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瞬撃の偽能使い  作者: 更科蜻蛉
第一章 旅する異世界人
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第四話 初クエスト

「お!いたいた」

ユウは[カルニア大森林]に着いて、ゴブリンを見つけ出した。

「三匹か、いけるかな?」

目の前の茂みを少し行ったところにリトルゴブリンを少し大きくした感じの緑の肌の醜悪な顔をした生物が三体で固まっていた。恐らく、あれがゴブリンだろう。

(よし、やるか)

ユウは【異界収納】から、棍棒を取り出し、左斜め前の方へ放り投げる。

すると、物音に気づいたゴブリン達の注意が、棍棒を投げた方向へ向いた。

(古典的だが上手くいったな)

棍棒に注意を向けているゴブリン達の内の一体に右方向に迂回しながら背後から近づく。

「ギィッ!?」

ゴブリンがこちらに気づくと同時にゴブリンを左手のロングソードで斬り捨てる。

そのままの勢いで、【異界収納】からリトルゴブリンから奪った小剣を右手に取り出し、こちらに気づいたもう一匹のゴブリンの喉を突く。

しかし、そこで、三体目のゴブリンに背中を棍棒で殴られた。

(ぐっ!!予想より痛い!)

殴ってきたゴブリンをロングソードで斬り捨て、ステータスを確認する。

――――

ユウ・カザキリ

Lv5

HP64/70

MP190/190

筋力30

耐久17

俊敏34

魔力38

器用23

《スキル》

【異界収納】

【鑑定】

【偽能使い】

【異世界言語、文字取得】

【毒耐性(弱)3】

【魔力操作】

【スマッシュ】

――――

スマッシュという見知らぬスキルが増えていた。恐らく、今のゴブリンの中のどれかが習得していたのだろう。因みに【魔力操作】はギルドで読んだ魔書により習得。

スキル詳細を調べていく。

――――

【スマッシュ】

打撃攻撃時に威力が上がる

【魔力操作】

自身の魔力を意のままに操ることができる

――――

説明がそのまま過ぎると思ったが、どちらも役に立つスキルなので、よしとしよう。とりあえず、状態異常になっていなくて安心し、別のゴブリンを探しに森の奥へと歩いていると、五体のゴブリンが見えた。

(ちょうどいい、【魔力操作】とやらを試してみるか)

右手をゴブリン達のいる方へ突き出し、魔力と思しき物を掌に集中させる。

集中させた魔力はゴブリン達がいる方へと放出された。

ゴウッ!そんな音が響きわたり、ユウの掌から放たれた魔力は、木々を薙ぎ倒しながらゴブリン達に直撃し、土煙を上げた。

土煙が晴れると、そこにはゴブリンの腕や足などが散乱していた。

(威力高すぎるだろ)

今度から使うときは加減に気をつけようと思いつつ、ゴブリン達がいたところへと歩いていく。

そこには、遠くから見えたとおり、ゴブリン達の腕や足もあったが、周りの木々を見ると、真新しい血痕がついていた。

恐らく、今の魔力の放出により、ゴブリン達が吹き飛ばされた結果、木々にぶつかった際に付着したものだろう。

そうやって周りを見渡していると、遠くでゴブリンが叫び声をあげているのが見えた。

そして、その叫び声に呼応するかのようにゴブリンが10体ほど出てくる。しかも、そのうち一体は他のゴブリンより大きく、ユウより少し大きいくらいの体躯だった。しかも何だか出来の良さげな鉈を持っていた。

(何だ?あいつ他のゴブリンよりデカい…異常成長か?)

そんな事を考えながらそのゴブリンの集団を眺めていると、ゴブリン達はこちらに走ってきた。

「あの数は流石にキツそうだな」

そう言いつつも、ロングブレードを構える。

集団の中でも個体差があるようで、段々と、陣形がばらつき始め、最初にこちらに到着したゴブリンは後ろと大きな差を開かせて到着した。

「一番おめでとう」

全力で走ってきて、息切れをおこしているゴブリンの喉に剣を突き刺し、引き抜く。

次に到着したのは、8体同時だった。最初に殺されたゴブリンを見て、単独で突出するのはマズいと悟ったのかもしれない。

一匹のゴブリンがユウに飛びかかった。

しかし、ユウはロングソードから、リトルゴブリンから奪った棍棒に持ち替え、そのゴブリンをほかのゴブリンの本へと打ち返す。【スマッシュ】が発動した影響なのか、かなりのスピードでゴブリンは別のゴブリンと衝突し、2体のゴブリンは、大きな木にぶつかり、赤い花を描いた。

(後6体………とあのデカいのか)

飛びかかったゴブリンの末路に唖然としているゴブリンの首を棍棒から持ち替えたロングソードではね、更にその隣にいるゴブリンを切り裂いたところで、気を取り直したゴブリンに背後から棍棒で殴られる。

(やっぱりなれない内はいてぇな)

しかも、何だか体が動かしにくい、状態異常を貰ったようだ。

動きたがらない体にムチを打ち、何とか残りのゴブリンを片づけると、ようやくデカいゴブリンがやってきて、ユウに向かってその鉈を振り下ろした。

ユウは振り下ろされた鉈をギリギリで回避し、デカいゴブリンの名称を確認する。

(リーダーゴブリン………なるほど、ゴブリンの上位種みたいなもんか)

そんな事を考えていると、リーダーゴブリンは鉈横に薙いだ。

それをユウは【加速】を発動させて避け、突然の加速に驚いているリーダーゴブリンの腹へとロングソードを突き刺した。

しかし、リーダーゴブリンは苦悶の声をあげはするが、致命傷には至っていないようで、雄叫びをあげながらぶんぶんと鉈を振り回している。

(くそ!あれじゃ剣を取りにいけない!何かないか、何か!)

そうやって辺りを見渡すと、先程の魔力の放出の余波を受けて折れかかっている木を見つけた。

(よし、あれならいけるか)

ユウは落ちていたゴブリンの棍棒を拾い、その木へと向かう。

「せぇーの!」

ユウは、拾った棍棒でその木を思い切り殴った。すると、ユウによって最後の一押しをされ、折れかかっていた木が折れ、叫びながら鉈を振り回しているリーダーゴブリンの上へと倒れた。

「ギィィィィィィィィッッッ!」

リーダーゴブリンは叫び声を上げて、倒れてしまい、そのままヒクヒクと痙攣して動かなくなった。

(ふぅ、何とか勝てたか…)

ユウはその場に倒れ込み、体から痺れが無くなるのを待った。

痺れが無くなると、木の下敷きになっているリーダーゴブリンへ向かい、突き刺したロングソードを抜き、腰に差す。

そして、リーダーゴブリンの持っていた鉈も回収し、他のゴブリン達が持っていた棍棒を回収して、ギルドへと達成報告をするべく、もと来た道を戻り始めた。

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