どうして、こうなった!
私の名前は、小野里香。名前からして性別は女。年齢は24歳。
極普通の一般人で、特別なにか変った能力とか特殊した技術を持っているわけではない私が、この風変わりな世界に来て早一年近くになろうとしている。
この風変わりな世界は、日本の昔のようで全然違うような世界。まあ、「もどき」と私は思っている。
こちらの世界に来た時に、運良く、着物を着ていて(お茶会に誘われてたからおニューの着物とお茶会用に頼まれていた練り菓子32個を持って)気が付いたら全く知らない街中で。白夢中でも見ているのかと、頬をつねったら痛かった。で、どうしょうもなく立ち尽くしている私だったけれども。
色々と人様に親切にしたお陰で当分の住み込み兼お仕事を見つけられました。
試行錯誤の連続で更に判らないコトだらけの生活も周りの親切な人たちのフォローにより、なんとか此処での暮らしにも慣れてきた今日この頃。
大事件がありました。本当に。
なにかと云うと。
「結婚」
と、云う人生を左右する重要な事が。
はっきり云って、こっちの世界に来て結婚って云う言葉は頭の中には全然無かったし、その文字を突き付けられている現在も全く関係ない。と、思いたいのだけど。
私を雇ってくれている人曰く、「良縁」らしいコト。
何処が!と、叫びたくなるけれども。
確かにこっちの人の婚期は十代の半ばがメイン。
で、私は二十代になってるから、はっきり云って「行き遅れ」の部類に入るのだ。現代じゃあ、結婚のケの字も出ない時期なのに……。
そんな「年増」を如何いうわけか見初めてくれちゃった人がいるらしい。
恋愛結婚に憧れていた私にとっては、「冗談言うなよ、お断り」だって、面と向かって言いたいけれども。
人を改して話を持ち込んだ人は、なんでも「お偉いさん」らしく「絶対に断れない相手」らしい。
それって、何時の時代だよ!
と、叫んだところで、今の時代だよと軽く返事をされるのが落ちだ。
ああ、ホント。
顔も名前も知らない相手に嫁ぐなんて本当に最低だ。
一応、料理もなにも出来ないって相手方には話してあるみたいだけれども―――。
ああ、本当に気が重い。