果し合い……22
「両手に華はいいのですが……」
「どうしたのですか?」
「んだよ?」
しかし二人は全く気にも留めない。なぜなら何時もの事だからだ。
せめてもの救いは、全てが遠巻きであること。剣士に気安く声をかける阿呆は、この商店街には少ないようだ。
いい気分になっていたのに、無粋な視線で台無しにされてしまっているのは癪だ。総史郎は近づいてくる人間を睨み、遠ざけさせた。
「で、そいつはどこにいるんだよ」
「それを探しにきたのですよ」
鋼と座漸の会話を小耳に挟みながら、気配を張って周りを伺う。集団がつけて来ている。
はあ、と小さく溜息をついて二人に耳打ちする。
「五人ほど私たちをつけている者がいます」
「お、マジか?」
「振り返らないでください。おびき出しますよ」
後ろを振り返りそうになった座漸を制止させて、鋼を見る。
「そうですね。広場に出れればなんとでもなります」
駅前まで行けば、巨大な広場がある。
「駅前にしましょう。あそこならそれなりに広さがあります」
「そうしましょう」
これまでとペースを変えずに、まっすぐ広場へ向かう。明らかにおびき出しているのが分かるはずだが、それでも追跡者は追いかけている。
三人の身体能力を持ってすれば、相手方も同じ種の人間でない限りは一瞬でまいてしまう事もできる。
これは深読みのしすぎなのだが、追跡者が何らかの情報を持っているかもしれないと思ったのだ。
黙々と歩いて、約500メートル。駅前の広場に到着した。
追跡者はまだ居る。
「私が振り返ります。場合によっては逃げますよ」
「分かりました」
「お」
総史郎がくるりと後ろを振り向くと、あまりの事実に思考が一瞬停止した。
動かない総史郎に訝しんで声をかける。
「どうした? 総史ろ」
「……」
後ろを振り向いた二人が見たものは、奇怪な集団だった。
黒の三角頭巾を被った西洋騎士の風体をした集団である。
しかも五人とも全く同じ鎧に頭巾と、その鎧がまるでグループの征服のようである。
口を開けたまま固まる座漸と、僅かに赤面して俯いている鋼。総史郎は、思考停止したまま固まって動かない。
「そちらにお見受けするは、”刀狩り”の九慟鋼殿と、”狂犬”の嘆外座漸殿とお見受けいたすが、間違いないか?」
先頭に立った騎士1号がまるで軍隊の礼式のように声を張り上げてしゃべる。全く奇怪である。
「ええ」
「あ? ああ。そうだぜ」
二人は2テンポほど遅れてから肯定の声を上げた。




