36/39
少しのあいだ
旦那さまが帰ってきた
仕事中に迷惑をかけた私に――いつもと変わらない態度で接してくれた
迷惑をかけたのは私
グルグル廻って落ち込んでいた私に
「ごめんね」と、
旦那さまが謝ることは無いのに言ってくれた
いい歳をした大人のはずなのに――頼って良いって云ってくれているようで―――嬉しかった
甘えすぎては駄目だと自分に言い聞かせながら、旦那さまの言葉を待つ
「明日は休みだから―――、城の中を案内できるよ」
旦那さまの言葉通りに次の日、お城の中を案内してもらった
私が行ってもいい場所や旦那さまが居ない時や困ったときに相談してもいい人を教えてもらった
会話出来る人がいると云うことは良いことだと思う
結婚してから、旦那さまとしか話せる人がいなかった
疲れている時は別に閉じられた世界は本当に狭くて嫌だ




