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6 シウタからサリステア

1章シウタとサリ


遥か彼方の銀河の事なんて、思ってました。

昭和の話らしいが、日本のSF世界感とSF外国の世界感の構築に物凄い隔たりがあった。ある時日本の世界感で大人気宇宙物が出来上がった。って、学者の親父が言っていた。

もう、地球の肉親には会えないが、自分には自分の人生があるし、親には親の人生があると思う。

往生してくれい。

と、介護に疲れた社会人が親をそういう所に連れて行くと、まずこんな感じの言葉を投げかけられると、友達の施設上長が言っていた。


貴方にはあなたの人生があって、親には親の人生があったと思います。

貴方はまだこれらかも先の人生がありますよね。ようこそ。


異世界転生してもこの台詞は、考え方として心に刻まれている。


――


職場労働2日目ぐらいにアーレイン大佐に呼ばれた。


「落ち着くのよ、アーレイン。ここの上長としての銀河の事をお話するだけ。会いたくて声が聞きたいわけじゃないの。男性だからって贔屓は良くないわよ。私は大佐。そうよ、ゲートワープで飛ばされた上玉を逃がしたいわけじゃない。 なんですか? この空気、どうかしているわね。 フフッ、部屋で二人ってのは、しくじりましたわね。シウタさん? お覚悟? じゃないわね、脳内のカオス? えーと、シウタさん不便はないかしら? 100万渡すわね。貴方の好きに使いなさああああああああああああああああ」


情緒不安定のオンパレードだ、ネッコ族はどうなっているんだ。

男が珍しいからって、現金を渡すんじゃないよ。この辺は駆け引きだと思う。

簡単にお金を渡すと、上手く使われてしまうよ。付き合いで行っていた、そういう所での経験がある。

スッと、現金受け取りを丁寧に拒否し首を振る。


「あっ、真実の愛ですわね」 と、謎に冷静になったアーレ大佐から、この銀河の状況の説明を受けた。


時は銀河歴5030年。マルカトール帝国による宇宙航路封鎖。

それにより、マーセキン鉱石、通称:魔石 エネルギー資源の源である。そして、宇宙航路封鎖によって連邦王国は、深刻な危機に陥っていた。この鉱石はエネルギー資源として不可欠であり、クリーンエネルギーの源。ヴォルテクスの燃料、さらには銀河間移動にまで使用されている。ライフラインそのものだそうだ。

連邦王国の主要産出物を帝国が手中に収めようと資源の独占を狙い、主要な宇宙航路を封鎖。産出地を包囲し、連邦王国の輸出を断ち切ることでその勢力を揺るがせようとしていた。

生産拠点に襲撃もその一環と言う事、新型兵器ヴォルテクスでの戦闘により硬直状態に陥っていた。


「つまり、兵站を確保し、敵を倒せばいいと言う事ですか。 アーレ大佐のご期待、そして御恩に沿えるように、このシウタ。大佐を喜ばせるように務めさせて頂きます」


「はい、れーぷしていいって事ね」


と、謎の言葉と同時に軍曹と伍長が扉を弾き飛ばし部屋に乱入し、助けに来てくれた。


――


あれから、2週間がたった。

自分に客室の部屋を与えられた、もちろん未来の部屋だ。

部屋のパネルに浮かぶホログラムの操作画面。飛びでるスマートフォンと大して変わらない。

機能美ってのは、似たようなニュアンスを引き継いで改良するためあまり違いが出ないのだろう。

人は、慣れ親しんだ操作や感覚を急激に変化させるよりも、それを改良しながら進む傾向がある。


ホログラムボタンを押すと。ベットが収納される。

そうそう、半重力ベットだぞ。半重力ベッドだ。重力が半減される、画期的な安眠ベットだ。

寝がえりし放題、そしてしなくてもいい。本当にすごい。

バスルームは、何か効率的なシャワーミストで実用性重視だ。

無駄を削ぐと失われる文化があると言う事だ。悲しいね。


後は、簡単なキッチン。

あと、驚いたのが圧縮食料か。チンするとポンと出来上がるのだ、焼けたベーコンが。


何とか未来世界についていけそうで助かっている。


自分の朝は早い。

いつも早く寝るからだ。飲む酒もないし、見るヴィチューバ―も居ないし。金もない。

最近は夕方から寝るまで、ヴォルテクスのシュミレーターにこもっている。

早く実機にのりたい。


プシュー! と未来音と共に部屋を出ると、いつも上司たちが待っている。

何日かに1回は、アーレ大佐が息を切らせてドアの前に立っている状況は中々にホラーだ。超忙しくしている方なので今日は居ない。

外には、ミリ軍曹とサリ伍長が立っていた。


今日も元気よく参りましょう。

挨拶は、大事だ。古事記にもそう書いてあった気がする。

春はアケボーノ、超強い。


「ミリ軍曹! サリ伍長! イエッサー、上官殿! おはようございます! 今日も一日、ご指導の程、宜しくお願い致します! はい! 上官殿! はい上官殿!」


と、大声で敬礼をする。

自分は、ミリタリー世界の造形は深い。ホーレストガンプーは、なんども見た。エビマリネから入るエビエビエビミリタリー映画が大好きだ。


「そのなんだ、シウタ。それ、雇用形態違うから、その挨拶しなくていいからな。あの、そういうの好きなのは分るが。あの、毎日は狂気を感じる」


「あの~シウタさん。それでテンション上がるかもしれないですが、私たちの脳みそにはダメージ入ってます。王子様が目覚めにヤバい薬やった後みたいな声ですー。 狂気を感じるっていうか、むしろ命の危険を感じますよねー」


「はい! 上官殿! 自分が、ここに入ったのは上官殿に言われた事をやるためであります! 了解致しました! 繰り返します。 その挨拶はしません! イエッサー!」


「それ昨日も言っていたな。この朝の挨拶がキツイ。狂気を感じるんだよな。これが無ければ、朝一番で襲っている」


「少なくとも、その大声があるおかげで朝一番で軍曹が襲わないのは事実ですねー。それ、案外防衛作として優秀ですね? でも、私にも効果は数分です。なぜですか?」


挨拶は、とても気持ちいい。

こういう世界に居る事を実感できる。

そして、上司の部下の理解が足りてないと思う。

アーレ大佐はノってくれるのに。


朝の挨拶も終わり、二人に向き直る。


「サリ伍長、制服の支給ありがとうございます。私服までも、頂いて申し訳ないです。お給料がでたらお返しをしたいのですが、よかったら少し高めのお食事でもどうですか?」


「はひいいいいい、いきなり人生初デートぉおおおお! この謎紳士のギャップなんですか? 脳が白旗を上げてます」


「ぬぬっ、シウタ。私は?」 「何がミリさんを喜ばすか分からないのですが、何がいいですかね」


「「あああああああああ! 脳が焼けるぅうううう!」」


うるさく、嫉妬深い上司たちだ。


そのまま、3人で食堂へ行く。


ミリ軍曹から 「一人で出歩くのを禁止する。れーぷされるからだ。守らなかったられーぷするからな」 と、きつく言われている。 なんか矛盾おこしてないか?

つまり、ダブルれーぷ。地球では重罪だが。

女神様の存在が確認できたので、そういう極悪人は夜な夜な転生されている事だろう。


食堂に入る前にいつもの地獄のような喧騒が聞こえてくる。


「ド! は、どうやってれーぷしよう!の レ!」 「レ! は、れーぷのレー!」 「ミ! は、みんなでれーぷして!のレ!」 「ファ。は、ファイナル・アタックのファ。消え失せろ、品性のない女猫が。男性に配慮しないやつはこうなる」 と、ファ! 担当のミリ軍曹。


壁にビタン、ビタンと叩きつけられる女猫さん達。毎日、ここまでが地獄のようなルーチンワークだ。

壁に叩きつけられた方々から出血が確認できるので、かけつけてスキルで回復をする。


「シウタさん。今日は、厳しくいきますねー。 分りませんか? このゴミ虫達が接触回復されたくてこの様な事をしていると? はぁ~、この様な初歩的なトラップに引っかかって、ムカムカしてきます」


なんだこえーよ。

もう、駆け引きが始まっているのか。


――


食堂に並ぶと列がサーッと分かれる。

海を割った預言者の様に朝食を取ろうとする。

そして恐ろしいほどの量の焼けた肉塊を用意している、炊事班。


「シェフからのプレゼントです」 じゃねーよ。

誰に食べさせようとしているのか? それ2kgじゃきかねーだろ。〇す気か。

「軍曹、いけますか。 あれいけたら尊敬します。ミリ軍曹」 と、ご相談。

ミリ軍曹が意気揚々と肉塊を取っていく。軍曹、マジイケメンだ。

朝一番に確率でデスゲームのイベントが入ってくる。毎日が戦いだ。


そして、ここのパンはかじると、金属のトライアングルの素敵な音色がする。食べ物が出していい音では無い。

スープは、重油の色をしていて。肉だけがテカテカと浮いている。

世界の終わりに輝く肉片、トロピカルアイランド。


つまり、肉を食うしかない。

サラダは現地の物だろうか? ウネウネと動くがまだ食える。


ジューッと焼き目が綺麗な、チキンっぽい肉とハンバーグぽい肉とソーセージを取る。

肉料理は、うまい。 外はパリッと中はジューシー。

寿命を犠牲に今を生きるのだ。


――


サリステア伍長


――


朝食が終わると彼は、私と一緒に職場へ行きます。

そして、夕方からミリ軍曹の実働部隊の所でシュミレーターに乗っています。


一緒に歩いているだけで、顔のニヤケが止まりません。

どう考えても結婚適正時期の王子系アイドルでハニートラップですよね。

これは、特権ですよ、部長の特権。 仕事しまくってて良かったと思える日が来るんですねー。

理想の旦那像をそのまま体現したような、人族の男性とお仕事。

狙うのは部下のシウタさんと私のオフィスラブ。BL本で論文書けるぐらいに勉強してますから、きっと上手くいくはずです。 つまり、お尻は四次元ポケットで色々な物が入るはずです。

後、触られると体中に電流が走り、脳内から幸福物質がドバドバと出てきます。

朝の女猫達は私の明日の姿かもしれません。


私の部署は、生産管理課と流通物流部のお仕事です。

この星にある物流生産の施設は、生産拠点の物資を仕分けしたり、オートメーション機械の採掘管理による、魔石の管理出荷。8割はオートメーション化してますが、最後の忖度は人がやらなければいけません。

今だに完全な自動化には程遠く、私達のチームがこの場所の魔石と物資の受注発注と出荷の心臓部を支えています。

私達のマーセキン鉱石の生産出荷が止まると、連邦王国の半分が止まります。

そして王国屈指のヴォルテクス乗りのゴリ猫、ミリ軍曹がここに配属されています。


部署に入ると、いつも出勤時間ギリギリにくる部下達が全員席について、ホログラム端末を操作しながら生産課に指示を出してます。

思惑は分かっています。 少しでも早く自分達の仕事を終わらせて、シウタさんに 「何か分からない事ある? 手伝おうか? 可愛いね? 声聞かせて?」 と 擦り寄る算段です。なんだったら乳圧も当てる勢いで、セクシャルの嵐です。 連邦王国の男猫だったら秒で、物陰に身を隠し「フシャァアアー!」 と、退社の意を表す事でしょう。


が! シウタさんが受け止めて流すのが上手いのです。不慣れな仕事を一生懸命頑張りながら 「先輩、ありがとうございます。もう終わったんですか、流石ですね。今の所お陰様で何とかなってます。分からなかったらすぐ聞きますから、何度もお聞きしするかもですがお願いします」


と、爽やかに言ってくれるんです。全員が死ぬ気で仕事頑張りますよ。

こんな返し、福音と同じですね。

結婚式のヴァージンロードの曲にしますよ。1万回流します。


うらやましい。こいつら、部長、もとい伍長の仕事が午前中で終わるとおもっているのですかねー、ああああああ、シウタさんと会話がしたいですー。


それと問題が起ったら、シウタさんを同行していくと全て丸く収まります。

ここでは珍しい男ってものありますが。あっ、この発言はまずいですかね。人族はせくハーラるにうるさいと聞いています。

人族の営業経験者と言ってましたか、中々やります。 旦那にしたいです。


女猫の職場に男を混ぜると効率が120%になると言う話を聞いたことがあります。

危険度も120%ですが、この職場は効率が200%まで上がっています。今は、大体の仕事が午前中に終わってしまいますね。今まで、こいつらダラダラと何やってたんですかね? ムカムカします。

それに伴う効率上昇のリスクは未知数ですが。


さて午後を回り、仕事が高速で終わりました。恐ろしい効率です。

後は、てきとうに入力と来た仕事をポチポチして暇を見ては、個人用通信端末をいじって終わりです。シウタさんの力、恐るべきですねー。


特に仕事も無くなったので、シウタさんが行ってしまいます。

ゴリ猫もとい、ミリ軍曹のヴォルテクス講習へ。

まだ空いた時間をみて、マンツーマンで教えていると言います。

部隊にはまだ紹介してないみたいですね。

発情ゴリラぁ・・・


――


そんな哀愁を噛みしめていると、突如として警報サイレンがけたたましく鳴り響いた。

ホログラム端末を引き寄せるように操作する。


また敵襲ですか? 宇宙そらの遊撃部隊は遊んでるんですかねー?

そんなク〇な宇宙部隊に魔石はいりませんよねー。出荷止めますよ、この女猫達が。


「非常用シールドを展開! 魔石保管庫のロックダウンを最優先ですよー!全員動いて!」


けたたましく職場が動き出す。

直後、銀髪ショートのアーレ大佐の顔がアップのホログラムが飛び出て来た。


「また敵襲ですわね。 やれやれ宇宙部隊は何をしてるんでしょうか。新型の情報を出したけど、やられたパターンですわね。頭蓋の中に何が詰まっているのか見てみたいわね。 シウタさんをミリ軍曹に引き継いで頂戴、おそらく新型が来ているハズだわ。ミリ軍曹がいるし、察知さえできれば問題ない相手よ」


「了解致しました」


気に入らないですねー。

この連邦王国の要に簡単に通して来るゴリ猫達が気に入らない。

補給なくして勝てる包囲戦だと思ってますかねー。


『種族の力:気配察知』 を持っている、シウタさんを連れて行かなければ。

トッリー族とかネズ族、たまにイッヌ族が持っている力だ。

ネッコ族が前線だから、光学迷彩兵器をバンバン導入しているのだろう。

帝国の方がマシな脳が入っているようだ。


「シウタさん、いきましょうか」


シウタさんの方を見ると、朝の地獄のポーズをしているシウタさんが立っていた。

満面の笑顔で、体から覇気が出ている。朝の狂気とは全く違う。

色気立つカリスマがそこに立っていた。


「サリステア伍長、ハハッ、見ててください! 輝く貴方を守るために頑張ってきますよ! サリ伍長。後、先輩たちのためにも頑張ります! ハハッ」


脳と胸の奥がぐちゃぐちゃです。

シウタさんが本心で言ってないのは無いのは分ります。軽口のつもりでしょう。

でも、なぜ。男を前線に出しておいて、私達が前線に出れない事が胸を締め付けるのか。

直感と本能も正常に動かなくなってきました。




押して頂きまして、誠にありがとうございます。

頑張ります。

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