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39 シウタ

シウタ 展示会


「「「そういう事なら、暫く有給で様子を見るようかな~」」」


と、3人から言質を頂いた。

連邦のゆる~い勤務形態いいよね。


これで、ミリ軍曹を迎えに行く時の一つ外堀が埋まったな。

少将側につかれたら溜まったものじゃない、絶対に譲れない戦いになるのがわかる。

格付けが決まる同キャラ対決みたいなものだ。

どっちが本物か、くだらないプライドに見えても、それだけ真剣な証拠だと思う。


もういい大人だ、そうなる前に避けよう。


――


新型ヴォルテクスのコクピットの中を覗くと、シートが自動調整され、視界いっぱいにシームレスな広範囲モニターが広がる。

そこに浮かぶのは、色とりどりのホログラムパネル。


これアレだ。

中に入ると電気がついて森林音が流れ、自動でひらく便座のアレだ。

進化する度、無駄につく機能達よ、こんにちは。


「シウタ様、ご試乗ありがとうございます!」

「こちらがエンジン出力の調整で、こちらにお座りください」

「このレバーを引くと、重力制御が切り替わります!」

「ちょっと待って、 酸素が薄い! 誰か換気システム入れて!」


ん~?


おかしい。中に何かが詰まってる。

コクピットの中に、スタッフたちがぎゅうぎゅうに詰め込まれている。

人の密度が限界を超えている。


そして、一緒にのぞき込んでいるポニテールのフェリシア先輩。

今日は、ワンピース姿でそわそわと裾をいじりながら、明らかに着慣れていないのがわかる。

いつも拠点で、支給品のズボン服しか見たこと無いから、こんな姿をみる事が出来るとは。

そんな彼女がコクピットの中を覗いて驚いている。


わかる、驚くよね。

素敵ですよね? つなぎ目の無い滑らかな、モニター類。

コクピットの中が快適になると言う事でしょう? これは、高いけど導入してほしい。

絶対買って良かったと思えるやつ。

パソコンや周辺機器を思い切って買った時の便利さに似ていると思うんだよな。

欲しいなぁ。お金を借りるならアーレ大佐かな? 小言を言われても結局かしてくれそう。


でも、ヴォルテクスのパーツを個人購入は厳しいよね~。


まぁ、まぁ乗るならタダ。

スタッフさんもそう言ってくださっている。

最新型だもん、入らないわけには行かない。

中に入ろうとすると、肩と腕を掴まれる。


「シウタ君もう入れないよ! コクピットの中は、スタッフでぎゅうぎゅうじゃない!」 


「中は、肉布団のシートと肉の壁だよね? 肉の宝石箱じゃない?」


「早く上に座って。このまま潰されて感覚がなくなる前に早くきて」


ミラグロ先輩が先に入っていた。

仕方が無い、次へ行こうか。


そんな時だった。


「キャーーーーーーッ!?」


と、聞こえる。

これは、少年探偵とかで聞いたことがある悲鳴。


「うそっ!?」

「シウタ様ぁぁぁぁぁぁ!?」

「本物っ!? なんでここにいるの!??」


悲鳴と共に人の波が、押し寄せてきた。


アイドルや推しがいたら、普通に 『プライベートだから遠慮しとこう』 ってならないか?

日本人だけの感性かな。

地球の仕事の時、会場に押しチュバー関係者がいたけど 『緑の彼氏発覚配信者って結局切ったんですか?』 とは、初対面で普通聞けないものだろう。


「推しが!! 目の前にいる、籍いれなきゃ!」

「いや、待って!? ガチで生きててよかった!!」

「うそでしょ!? なんでこんな至近距離で!? ねぇ、契約書と婚約届どっちがいいですか!?」

「握手を! いや、ハグ、ハグがいい!!  サインついでに婚姻届けにサイン入れてください!!」


だから、どうしてそうなるんだ。デジタル化は、どうなっているんだ。

未来でも契約書や婚姻届書を使うのか?

結婚式場のオプションのメモリアルみたいな感じかな?

と、冷静に分析してられない。魑魅魍魎達と会敵するまでもう数メートルだ。


展示会場の空気が一瞬でカオスに変わる。

押し寄せる熱の波から必死で防衛ラインを築いている先輩達だが、この人数に勝てるだろうか。


そもそも基本的体力が女猫さんの方が数倍高い。

逃げれるわけが無いので足を組んで座り、大人しく世界の終わりを見届けましょうか。

人は、どうしょうもない時は冷静になるものだとわかる。


その時、突如として空が裂けた。

ヴォルテクス展示会の中央広場だ。


ゴォォォォォォォッ!!!


遠くの空が歪んだかと思うと、漆黒の閃光が急降下する。


「魔族宰相だぁあああ! 逃げろぉぉぉ!! スタイル格差社会が襲い掛かるぞぉおお!」

「それより、あの美貌って何? 逃げて!  現実に打ちひしがれる恐怖が来る!」

「うわあああ! 邪悪な魔族め! 種族コンプレックスが爆発してしまぅうう」

「 ついに魔族が攻めてきた! 美肌性能を見せつけられメンタルが崩壊するぞぉぉ!」

「あの魔族、年齢不詳すぎるぞ! 先代の時からあのプロポーションよ! 逃げてえええ!」


上空に浮かぶのは、黒き翼の機体。

星間推進ユニットを使用し、降下してくるその機影は、宰相機体 『アケローン』

亜光速を超えた機影が、展示会のど真ん中に着地した


『アケローン』 めちゃくちゃカッコイイ。

あの機体くれるって言われたら、帝国に喜んで就職してしまうかもしれない。


そして、アケローンのコクピットから、羽のシュルエットが出現する。

その宰相の目は冷酷に見え、知性が宿る。周囲を見渡すその視線だけで、戦慄が支配した。

カツカツカツと 『アケローン』 から降りると、観客やスタッフは後ずさりし、やがて恐怖に駆られたように逃げ出した。


宰相が自分の方に向き直り、ため息をつく。


「異邦からこられしシウタ殿。 わかってくれるか? 魔族も大変なのだ。何ですかこれ?意味わからない。そもそも私、何かしましたか? ・・・シウタ殿緊急警報です。ひとまず大使館へ避難を、全員そこに退避しております」


なんとなく、優秀過ぎる宰相の大変さがよくわかる。

これは酒に逃げますわ。


そんな時に会場中のホログラムディスプレイが一斉に警告を発し、赤い非常灯が点滅する。


――


【緊急警報】

【警告! 未確認機体が接近中!】

【帝国宙域防衛網を突破!】

【戦略級脅威レベルAA確認!】


【未確認機体、超高速接近中! 全員、避難してください!】


悲鳴と叫びが交差する中、展示会場がエネルギーフィールドが展開される。

災害用や緊急用のフィールドだろうか。


空に、燃えるような赤黒い輝きが降臨する。

その輝きの背部には不気味な六枚のフィンを展開し、その中心の魔石が禍々しく歪んでいのが分る。


そして、破滅の機神から声が聞こえる。


「戦争の英雄たる人材を強引に引き入れようとし、銀河の秩序を乱そうとしている! 帝国を牛耳る魔族宰相め! ここで終わりだ!」


確かに、宰相が居なくなれば帝国は終わると思う。

ララス殿下のたのしい帝国作り、断罪しすぎて恐怖政治。になるのが目に見えている。


空に響くのは、高圧的な声。

リリア・ヴァレンティア少将だろう。


「そして帝国は、この罪を裁かれるべきだ。さぁ、決闘の時間だ! だがその前に、魔族の貴殿さえいなければ後は容易い!」


その宣言と同時に、機体の腕部に装備されたプラズマ収束ランスが展開される。

周囲の空間が歪むほどのエネルギーが収束され、一瞬にして大気を焼き尽くすような陽炎が機体を包む。


「・・・冗談でしょ」

「あれ、勝てるの?」

「そういえば、有給申請してないね? 巻き込まれるかもしれない」


先輩方は呆然と空を眺めている。


ランスを放たれたら間違いなく会場のエネルギーフィールド事消し飛ぶのが分る。

ヴォルテクス展示会場にいた関係者たちが、絶望的な表情して後ずさっている。


そして、宰相に話しかける。


「宰相、アケローンと別れる時が来たのです。亜光速でアレにブチ当てましょう」


怒りで沸点を越えて脳が爆発四散すると思いきや、意外にもあっけない返答が帰って来た。


「シウタ殿、簡単に言ってくれますね。『アケローン』 に星一つの税金がかかってますが」


「力を手に入れて、思い上がっているチーターには分らせないといけません。ねっ、やりましょう。アレを止めれるのは、今この機体しか無いと思います。一刻を争います」


少し考えて、宰相が軽く髪を払うと、アケローンが駆動音を鳴らし始める。

アケローンの翼近辺、亜光速ドライブの熱がまわりへ伝わってくる。

周囲の温度が上昇し、機体が警報を発する中、宰相は最後にひとこと小さくつぶやいた。


「・・・星一つ分の税金。請求はシウタ殿に回しますからね。なぁ~に、一緒に1か月も帝国のお仕事をしてくれれば、すぐですよ。 もしも殿下に 『全然、返さなくていいですよ』 と言われたら私もそのように動くので諦めてくださいね」


どういう事だろう。

返さなくていいのか? とってもありがたい。

殿下にお願いしてみよう。


「ちょ、なんかヤバいのが始まろうとしてるよ! 本気で亜光速でぶつけるの!? この、どさくさに紛れて抱き着くね!」

「うわ~、怖い~! 映画のシーンの様に抱きしめ合わないと正気が保てない!」

「リリア少将は犠牲となったのだ。私達の快楽の犠牲にな・・・」


3人が恐怖に煽られ抱き着いてくる。

物凄い力でピクリとも出来ない。


「では、いきますよ。ここから離れてください」


宰相が言うとともに、即座に3人が凄い速さで自分を抱えながら距離をとってくれた。

そして、空を浮遊し遠隔で操作しているようだ。


その羽で宙も飛べるのか。

マジになんでも出来るな。


周囲の大気が唸り、漆黒の星間移動機体、アケローンが星間航行ユニットを最大出力まで解放して、彗星のようにラグナロクへ突撃する。

亜光速での大気摩擦で、アケローンの外装は燃え赤熱化していた。

展示会場の金属パネルは次々と剥がれ飛びながら、漆黒の流星は 『ラグナロク』 を捉えた。


ドゴォォォォォォン!!!


凄まじい衝撃音が響き渡り、宙は閃光と煙で視界を奪われる。

すべてが光に包まれ、爆炎が渦を巻き上げる。

近くにいた展示機体はもちろん、地面も吹き飛ぶ。


「「「「「やったか!?」」」」」」


使われすぎて、ちょっと引くようなセリフが聞こえる。

時代も変ってきた 『さぁ、倒した魂を永劫に隷属できるよう、儀式を始めよう』 と、勝った生存者に恩恵がある大陸のシャーマニズムの儀式とセリフを取り入れてはどうだろうかと、先輩3人にお姫様抱っこさられながら思考する。


爆発の煙が晴れていく。

宙に立っていたのは、もちろんラグナロク。


だよな。ク〇がよ。

修理代金払わねぇぞ。


まるで何事もなかったかのように、装甲を鈍く光らせており、六枚のフィンがうねり胸部の魔石が赤黒い光を帯びていた。


明らかに大きなダメージは見られない。

亜光速での体当たりを受けたにもかかわらず、びくともしていない。


衝突時に弾き飛ばされたアケローンは、数百メートル離れた地点で地面に激突し、煙を上げながら横たわっている。


かすかに機体が動いているあたり、完全に大破はしていない様子だが、まともに動くのは難しいだろうか。

ラグナロクは存在感を誇示するかのように、プラズマ収束ランスを天へ向けてかざす。


「なるほど。これで終わりか? そして、ラグナロクの無限エネルギー装甲には、傷も付けられなかったようだね。 ・・・口上を述べないで姑息でイカレた邪悪な事をするのは、銀河で一人しかいないだろうね。 シウタ君、宰相といるのかい?」


ラグナロクのランスの先端にエネルギーのうねりが見え、大気が収束している。


「先輩方、アケローンまで連れていってください! 連絡通信を入れて、止めないと!」


「「「了解!」」」


ラグナロクの攻撃をまともに食らったら、確実に転生ルートまっしぐらだ。

女神様にどんな世界に送られるか、わかったものじゃない。


宰相の巻き添えを食らう前に、何とか時間を稼ぐしかない。


お姫様抱っこされたまま、破壊された展示会場の瓦礫をすり抜けて、急いでアケローン内部へと滑り込んだ。


「リリア少将! シウタです!」


アケローンのホログラム端末を展開して、緊急通信を繋ぐ。


と同時に、宙を飛んでいた宰相も大破した機体の内部に入ってくるのが見えた。


「少将! 決闘を望むなら、自分と決闘してください! 自分が負けたら、少将の提案に頷き、忠誠を誓いますから!」


ひび割れたホログラム通信の向こうに映し出される、リリア少将の瞳が映る。


「やあ、シウタ君。そのセリフを待っていた。私だけでは、この銀河の支配は無理だ。だが君の協力が得られ、そのカリスマ性なら銀河を支配することが出来る」


そう言い放つと、通信画面の向こうで少将がほんのわずかに目を細めた。

そして、宰相が手をスッとさえぎるように出してくる。


「シウタ殿、それだけはまずい。負けた場合本当に、世論は連邦に回るぞ。 そもそも、亜光速でブチ当てて、無傷の機体はどうにも出来ないと思いますよ。 シウタ殿の世界にリョッフーみたいな一騎当千の脳筋の概念ありませんか? こういうア〇は、触らないのが一番だ」


「シウタ君、どうする? 銀河の果てまで逃げる?」

「そうね、このメンツなら楽しく暮らせそう」

「僻地でほそぼそと宇宙海賊でもやる? 良い線行けると思う」


おい! 後ろ向きすぎるぞ。

からめ手や逃げる意見しか聞こえてこないぞ!


「いやいや! 銀河の危機ですよ! ここは、全員で頑張りましょうよ。 正々堂々と騎士道に乗っ取り倒しましょう! 先輩方、宰相! ご協力お願いしますよ! その借りを返せる範囲で倍にして返しますから!!」」


「「「「承知!」」」」


よし! なんとか協力の言質を取ったぞ!


「まあいい。大観衆の目の前で、覇権の終わりを宣告してやる」


少将の挑発的なその言葉には、圧倒的な自信と余裕が滲んでいた。

自信があるのだろう、無敵の機体か。


この決闘に勝つために、軽く見積りをする。

そのためには、どうしても 『あの人』 力が要る。



いつもありがとうございます。

雪です。世の中にいらない物の一つ。雪。ついでに腹痛。

と言うと、それで商売や趣味している人に怒られていしまいますね。


「やったか!?」 → 「戦士として自分が優れていたな。いいだろう、お前の魂を隷属させてやる。さぁ、首をさら・・・」


こういう感じで、なろう小説をやってみたいと思ったが、きっと腹痛のせいでどうかしているのだろう。



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