虎の子・ショートミステリー「死りとり」
ある晴れた日の午後、
2人はカフェでお茶をしていた。
はたから見ればお似合いのカップルだが、
彼女は彼を殺したいほど憎んでいた。
それというのも彼は彼女の弱みを握り、
餌にして彼女と交際しているのだ。
彼からすればなんとしてでも彼女を手に入れたい、
という気持ちからの行動であったが、
彼女はそんな彼の全てが気に入らなかった。
その彼というのも基本女の子に好かれる性質《たち》ではなく、
わがままで横暴、いかにも金持ちという感じのボンボンであった。
そして今日も「ねぇねぇ、しりとりでもしない?」
と能天気な声で話しかけてくる。
「(またそんな馬鹿みたいなことを…もう我慢できない)…いいよ」
男「じゃあやっぱり最初は、りんご」
女「強殺」
男「(強殺!?…どうしてまたそんな単語を)つ…月」
女「鬼畜」
男「く、く…靴墨」
女「皆殺し」
男「(なんでさっきからこんな嫌な単語ばっかり…) …皺」
女「わたし」
男「し、し、しゅ…シュワルツ・ネッガー」
女「あなた」
男「?、た…滝」
女「きらい」
男「!!(ちょっと、今なんて?)
い…いいかげんにしろよ!!」
女「よって」
男「て…テメェ!!
いつまでそんなことわけのわかんないこと言ってるつもりだ!!」
女「たった今」
男は少し青ざめて
「お…おい、しつこいぞ
もういい加減にして、普通にやれよ
彼女は薄く笑った。
そして言葉を放つ
「容赦せずにコロス」