『産まれ変わる』だけですよ。
限治は、『Next』と檻に閉じ込められていただけの蒼を回収しダルマ状態の男を生まれ変わらせるため家に帰った。
「ただいま。あんなに人がいたなんて知らなかったよ。7分もかかっちゃったよ。ハッハッハ」
まさに狂人。
今の彼を表すのにぴったりである。
「あんた本当に人間か?どう言う事か知らんがとても魅力を感じる」
「まて俺は、ダルマ状態の男に掘られる様な趣味はない。」
「そう言う事じゃないんですがねぇ。それと首領はもう…殺したんですか…?」
「あの程度どの道早く死ぬか遅く死ぬかに違いはない」
「そうですか…」
「それよりお前を生まれ変わらせるといったな」
「はい」
「目を閉じておけ。そして集中しろ。」
限治は、男の額に手を当て深く集中する。
『ー再構成開始ー』
『フェイズ1生命維持クリア』
『フェイズ2肉体状態エラー 四肢の再構築クリア』
『フェイズ3神経接続クリア』
『フェイズ4血液状態クリア』
『フェイズ5精神状態エラー 精神操作クリア』
『フェイズ6因子状態クリア』
『フェイズ1.2.3.4.5.6クリア』
『ー再構成終了ー』
この再構成とは限治の『ヴァレン因子』の能力の一部に過ぎない。
限治の能力は、汎用性が高く大体の事なら『なんでも』できる。
『Normal』『Special』『Origin』
この3つの『ヴァレン因子』には必ず副作用がある。
例えば蒼なら身体能力の低下、マリアなら精神力の低下を人それぞれ差違は、あるが弱点となる。
しかし限治は、その副作用が擬似的にない。
「おいそろそろ何か言ったらどうだ?」
目の前の変わり果てた男がだまっているのに限治は、痺れを切らした。
「私でしょうか主?私は、誰なのでしょうか?そしてここは、いったい?」
この男の洗脳は完璧の様だ。
「お前は、僕の従者だ。ここは、僕の家の地下室だ。今現在僕たちは、違法薬物を辿ってそれを売り捌いてる奴らの始末が任務になっている」
厳密には、マリアと言う少女の護衛なのだが大元を潰した方が良いと判断した限治は、わざと違った情報を教える。
「了解致しました」
「名前を新しくつけてやろう。そうだな『アルファ』なんてどうだ?」
「はっ。ありがたきお言葉。」
「とりあえず今は、そこに転がっている男をリビングのソファで寝かしといてくれ」
さてこれからどうするか…
「マリアの始末か…」
マリアが自分を狙う理由を前に述べていたが『捕獲』ではなく『始末』今後マリアに何か聞けたのなら
マリアが何か情報を持っているのなら洗脳して再度吐かせるべきか…
いや、ないな。
かろうじて残っている限治の人間としての良心が最後の手段として選んだ。
そんな事を考えながらリビングへ戻るとマリアの姿が無かった。
「アルファここに白人の女性がいたはずだがどうした?」
「はっ。私が男性をリビングにお運びした時にはおりませんでした。」
「いなかっただと?」
もしかして催眠がとけた?いや有り得ない僕は冷静に催眠をした。
彼女が連れ去られた?アルファが任務に失敗した時に備え控えがいた?いやだったらマリアは、殺されているはずだ。
とりあえず蒼の能力を使って探さないといけないな。
厳密に言うと限治の能力でもできるのだがやはり一点特化の因子の方が探すのが正確だ。
「うぅぅ…」
蒼が目を覚まし始めた。
「早く起きろ。お前が必要なんだ」
そう言って蒼の肩を叩く。
「限治くん?かい?私はなんで服をひんむかれてるんだい?」
「捕まったのを覚えてないのか?」
「そもそも君は何を言ってるんだ?私に何をしたんだ?初めてを奪ったなら責任を…」
「お前は何を言ってるんだ。いいか今は緊急事態だ。冗談を言ってる暇はない。」
真剣な表情に蒼は釈然としなかった。