『偶然的な』だけですよ。
すみません。
今日は、1本だけです。
「楓なのか?」
お前どんだけ愛想ないんだよ。
店員向いてないんじゃないか?
「楓ちゃんだよね?!」
楓の顔が苦笑いをしている。
マリアは、無邪気に問いかける。
これは、アレだろ。
クラスメイトにバイトしてるのがバレて話仕掛けられるのが怖いって奴だな。
少しフォローしてやるか。
「マリア。この人は、楓じゃない。いいね?」
「でも…」
「店員さんに迷惑を掛けちゃいけないよ?」
引き下がる様に
「うん。分かった。店員さんごめんなさい。」
「え、えっとあ、ありがとうございます。」
楓がぎこちなく答える。
クレープが出来上がり楓が渡す。
僕に渡すとき楓は、言った。
「ありがと。」
「あぁ。迷惑を掛けた。」
挨拶を交わし僕とマリアは、歩いて行った。
「なんで楓と分かったんだ?」
キャップのツバを下げていたにも関わらずだ。
「オーラとかそんな感じので分かった。それより限治きゅんのベリー美味しそう。」
「口をあけてろ。」
そう言って食べかけのベリークレープを食べさせる。
「限治きゅんの味…///」
ただのベリークレープだぞ?
僕の味って何なんだよまったく。
「付けられてるな。」
「そうだね。」
蒼は、いったい何をしているんだ。
連絡が入ってきてない。
協力者がいない状態での行動は、慎重にならないといけない。
「少し泳がせるぞ。」
「了解!」
しかし街をぶらぶら歩いていると道行く人にめちゃくちゃ見られる。
マリアの効果があり過ぎだろ。
「マリア昔から人の視線集めるし私は、慣れてるよー」
僕が慣れないんだよ…はぁ…
家に行こうとしたところ追跡者の反応が消えている。
丁度反応が消えた頃に蒼から確保のメッセージがきた。
家に帰ると
「ね、ねぇ限治きゅん///」
「なんだ?」
「今朝女の子と限治きゅん喋っていたよね?」
「俺は、女と今朝喋ってないぞ?」
マリアは誰の事を言ってるのだろうか全く検討がつかない。
「中性的な子だったよ?」
なるほどマリアは、蒼の事を言ってるのだろう。
「気にするな。そいつは、男だ。」
「そうなの!?」
マリアは、女だと思っていたらしく朝から少し距離を取っていたのもその為である。
「ヤキモチか?」
「うん。限治きゅんが笑ってて羨ましかった。」
洗脳されてるとは、いえ本当に素直な奴だ。
「マリアは、俺を警戒してないか?」
これは、重要な質問だ。
マリアの記憶を植え付ける前にどのような感情だったかが今後僕がマリアにどう接するかが大きく関わってくる。
擬似記憶操作能力にも限界がある。
脳と言うブラックボックスには、時に都合の悪い能力を発揮する。
念の為マリアのナノマシンは、昨日背後に回られた時に停止させていた。
ナノマシンの記憶復元能力を使かわれたらこちらの身の上が危うくなる。
「私はね。限治きゅんがマフィアの手先だと思ってたけど優しい人だって分かった。」
「なら君とマフィアの連中の関係を教えてくれないか?」
慎重に聞き出さねば何が僕が守る為の『僕の正義』かが分からない。
マリアは、真剣な顔で言った。
「私は、マフィアに『Next』の実験サンプルにされていました。」
それは、彼女の能力の凄さに納得のいく答えだった。
指摘や、質問がある場合お教えください。
読んで下さりありがとうございます。