ゲロっちまった男の話
俺は矢口理玖前世が勇者であることを食事にゲロっちまった。
ゲロを吐きながら自分が勇者という情報を吐いたのだ。
当然周囲からすれば『な〜に言ってんだこいつ』と思うだろう、俺も言われた側ならそう思う
吐いた理由は単純だ、そう食べ過ぎた。
俺がゲロった後幼馴染の阿久津魔美は驚きながら『えっ、あんたあの勇者だったの!? あの時は殺しちゃってごめん』と言い始め…………は?
「ちょっちょちょちょ、ちょっと待ってくれ魔美……勇者だった時の俺を殺したのって魔王なんだけど……マジかよ魔美の前世が魔王なのかよ」
すると俺と魔美の話を聞いていた前の席の男が話しかけてきた。
「話から察するに……お前がレオなんだよな」
レオ……懐かしい、俺の前世の名前だ。
……なんでこの人が知ってるんだよ、もしかして知り合いなのか!? ちょっと聞いてみよう
「俺のこと知ってるみたいだけど、どこで会った?」
「おいおい、忘れたのかよ……まあこの姿じゃ分からねぇよな」
男は姿を変えた。
その姿を俺は知っている
「おっ、お前サラか!!」
サラは俺とパーティーを組んでいた魔導士の一人で"見えざる暗殺者"の異名がついていて……魔導士なのに、大半が物理で攻撃するっていうね……もう魔導士じゃなくて暗殺者名乗ったらって思ってたんだよな
「このサラ様に気づかないなんて、ほんとレオの神経どうなってんの!? それと魔王あんたには負けないから!!」
しかもなぜか俺に対してだけ言い方が少しキツイんだよ、ほんと。
俺は前世の知り合いが二人もいたことから、ふと疑問に思った。
『これはもっといてもおかしくないのでは?』と。
俺は二人に聞いた。
二人の返事は似たようなので、『居てもおかしくないでしょ』という感じだった。
すると店長らしき人が話しかけてきた。
「あの、お客様……正直に申しますと、現在このお店に居られる人……全員知り合いです!! 黙っていて申し訳ありません、我々は死んだ勇者様が転生した世界での監視を命じられてまして姿を変えながら方時も離れず見守っておりました!! なので、勇者様の恥ずかしいあれも……」
「それ以上は言わないでくれ、本当にマジで!!」
「恥ずかしいあれって何よ、言ってみなさいよレオ!!」
「あれって、言ったらあれだよ。察してくれ、な?」
「それ以上は野暮ってものじゃないの魔導士」
まあ俺の恥ずかしいことって言ったって『寂しかったからパーティーメンバーの姿を模したぬいぐるみを作って話しかけた』とかなんだけど。
特にサラにはそんな恥ずかしいこと絶対言えるわけないだろ!!
「だったらその"恥ずかしいこと"を見るまでレオの家に泊まるから、拒否権はないから!!」
サラがそう言い始め魔美まで俺の家に泊まりたいとか言い始めた。
お店の人はさも当然のように『自分たちも行きますから』と。
ほんと騒がしくて……寂しさなんてなくなっちまうな!!
ゲロった甲斐があってもんよ……いやそれはダメだけど。
それからの俺の生活は騒がしくも楽しい日々だった。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
ラーメンを食べていたら突然降ってきました