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結婚式の衣装
結婚相手も知らないで――お使いの人の後を付いて行けば。
ナゼカしらお城の中に誘導され―――て。
長屋と云うか敷地内にある小屋に案内された。
まあ。
この場合、普通の家になるんだろうと思う。
この時代と云うか、この世界の一般的な。
私も今まで、長屋に住んでいたし――。
で、持ってきた荷物を相手の人に渡したかと思うと板の間の広間って云うか。
八畳程の部屋へ追い立てられるように入った。
入りましたけれども………。
なぜか。
なぜか。
人が多いんですが!
で、一応、申し訳程度に座布団が敷いてある所に座って―――目の前、両側に面白そうに見ている人たちが一杯いる。
――――もしかして。
もしかして。
これが結婚式って「やつ」なんですか!
え~と。
私、ウェデングドレスは無理でも新しい着物もなにも。
いつもの普段着だよ
結婚する相手もまだ見てないし、名前も知らないよ!
引きつる顔を隠すために斜めの板の間をじっと見るしかない。




