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脱出経路は
逃げたしたくとも逃げだして、何処へも行く所がなく。
どうとでもなると、本当に逃げたしたら――今まで世話をしてくれた人達に恩を仇で返す形になることに罪悪感が湧く。
そうして。
自問自答している間に時間は過ぎ。
部屋に男の人が入ってきた。
それは、自分の旦那さまになる人で。
今日、初めて会った人で。
顔も見たことが無いのに!
真正面から男の人の顔を見る勇気もなく。
隣に敷いてある布団が意味深に。
―――意味が分からないと云うほど子供でもない。
自分の握りしめている手を見ながら―――。
ここで、相手に宜しくお願いとかって云うんだろう……。
云わなければいけない。
でも。
口から出た言葉は、全く違う言葉だった。
「ごめんなさい! やっぱりあなたとは結婚出来ない!」
と。
書いている時は、危なくないと思ったけれども――やはり、R15にはなるんでしょうか?