なんとかして逃げろ!
そうだよ!この年で初めてだなんてコトは絶対ない、が、ここでは。この世界では違うんだろうなぁ。
だったら、犯られて離縁になるんだら先に断って、このまま離縁の方が……そうだ!
相手から断られるんならO.K だよね
そんな私の思いを他所に
「―――俺も初めてじゃないから安心して……」
と、見当違いなコトを云われた。
「あと。あと。私、料理も洗濯もなにも出来ないから!」
女としては情けないかもしれないけれど、なんとかして相手が断ってくれれば……!
「あ~~それは大丈夫」
大丈夫じゃない!絶対にやらないし、出来ない!だって火も点けられないんだら!
そんな私の意志が分かったのか
「俺がいる時には俺が。居ないときには食べられる所があるから……」
他になんか断れらるような事があるか、必死に考えてる内に
「後は、大丈夫だね」
と、確認のように云われて
「あ、私! あなたの顔も見ていない!」
クスリと笑ったような気配がして
「今、目の前にあるでしょうが」
と、当り前のコトを云われたけれども夜目がそんなに利くわけじゃあない自分には顔があるくらいにしか見れない。
「見えないから云ってるの!」
叫んだ私に
「じゃ、さ。明日にはちゃんと俺の顔を見れば良いでしょう」
そう云って、相手の―――旦那さまになる予定の人は手を動かし始めた。




