プレゼント
良いアイディアが浮かんだ後、オルランドさんがお屋敷で働いてる皆さんに紹介してくれる事になった。頭の中で「月ヶ瀬雫です。宜しくお願いします」って練習してみたら、気がついた。名前ってこのままで変じゃないかな?
どうもこの国は地球で言うところの西欧っぽい。名前もフィオレンツォやオルランドだよ?どう考えたって、私の名前はこの国の名前っぽくない。
外国から来たって言えば良いのかもしれないけど、この国以外の国の名前なんて知らないから、どこの国から来たのか質問されても答えられない。困った。
オルランドさんに相談すると、今日は顔合わせはしないで、フィオレンツォさんの帰宅後相談する事に決まった。良かった。
なので、それまでの間、お屋敷の案内をして貰う事になった。
ーおぉー!!!流石お金持ち!!高そうなものがゴロゴロあるよ。
お屋敷内にはお風呂があったよ。フィオ様用だけじゃなくて、ちゃんと使用人用のもあった。ワァーオ!嬉しすぎる。やっぱり日本人ならお風呂だよね。
使用人用の食事する部屋があった。ここは豪華じゃない。当たり前か。
外にも出て、簡単にお庭と厩舎も案内してくれた。
お庭もすごく綺麗だった。お花がたくさん咲いてた。今はちょうど春だから、たくさん咲いてるんだって。
厩舎は遠目に案内してくれただけだった。中にどんな馬がいるのかは見られなかった。残念。
今日は案内して貰っただけで終わっちゃった。まだ他の人に挨拶出来てないから、食事は部屋でとるように言われた。
「後でお持ちしますね」
「宜しくお願いします」
私が頭を下げると、オルランドさんがニコっと笑ってくれた。
はう〜。オルランドさんはフィオ様とはまた違った感じのイケメンさんなので、眼福です。
オルランドさんは茶髪ーーマロン色の髪ーーで、瞳の色はペリドットの色をしている。フィオ様は正統派王子様な容貌だけど、オルランドさんは優しい雰囲気のある容貌だ。いつも微笑みを浮かべてるから、余計にそう感じるのかも。けど、こういう人って怒らせたら怖そうだよね。怒らせないように気をつけようっと。
背は2人共高いけど、オルランドさんの方がちょっと高い。
そんな2人が並んでる(実際にはオルランドさんは1歩後ろに控えてますけどね)と、絵になる。
コンコン。
ノックの音が聞こえた。オルランドさんが来てくれたみたい。
「はぁーい、どうぞ」
ドアを開けて、食事が乗ってるトレーを受け取ろうとする。けど、オルランドさんが運んでくれた。
紳士〜!
「ありがとうございます」
「どう致しまして」
テーブルに置いてくれたので、お礼を言う。ついでにフィオ様の予定について聞いてみる。
「フィオレンツォ様…じゃなかった、旦那様はいつ頃ご帰宅予定でしょうか?」
「恐らくもう少ししたらご帰宅されると思いますよ。旦那様との話し合いは、旦那様の食後に応接室で行いたいと思います」
「そうなんですね。分かりました」
「旦那様の食事が終わり次第、こちらに呼びに来ますね」
「はい、宜しくお願いします」
オルランドさんが呼びに来てくれるまでに、相談内容とかを考えておかなくっちゃ。オルランドさんが部屋から出て行ったら、早速食べ始めた。今日の晩御飯はパンとシチュー(のような料理)とサラダだった。サラダは少し塩がふってあるけど、何か味気ない。ドレッシングやマヨネーズがあったら良いのに。この国にはないのかな?
そんな事をつらつらと考えながら、パクパクと急いで食べた。
「ごちそうさまでした」
両手を合わせてご挨拶。
それから、デスクの前に行ってノートとシャーペンを用意した。
相談内容を書き出す。
1.異世界に行く(私の場合は帰る)方法があるのか
2.名前
3.出身国はどこかに設定するのか
4.身の上話を考えた方が良いのか
5.服について
6.お給料について
7.プレゼントは何が良いか
とりあえずはこんな感じかな?
そうだ。プレゼントに出来る物と出来ない物に分類しとかないと。
スマホはダメ、生徒手帳もダメ、教科書もダメ、ノートもダメ。
あれ?あげられる物があんまり無い!
筆記用具は、うーん。シャーペンと消しゴムはこれからも使いそうだしなー。ボールペンも使うかな。うーん、赤いボールペンはあげても良い。定規もあげても良い。蛍光ペンもあげても良い。
筆記用具以外だと何かあるかな?
ハンカチは使ってあるからなー。洗ったらあげても良い。けど、こっちにもあるだろうから、ハンカチは除外。ティッシュはあげても良いけど…。もしティッシュを宝物にされたら何となく嫌だなー。
他は、バッグはダメでしょ。あっ、腕時計があった。腕時計はあげても良い。
私の一押しは腕時計だけど、フィオ様は何を選ぶかな〜?楽しみー!




