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⒅『或る一つの、部屋』
⒅『或る一つの、部屋』
㈠
点と線を結べば、自ずと、自己の人生の或る一端は、この部屋に帰着するのだ。何も、この部屋が悪いと言っているのではない、ただ、この部屋のものが増えるという状態と呼応する形式で、自己の人生も、進化してきたのである。
㈡
話は尽きることがない。俺には俺の、俺のための作用というものがある。この、或る一つの、部屋に、感化されてできた小説なのであるから、或る一つの、部屋というタイトルになるのは、至極当然のことだ、といったところか。
㈢
余り、先を見るな、と人は言う。今のことを、考えろと、人は言う。どうなんだろう、正解は。ただ、正解を希求して生きている訳ではない。我々は、我々のための、自由のために、生きるべくして、生きているのである、とは言えそうだな、と思ったまでだ。