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お仕着せ

何とかタオルでさらしを作ったけど、難しい問題が私を待ち受けていた。

それは、結ぶとゴワゴワしちゃう問題。試行錯誤した結果、端っこを巻いたところに潜らせて出す事で解決した。良かった。



無事お仕事着を着て、オルランドさんの元に戻る直前、ハタと気がついた。色々な職種のお仕事がしたいってお願いしたから、お仕事着もその分たくさん支給されちゃうんじゃないかって。それって、お金がもったいない!現に、メイド服は用意するって言ってたもんね。私ってば、メイド服嬉しさに気づいてなかった。何てバカ!

オルランドさんにこの服と洗い替え以外はいりませんって言わなくちゃ。

ただ、もし厩舎と庭師さんのお手伝いが出来るようなら、その時には作業着が欲しいけど。


「お待たせしました」

「いえいえ。大きさは大丈夫そうですね。後で採寸して、きちんとしたのを用意しますね」

「えっ?」


ちょっと待って、この服は新しく仕立てた服が用意出来るまでの服なの!?もったいない!


「オルランドさん!!私、そんなに用意して頂かなくても大丈夫です!後、洗い替え用を頂きたいですけど、それ以外はさっきおっしゃってたメイド服もいらないです!」


私が一気に捲し立てると、オルランドさんはちょっと困ったような顔をした。


「いえ、仕事着はきちんと用意致します。用意しないとなると、この屋敷の、ひいては旦那様の品性が疑われる事になります」

「えっ?えっ?そこまでですか?」

「そこまでです」


オルランドさんは重々しく頷いた。


「良いですか?もし来客があった際に、今の服でメイドのする仕事をしていたとします。もしそれをお客様が目撃されたら、お客様はどう感じられるでしょう?」

「えっと、何でメイド服着てないんだろう?ですかね」

「そうですね。その上で、メイド服を用意する金もないのかとか、金はあっても用意しないなんてケチなのか等と思われるのです」

「はい」

「もちろん、そんな事はありません」

「はい」

「それに、使用人に対して仕事着を用意しないなんて、使用人に辛く当たっているのかと思われるかもしれません」

「ええっ!?全くの反対なのに!」

「そうです。全くの反対です。使用人に対して居丈高に振る舞う方はいらっしゃいますが、ウチの旦那様に限ってはその様な事は有り得ません!!」


私はオルランドさんの力説に圧倒された。オルランドさんって、フィオ様が大好きなんですねー。

でも、その力説で理解した。仕事着を用意して貰う事って大切な事なんだって。

その昔、ウチには家政婦さんがいたけど、その家政婦さんが男装してたら…。うん?別にズボン履いててもおかしくないな。それに、制服は特になかったや。

うーん。もしメイドさんが男装してたら?と考えると…。それは有りだね!男装の麗人って憧れるし!ってちょっと脇道に逸れちゃった。

男装でも良いって思えるのは、現代日本人だからだよね。きっと。普通は有り得ないよね。納得。


「分かりました。大人しくメイド服は用意して頂く事にします。でも、他の服はこれで十分です。大きさも問題ありませんし、着心地も良いですし。たくさん用意して頂くのは、心が痛みます!」


私が一生懸命訴えたら、オルランドさんがため息をついてしまった。あれ?何でため息?


「分かりました。その件につきましては、旦那様にお話してみます」

「ありがとうございます!」


それにしても、色々な物をたくさん用意して貰う事に良心が痛むよ。お金持ちのフィオ様にとって、例えその金額が端た金程度であっても。何か、私に出来るお返しはないものか。

あっ!そうだ!!あるじゃん、私に出来るお返し。私にしか出来ないお返しが。

日本の、地球のお話をしよう。それで、私が持ってる物をプレゼントしよう。私が持ってる物なんて、この世界の人にとっては超レアアイテムだもんね〜。


私は自分の素晴らしい考えにムフフと笑った。


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