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その不祥事、お包みします  作者: 輪二
第二章 
28/52

 隊長と別れたオレは《王の鉤爪》の宿舎に戻った。

 そして、そのままぺたりと床に座り込んだ。


 バショウ隊長から聞いた事の真相——。

 それは、あまりにも衝撃的で、オレはすぐには飲み込めなかった。


(そんな……《長虫様》が……)


 ふと、オレは思い立つ。

 急いで故郷から持って来た鞄をあさった。


 取り出したのは、クローから送られて来た手紙の数々だった。


 行方不明になる直前まで何通も送られてきた手紙。

 オレはそれを全て大切にとっておいたのだ。


 もう一度、クローの手紙を最初から読み始める。


 王都に着いて、宿の料金に驚いた事。

 マルーンにはない洒落た店がたくさんある事。

 物珍しい料理を出している食事処があったけれど、勇気が出なくて注文できなかった事。

 トープに向かうため、ヘビワタリに乗る予定だと言う事。



——ミオは言っていたよね。『君の親は、君を捨てたんじゃなくて、王都で君を迎える準備をしてたんじゃないのか?』って。



——『きっとうまく行くよ。王都では、マルーンとは全然違う暮らしが出来るぞ』そう言ってくれたよね。本当にそうだったんだ。



 別れの前にオレがクローに伝えた、偽りの言葉……。


(クロー……一体、君に何があったんだ……)


 オレはクローからの手紙をじっと見つめた後、心を決めて立ち上がった。


(大切なのは……中身だけじゃない……)


 オレの脳裏に、芝居小屋でイブキが言っていた言葉が蘇る。


『問題は中身じゃなくて、()()だ』


 再度荷物をあさり、マッチを取り出す。

 火をつけ、慎重に手紙へかざした。


(……何も起こらない、か)


 今度は手紙の入っていた封筒を手に取る。

 ゆっくりと、焦がさないように、マッチを近づける。


 心臓が、ドクンと跳ね上がった。

 文字が、浮き出てきたのだ。



——オロチに裏切り者あり。



 最初の封筒に、そう書かれていた。


(……《オロチ》——王族に裏切り者? 裏切りって、何の事だ……?)


 オレは震える手で、別の封筒に小さな火をかざす。



——トープに眠る竜。



(……竜? なんの事だ?)


 炙り出された文章に、オレは首を捻る。

 クローがここまでしてオレに伝えたかった事は、一体なんだろう。


 オレは別の封筒を手に取って、新しいマッチを擦る。

 そして、浮き上がった文字を見て、オレは危うく燃えたマッチを取り落としそうになった。



——クーデターの計画。



(クーデター? 裏切りってのは、その事か……待て、それはつまり——)


《オロチ》——王族の中に、クーデターを企んでいる者がいるって事か……。


 オレは居ても立っても居られなくなり、部屋の中をぐるぐると歩き回る。


(クーデター……その計画が存在するとして、どうしてそれをクローが知ったんだ?)

(『トープに眠る竜』と言うのは何の事だ?)

(工業都市トープで、一体何が起こっているんだ?)


 そして、オレは最後の封筒を炎にかざした。

 じわりと文字が現れる。

 オレは最後のメッセージを食い入るように見つめた。


(……なんだ、これは。どう言う事だ……)


 マッチが短くなっていたのにも気が付かなかった。

「アチっ」と声をあげ、慌ててマッチの火を消して捨てる。


 必死に冷静になろうとした。


(クロー……君は一体、何を調べていたんだ?)


 オレは、封筒に書かれている文字を前に、頭を抱えた。

 そこにはこう書かれていた。



——()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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