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67 その後の休日

シウタ。休日


あれから、少し時が経った。


自分は今日も生き延びていた。

嫁が増えすぎて、マジに大変な事になっている。


ほんとに、勢いで気軽に結婚するもんじゃないって。そもそも男性のメリットってあるの?

ねぇ、わかる? 20代中盤で結婚した友達がそろそろバンバン別れるころなの。

永遠の愛を誓ったのに別れるってどういうこと? 女神様の 『無限の愛』 と人の 『永遠の愛』 ってどっちが強いのよ。

出すならVSシリーズものでたのむ、永遠VS無限VSプレデたー。ぽよぽよVSトトリスVSプレデたー。

でも勝つのは、いつもタイトルに居ない人間の勝利だね。大陸作品最高だよ、イカれてる。


別れるカップルが多すぎて、無限の愛を持っていると思われる女神様もそろそろキレると思う。

何より、渡したご祝儀とは何じゃろな? 信頼を裏切ってごめんなさい、と倍に返してもらっていいんじゃないの。

女神様聞いてますか? 未来でも何か世の中いびつです。


――


未来技術にて、あっと言う間に完成した 『新婚帝国宮殿』 の煌びやかな宮殿を逃げるように走っている。


そもそもだ。

ベットの上と医療ポットの中を行き来するのが仕事じゃねーんだよ。

男性の人権どこ行った。結婚したからって、モノになったと思うなら勘違いもいい所だと思うんです。

休日ぐらい、ゆっくり酒を飲みたいわけ。


なんて、この宮殿でのどこかで愚痴を呟こうものなら


「なるほどですわね。シウタ義兄様、わかりましたわ。 話をゆっくりと聞きましょう。今シティホテルを予約しましたわ」

「これはこれは、義兄様。ええ、そうそう。おっしゃるとおり。ささ、お慰め致します。シティホテルでじっくりと解決策を探しましょう」

「これは、間違いなくシティホテルです。雰囲気が変ればまた、気分も上がるという物です。さぁ、お覚悟を」


すぐホテルへ誘導される。

「おーぼ資格は、声を褒められた経験のみ!」 と、教材販促用の悪徳誘導広告と一緒だね。

まーた、医療ポット送りにされる。


そんな最中、宮殿内に大音量の放送が響き渡る。

「シウタさん、逃げてもむだですよー! 残念ながら繁華星のバーは本日閉店だそうです。さぁ、ピクニックいきましょう。晴天、青カン、いえ、アオ空の下でピクニックですよー!」


「シウタさん、今1個中隊がバーに向かう所よ。大事になる前に大人しく出て来て? 何もしない、今日は何もしないから。ね?」


「こちら 『タイラント』 宮殿周辺に生体反応は無し。繁華星か宮殿内の可能性が大だ。 星間シャトルに強制捜査の依頼。 シウタ、大人しく・・・、しなくていい。暴れていい・・・。いや、暴れてほしいな。あ、すまない。何もしない。今日は何もしないから」


何もしなかったら、こっちは逃げてないんだよ。

こんなウソばっかりのライアーゲームは、即撃ちだろ。ブラフ前に 『ダウト』 だっつーの。

繁華星の酒場が、焼き尽くされてしまう前に宰相の部屋に逃げ込まないといけない。


宰相の部屋の黒檀作りのドアを開けると、部屋にはモヤモヤが漂い、ワイングラスを片手に魔族っぽく足を組む宰相がいた。


「宰相、お邪魔します」


「ウハハハ! また逃げて来たのか?

あのですね~。毎回ここにこられても、下手をすると私が詰められるのですが。

これから、戦いが文明だった試練の遺跡で勇者達の訓練へ行かなくてはならなくて。

まぁ、隠れるなら好きに部屋を使ってくださいな。

ああ、その棚の酒は、飲んでいいですよ。棚奥の琥珀色の瓶に触らないでくださいね、高いですから飲まないでくださいね。そのお酒に何かあったら感度上昇のスキルを行使しますよ。お嫁様方は、そっちの方が喜ぶと思いますが。 それでは私は消えます。さようなら」


話が分かる宰相は、モヤモヤの中に消えて行っ 『ドコォン!』

直後、宰相のロックされた部屋をぶっ叩く音がする。


「シウタお兄様! お逃げになっても無駄です! ここにいますよね? もうホテルを予約しておきました。夜の宿直は余です。少し早いけど問題無いです、この日を夜と定義します。はい。夜でーす」


ララスだ。

聴覚が鋭い、音を立てるな。

やつらは音に反応する、暴挙に負けずひっそりとベットの下に潜り込むのだ。


「あれ静かすぎる・・・。居ない・・・。あああああああああ! 繁華星ですね! ベルティア、グランツ、オベール! 酒場を灰にして、バーテンを生かして余の前に引き釣り出しなさい!!」


バーテンさん、すまない。

辺境の酒造所で雇うから、バーは諦めて欲しい。


その時、ピリリリと腕の緊急通信が鳴りひびく。


「聞こえたぞ、シウタ! 宰相の部屋だな!」 

「ついに、あの邪悪な酒棚に制裁を加える時が来ましたよー!」

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて? シウタさんが今日、頑張ってくれるならまぁまぁ、棚は見なかった事にしてもいいわよ? 頑張れるわよね?? そうよね?」


「「さすが、アーレ大佐!」」


地獄の釜が開きそうだ。マジに長生きできねーわ。

嫁たち強すぎんよ。


そんな平穏とはかけ離れた世界から、通信先は3先輩嫁からだ。


「シウタくん~。何してた~? 声聞きたかったな~。あ~早く帰りたいよ~」

「仕事中でもダーリンの声が聞こえるとやる気がちがうよね~」

「今日の仕事は終了。今すぐ帰ろう? 声聞いたら、仕事どころじゃなくなった、早く」


「あれ? 緊急通信どうしました? 仕事をないがしろにするのは好ましい事じゃない・・・」


「ああ、ごめんなさい! えーと、連邦の星間ゲートから別宇宙の敵対的な種族の斥候が出入りしてるみたい。シウタくん、連邦からお呼びです。エイリアンに話し合いが通じなかったらヴォルテクスで『話し合い』 をするみたい」


こういうのを待っていた。

よし。旦那様は、お仕事です。旦那は仕事で居ないぐらいでちょうどいいと地球ではよく言われている。


「30秒で支度します。おら、宮殿内。聞こえますか? おい、仕事だぞ仕事。邪魔すると怒りますからね。それじゃ、行ってきます。はい、皆様。良い休日を~」


「「「「ぬああああああああああああああああ」」」」


絶叫が、響く宮殿内。

無事、宰相の部屋を抜け出した。


――


輸送船に逃げるように乗り込み 「宇宙ピクニックですー!」 と、艦内放送で叫ばれながら、連邦の星間ゲートへ向かう。

サリ伍長。ピクニックは中止だ、聞き分けたまえ。


連邦のポートに降り立つと、待っていたのは連邦少将だった。

地球で言う男役の様な凛々しさを持つリリア少将だ。


「よく来てくれたね、シウタ君。ぴったりの仕事を紹介するよ。まずは連邦本部へどうぞ」


案内されるまま、星間ゲート監視ルームへ。


そこには、翼のシュルエット。

アリエノール宰相が仕事スタイルの軍服で、腕を組んで佇んでいた。


「おや、アリエノール宰相。先ほどぶりです。つまり、連邦と帝国の案件?

やったぁああああ! 銀河の危機の案件ぽいですね。 あ、そうだ。休日の勇者育成は中止になりました?」


「いえ。今、試練に行かせてますね。力尽きてもダンジョンから自動排出されるので大丈夫でしょう。クリアーするとコンドルのホログラムが見れるみたいだ。クリアー出来たらRTAに挑んでもらいます」


これが、未来の英才教育方法。

銀河の未来は明るい。


リリア少将がタブレットを指ではじくと、宙にホログラムが展開される。


「まぁ、本題だ。 連邦の星間ゲートから魔族のゲートが検知された。友好的な打診はまだきていない。魔族の文明がこの銀河を自由に行き来できるように覇権を狙っている動きがある」


リリア少将と目を合わせ、ここにいる魔族の方を見る。


「言いたいことは山ほどある。 あの~、まず魔族=私 って言うのをやめて頂けます? 見えない差別ってすごい傷つくが?? この案件、私が魔族だからって帝国の宰相を呼びましたよね??

〇ソ? この銀河は〇ソですか?」


あっ、なんか怒ってる。

営業の技術を見せる時。


「ハハハッ。宰相、考えすぎですよ。ええ、考えすぎです。ただ、アリエノールさんを見ただけじゃないですか。考えすぎです。銀河の危機の可能性があるからですよ。

決して魔族だからって事じゃないと思いますよ。 魔族だからって被害意識が逆に、そう自意過剰にさせそう思わせていると思いますよ。考えすぎですよ。ラブアンドピース。魔族最高です。地球でも人気が高いですからね。

ささっ、仕事しましょうか。ゲート前に出現する邪悪な魔族を塵に変えて見せますよ!」


宰相は訝しんだ後、話を続ける。


「魔族文明、科学と魔法の融合か。まぁ中々にやると思いますよ。でも魔法科学なんて圧倒的質量の前に勝てるわけがないですね。

首切り役人のアウラ~。って概念、シウタ殿の所にもありますよね? 軍団の物量と質量を用意周到に固め、勇者一行の生き残りと戦う概念です。普通に勝負したら物量と質量で勝てます」


リリア少将が頷きながら少し目を伏せ、続ける。


「最悪の場合を想定してシウタ君にきてもらった。まぁ、交渉の余地がゼロとは限らないからね。

魔族が敵対的な行動をしたら。まぁ、その。適材適所をお願いしたい。

不穏な中、話し合いになるとやつらも権利を主張しかねないからね。有無を言わさず、お帰りねがってもらいたいのさ。どうかな? 下手に魔族を助けようとすると、逆にややこしくなるんだよ」


自分は頷きリリア少将の手を握りしめる。


「喜んでやります。邪悪な魔族を一掃してみましょう。

自分も大変なんですよ。自由に使えるお金が無いと、喜々として嫁がマウント取りに来るんですよ。

『お金ならあげるから家にいて』 じゃないよ。そんな生活望んじゃいない」


「ハハ、アーレインが言いそうなセリフだね。 じゃあ、汚れ仕事だけど頼むよ。魔族の宰相がいいと言うなら邪悪な魔族を滅して問題なさそうだね」


「やっぱりこれ、私が魔族だからって呼びましたよね? おい、呼んだか? これ私の被害妄想です? たしかに銀河の危機と言えば、危機かもしれませんが。 でも、言葉の端々で無意識な差別的なセリフに気づいてます? オマエタチ、〇ソですか?」


邪悪な魔族語が出ている宰相をなだめながら準備をする。

なんか宰相の機嫌が悪い。


そして、宰相の手配により帝国の艦隊を待機させてくれるようだ。


ともあれ、未知の魔族文明。

どんな攻撃をしてくるのだろうか。


出来たら、魔法科学の文明をヴォルテクスで乗り込み制圧しにいきたいな。

魔王の命乞いとか聞きいてみたい。


――


その時、緊急警報が鳴り響いた。


巨大な星間ゲートが発光しだし、その内部から黒曜石のゲートが見える。

連邦ゲートの宙域の虚空から黒曜石の艦隊が次々と現れた。

同時に、ホログラムが宇宙に展開される。


映し出されたのは、深紅のマントを翻す、角のアクセサリーを付けた美人な司令官らしき女性。


「我が名は、ヴァルフォード。数多の銀河に覇を唱え存在である。貴様らに与える選択肢はただ2つだけだ。降伏か絶望か、その選択のみが許されている。

愚かなるものどもよ、己が運命を決めるがよい」


真紅の瞳、どう猛な笑みがホログラム越しに、この宙域を包んだ。


「まさに、ザ・魔族って感じですね」


「まさに邪悪な魔族って感じだね。シウタ君、慈悲はいらない。彼女達にお帰り願ってもらいたいのさ。 まぁ、ミリ軍曹の指揮だと情けをかけたりして上手くない、今回はお休みだね」


そして、宰相が呆然と宙を見ている。


「どうしてでしょうか。私のメンタルと自我が、かつてない危機感と喪失感に襲われている。

現代の魔族のイメージも、あれと一緒と考えられているって事ですか? ほんと太古のベタなのが来たな。

銀河まで進出している文明だと言うのに、あのような太古のテンプレ精神性でよく挫折を知ることなくここまでこれましたね。

あの~。なんか、ほんとうにうつになりそうです。今日も倒れるまで液体を浴びるように飲みましょう」






いつもありがとうございます。


話のストーリに囚われず、これぐらいの勢いならイメージだけのご都合主義でも押し切れる。

と、思うのですが。いかがですか。


結局自分では、よくわからないのものです。

不思議な事に書いてると面白いかもどうかも、分らなくなってくるわけですね。

出して、世の中に問うのが一番上達の近道な気がします。



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