その時にする他愛ない話が私の何よりの癒しだよ。ありがとう!ラウル!!


そして、ありがとうございます。フィオ様、オルランドさん、ハンスさん。

ラウルに聞いたんだけど、この国では女性が庭師の仕事をする事はないんだって。それなのに、私の我が儘をきいてやらせてくれたフィオ様。フィオ様に反対せずにいてくれたオルランドさん。そして、何より私を受け入れてくれたハンスさん。この3人には感謝です。ありがとうございます!!!


「とりあえず、最初はラウルに教えて貰うと良い。ラウル、任せたぞ」

「はい!」

「分かりました!」


私とラウルがハンスさんに返事をすると、ハンスさんとリベリオさん、そしてオルランドさんが去って行った。


「ルーナちゃん、頑張れよ」

「では、ルーナ。頑張って下さい」

「はい!ありがとうございます!頑張ります!」


リベリオさんとオルランドさんから激励の言葉を貰い、私はやる気が満ちていった。


「じゃあ、ルーナ。見習いは、最初は道具の準備を覚えるんだ。それを覚えよう」

「分かった」


ラウルが庭師道具が置いてある小屋に連れて行ってくれた。小屋の中には鎌や枝切り鋏、くわなんかが置いてあった。こっちの世界でも、庭師さんの仕事道具は変わらないみたい。見た目も同じだ。

こうして共通点を見つけていくのは面白い。反面、懐かしくて堪らなく淋しくもなるけど。


私は慌てて淋しさを振り払って、小屋の中を見渡した。そこで、小屋の中にあるテーブルが目に付いた。テーブルの上に何かが置いてあったからだ。それは、真っ白な布だった。

ラウルがその布を手に取って、私に手渡してくれた。


「はい、どうぞ」

「?。ありがとう」


『この布は何だろう』と見ると、それは手袋だった。


「これは、草むしりの時とかに使う手袋だよ。これは、ルーナの分だからね」

「分かった。ありがとう」


ーそっかぁ。これは軍手だったんだ。


真新しい軍手は真っ白だ。


「この手袋は、手を保護する物なんだ。手を傷つけたりしないように、これをはめるんだよ」

「分かった」

「草や花には、素手で触ったら危ない物があるから、気をつけるんだよ。トゲがささったり、かゆくなったりするからね」

「うん。気をつける」


バラや漆みたいな植物があるって事だね。『ふむふむ』と、私はオルランドさん(正確にはフィオ様だけど)に支給して貰った紙とペンでメモをした。


その後も、ラウルからたくさん説明して貰った。道具の名前や使い方、手入れの仕方などだ。


ーは〜、覚える事がたくさんだぁ〜。紙とペンをお願いして置いて良かったー。

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