1-1 古の街
俺は気づくと人を殺めていた。
俺だけでは無い。
皆この世の真理を実感した。
生きる、生き抜くためには必要だ。
必要だからだ。必要...必要...。
仕方がないことなんだ。
今俺の右手には弟だったはずの頭がある。
左手には姉の左目。
俺の目の前には血で真っ赤に濡れた大地が広がっていた。
俺の周りにも俺と同じような奴らが猛烈な痛みに耐えながら立っている。
ここは疑似世界の街の中。
ここにいる奴らは俺と同じ歳の奴らで、皆訳ありだ。
訳ありだからこそ、こんなことをしてる。
これで俺も憧れの立派な使命手配犯だ。
おっと失礼、“俺ら皆”だった。
ここには100人の家族がいる。
これから選別の時間だ。
心の闇深さや、狂った心、優しい恐怖などを基準として数字がふられる。
【おい。おまえだ。そこのおまえ。こい。】
目の前にいた家族が呼ばれた。
目の前の奴は、笑みを浮かべながら泣いていた。
返り血で全身が赤かった。
手には何も名持ってなさそうだったので、体術か、魔法か、禁忌だな。
【キミ。キミダヨ、キミダヨ。キナサイ。】
俺の番だ。
俺は今どんな顔をしているのだろうか。
そんなことを考えながら、ゴミを捨てた。
ぴちゃぴちゃと音をたてながら、歩った。
大きな門が見えてきた時横から何かがぶつかり、俺は吹き飛ばされた。