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箱型機械

オルランドさんが用意してくれた機械が何なのかサッパリ分からなかったから、私は早々に白旗を上げて、素直に質問をした。


「これは、何の魔道具なんですか?」

「これは、風魔箱です」

「風魔箱?」


ーって、何?名称からすると、風の魔石を使った箱って事なんだろうけど……。


「どういった時に使うか分かりますか?」

「ええっと……。風を起こしたい時ですよね?……うーん。涼しくしたい時ですか?」

「違います」

「違うんですか…。じゃあ、換気をしたい時ですか…?」

「違います」


無情にも2回共、不正解を言い渡された。


ーむ、難しい。風関係なのは間違いないのに…。


「分かりません」


考えても分からないから、私は降参する事にした。


「これは、風を起こす物ではなくて、吸い込む物なのです。風魔箱は、床をきれいにしたい時に使う物なのですよ。これを使って、床に落ちている埃やゴミ、屑を吸い込んでいくのです」

「あっ!掃除機だ!」


オルランドさんから説明を聞いて、私はピンときた。それって、掃除機だって。


ーへ〜、こっちではそういう名前の上、こんな箱型をしてるんだ〜。面白〜い!


同じ用途で使う物なのに、こんなに形が違うなんて、思いもよらなかった。これで、ブワッと吸い込んでいくのだろうか。興味深い。


「では、早速使ってみましょう」

「はい!」

「その前に、注意点をお話ししますね。この風魔箱は、埃やゴミを認識して吸い込む訳ではありません。風魔箱は、床に落ちている一定の大きさ以下の小さい物を吸い込む様になっています。なので、置いておいただけの小さい物も吸い込まれてしまう事があります。必要な物は、吸い込まれない様にテーブルなどの上に置く様にして下さい。また、落し物には気をつけて下さい」

「分かりました」

「では、こちらにある魔石に触れてみて下さい」

「はい」


私は箱の側面にある風の魔石に触れてみた。すると、箱の蓋?の真ん中が丸く開きだした。つまり、箱の蓋に丸い穴が開いたのだ。

『えっ!?』と驚いたのも束の間、すぐに周りの空気が吸い込まれていき、次に埃や屑が吸い込まれていった。そして、再び蓋の穴が閉じていった。

私が魔石に触れてから蓋の穴が閉じるまで、あっという間に終わってしまった。時間にすると、10秒くらいだろうか。


ーは、早い…。早過ぎる。


観察する時間もなかったくらいだ。でも、これなら掃除もあっという間に終わって良いね。


「どうですか?」

「早過ぎて、びっくりしました。でも、あっという間に掃除が終わって良いと思います。ただ、これだと床以外を掃除出来ないから、少し不便だとも思いました」

「いえいえ、風魔箱は床だけにしか使えない訳ではないのですよ」

「えっ?そうなのですか?」

「はい。見ていて下さい」

「はい」


私は言われた通りに、オルランドさんのやる事を見た。

まずオルランドは、箱の蓋を開けた。蓋は上に持ち上げると、簡単に開いた。蓋は、1つの辺だけ留められていて、他は開く形になっている。分かりやすく言うと、本のページをめくるみたいに開けられる形になっている。


私は、箱の中を覗き込んだ。

箱の中は、真ん中に丸い筒があって、その周りには管があった。


ーまさか!


私が予想した通り、オルランドはその管を手に持った。そして、その管を蓋の丸穴に差し込んだ。


ーやっぱり!管を見た瞬間に分かったよ。管を繋げるってね。


管の先は細くなっていて、細かい所に使える様になっているようだ。


ーああ、こんな感じだよね!


管を繋げたら、一気に見覚えのある掃除機に近付いた。まだこっちに来てから少ししか経ってないのに、この風魔箱を見て、掃除機が懐かしくなった。掃除機が懐かしくなるなんて、ちょっと変だけど。


管を繋げると、もうそれで準備は完了みたいだった。

オルランドさんが風魔箱に付いている風の魔石に触れると、空気が吸い込まれていく音がし出した。

オルランドさんは風魔箱に繋げた管を持って、本棚をきれいにしていく。けど、管の長さには限界があるし、隣の棚をきれいにする時とか、箱を持たないといけないだろう。


ー大変だなー。


と眺めていると、不思議な事に気がついた。

オルランドさんが動くと、風魔箱も付いて行ってるのだ。


「はっ?えっ?どうなってるの?」


よくよく見たら、なんと浮いていた。風魔箱が浮いていたのだ。これなら、タイヤがなくても不便じゃない。多分、風の魔石の力で浮いているのだろう。


ーわぁー!風の魔石って、すごーーい!!



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