take2 縦20字×横20字=1枚
少しBLと取れる所もあります。
注意してください。
※そういう話ではりません
take2 縦20字×横20字=1枚
「圭―!お風呂入りなさーい!」
母さんがお決まりのセリフを廊下に響かせる。
なんだか体が重い。
まるで鉛のようだ。
徐々に体が浸食されていくようで、なんだか気持ち悪い。
腕を杖代わりにして立つ。
そしたら、起き上がる所、腕、頭…それらから
徐々に解毒されていく。
一つ欠伸をして、気を引き締める。
階段を下りる音は少し重く感じた。
「ふぁあ・・・」
また欠伸が一つ出た。
*
風呂上がりの牛乳は、やっぱりおいしい。
あ、別に身長を伸ばしているわけではない。
「ちょっと、圭……そんな事してもさ、身長伸びないよ」
余計なお世話だ、別にそういう事を期待しているわけではないのだ。
階段を上って、自分の部屋へ行く。
髪から垂れる雫は俺の動きを知らせるために、廊下へ、階段へ落ちてゆく。
「うわ〜…ベットぐしゃぐしゃ…」
さっきまで寝ていたのだ、回転したりもした。
その結果がこれだった。
自分が就寝する時までには綺麗にしておこう。
着替えを取り出し、着てると、ケータイが気になった。
アイツ、今度は何する気なんだろう…
正直、俺にとって呪文みたいな訳のわからないモノだったら困る。
一応、見てみる。
着信履歴にはなかったが、受信メール、1通。
多分、一真だ。
アイツぐらいだ、俺にメールよこすのは。
見てみると、やはりそうだった。
――――――― Dear 圭
件名 夏休み自由研究
こんばんわ、もしかして風呂に入ってるかと思って
メールにしといた。
今回やる事もう伝えていた方がいいよね
今回は“九条院家の歴史について”ってやつなんだ。
まぁ、何か調べるのは夏休みに入ってからで。
一応知っておいてね。
From 一真――――――――
実にシンプルな文面だ。
でも、アイツは何でもわかるな、風呂入ってるのとか。
まぁ、アイツ真面目な家庭の人間だし。
それにしても、九条院か…
九条院とは、この街で1番金持ちなんだ。
家はでかく、敷地も広い。
なんでも、今の社長が企業で相当当てたんだと。
どんなのかは知らないけどさ…
まぁこれから知る事になるんだよな。
俺は呪文みたいな事を調べなくてもいいと
安心した。
冷たい風と生暖かい風が混ざり合って、
俺の部屋に入り込んできた。
まるで、俺の心情みたいな。
*
それから時は過ぎ、今日は終業式だ。
明日からは夏休み、学生にとって天国である。
でも、やはり2時間目までは授業だった。
一真は休み時間にどっか行くし、授業は暇だったから、いい事なし。
めったに教室でないのにな、あいつ…
俺の席は一番窓側、一番後。
これほどまでに俺にとって最高の席はない。
風は入るし、日の光も入る。
寝ても先生にはばれない、最高だ。
一真はその隣。
でも、隣がないと淋しいな、結構。
まぁ、休み時間だけど…
「圭、けい!」
「…あれ、一真…どうしたんだよ」
「会って欲しい人がいるんだけど、2人」
「だれだよ、」
「まず、君に話があるって、女子が」
「はぁ?面倒くさいなァ…」
「もう1人は…自由研究の参考人」
「…オッケー…」
今日は暇だったり、忙しかったり、わけがわからない。
まず、女子の所だ。
・・・なんだ、どうせ、一真だろ?わかってますよ〜だ。
くそぅ…本人に聞けよ、バカぁああ!!!
どうせ、古賀ちゃんだろ!?呼んだのは!!
で、用があるのはほかの女子なんだぁぁ!!
もう、自棄だよ、知らねえよ!
そして、女子の所についた。
「あ、圭君…」
「どちら様でしょうか…?」
「隣のクラスなんですけど…」
「あ、すいません…」
「あの…!!これ、井上さんに・・・」
井上とは、一真の事。
俺の次なのだ、出席番号が。
でも、やっぱりか、はぁ・・・
「・・・オッケー…渡しとく」
「あ、ありがとうございます!!」
叶わぬ恋ね、わかります。
え、なんでかって?
アイツの人生に恋なんて字は出てきませんよ。
アイツはオタクなんだよ!!
皆外見に騙されてんだよ!!
家にアイツCDすっごくあんのに、全部アニソンなんだからな…
あ・・・友達は考えて選ぼう…あ、アイツ1番まともだったよ。
・・・本当に自棄になってしまった。
結構大人になっていたって思ってたけど…本当子供だな。
1つ溜息がでた。
とにかく今は、自由研究の事を考えよう。
参考人と言うのは誰なんだろう…?
というか、そんな人うちの学校にいたか?
まぁ、いいか。
俺は廊下を突っ走って行く。
あの女子から貰った手紙は、もう、よれよれだろう。
出来るだけ、アイツにはそういうの考えてほしくない。
(どんだけ執着してんのかっつーの…)
自分の気持ちは、いまだに翻弄しているのだ。
彼のせいというのと、自分に対しての呆れによって。