果し合い……20
「どうでした?」
居間には鋼と座漸の二人がいた。大人しく対面して座っている。
「どうもこうも、相当へこんでるわね」
咲はふんと鼻を鳴らして、咲は腕組みする。
「なにが原因でですか?」
鋼が首をかしげると、咲は一人がけの椅子に座り、白衣のポケットから四つ折りにした紙切れを取り出した。
「なんで電話はないのに、インターネットは繋がっているのかしら?」
「いんたぁねっと?」
鋼と座漸が首をかしげているが、咲はそれを無視して紙を開いた。新聞の切抜きをプリントしたものだ。
母屋の横のガレージの中には、それなりのパソコンとウェブ環境が揃っていた。
「五年前だからすぐ調べられたわ」
全然詳しくないし、コレだけしか記事なかったけど、と付け足す。
切抜きには五年前の日付で一家殺害事件と銘打たれていた。
名前も伏せられていて、詳しいことなど一切載っていない記事だ。
「本人から聞こうとしたら、誰かさんみたいに布団に包まっちゃったわ」
誰とは言わずに薄く笑いながら、座漸を見てやる。座漸は仏頂面で、明後日の方向を向いてしまう。
「まあいいわ。勝手に出てくるでしょう。生憎と、あたしは馬鹿と餓鬼につけてやる薬は持ってないの」
なにかあったら呼んでちょうだいと言って、咲は帰っていった。