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突然ですがあなたは今日から死神ですよ!?  作者: 来栖槙礼
禍津御霊編
29/34

第29話 奇襲

サボり癖が止まらないです……読んでくれている人には大変申し訳ありません┏○ペコッ


何はともあれ29話です|ω-`)

 倫也、藍、クロ、秋津、イザナミはオロチとカグツチの案内で敵の侵入路へと向かっていた。既に神庭宮を発ってから三十分程経っていた。


「カグツチ、敵の使う門はかなり大きいものなのか?」


 倫也がどんな物かと見当もつかないと言った様子でカグツチに問いかける。


「いや、そこまで大掛かりなもんじゃない。見た目は俺達も知る鳥居なんだけどな」


 敵の数に大して門がそこまで大掛かりでは無いというのがイザナミとクロは疑問に感じる。ではどうやって雑兵も含む大量の戦力を送り込んでいるのだろうか。


「敵の全てがその門を通っている訳では無いようなんですよ。どうも、特殊な道具を使って兵を呼び寄せている様なんです」


 オロチがカグツチの返答に付け足す。


「特殊な物ね~。恐らく禍津彦っていうのが使ってた銅鐸みたいなやつかな〜? あれでおチビちゃんとかぐやちゃんを呼び出してたしね〜」


 クロは以前、戦った禍津彦の持っていた銅鐸型の鈴が思い当たっていた。


「ちょっと待って下さい! 誰かが来ます……正面から一人……違う? 二人かな……一つはとても小さい気配です」


 話を切るように秋津は皆を止めると前方からくる何者かを発見し様子を伺う。その声に全員が身構える。


「あれは〜? あ、式じゃないかな〜? ね? イザナミ様〜?」


 クロはそう言うと構えを解く。だが次の瞬間、式の隣の人物を見て全員に緊張が走った。瀕死の桃也がそこにいたのだ。


「……!? 桃也!? 何故!?」


 イザナミは桃也の状態に驚嘆し、信じられないと言った様子で動揺している。

 藍と倫也が急いで式に駆け寄り一緒に桃也を支える。


「式、どうした? 何があったんだ!? 吉備津隊長がこんな事になるなんて……」


 藍は式に尋ねるが、式も未だ信じられない様子で言葉を失っている。


「イザナミ様に報告しないと……藍、悪いな隊長を頼む。早く治療を済ませればまだ助かるはずだから」


 藍はイザナミへと向かい近づき報告をする。


「イザナミ様、一番隊吉備津桃也隊長に代わって報告致します。南区中央にて温羅とその部下三名と交戦。私以外の一番隊は吉備津隊長が重症、他二名は現在不明となっています」


 式は報告を終えるとそのまま走り出そうとするがクロに止められる。


「式〜? どこ行くの〜?」


「温羅は神庭宮に向かっているはず! 早く行かないと……」


 式は何とかクロの手を振りほどく。だが大男の桃也を背負って歩いていたため疲労が激しく、思うように体が動かない。


「式、報告ありがとう。だけどこのままあなたを神庭宮には行かせるわけにはいかないわ。秋津、式に治療の術式をお願い。桃也は私が診ます。クロと藍、倫也はカグツチとオロチと先行してください」


「了解ですよ〜。じゃ藍、倫也行くよ〜」


 イザナミの指示を聞いてそれぞれが次の行動に移った。

 イザナミと秋津の治療で式は体力の回復に桃也は傷の回復が出来た。桃也は体力の回復にはまだ時間がかかる様でまだ目を覚まさない。


「式、桃也は温羅と戦ったのね?」


 式はイザナミに頷き答える。


「それで温羅はどう動いたかわかる?」


 イザナミは落ち着きを取り戻した式に一つ一つ聞いていく。


「恐らく温羅は神庭宮には直接向かっては無いと思います」


「何故そう思うの?」


「温羅の目的は黄泉国の破壊では無いからです」


 式は温羅が本気で黄泉国を淘汰するのであれば既に神庭宮まで攻められていてもおかしくはない。あえて温羅はそうしないのだと確信していた。


「……分かったわ。式、第一部隊の生存者を確認して、全員で神庭宮へもどりなさい。そして八十禍津日神様の指揮下で第一部隊は防衛に入りなさい」


「はい。了解しました。……イザナミ様は何故ここに? 正直な所、隊長を早く治療出来た事は良かったですが……」


「私がやらなければならない事があるの。だから式、神庭宮をお願いね」


 そう言うとイザナミは秋津と共にクロたちを追いかけて走っていった。


「八雲と八重は無事なのかな? 通信用の勾玉割れちゃってるからな……」


 式はイザナミの姿が見えなくなると残りの二人とどう連絡を取ろうが考えたが方法が思い浮かばず溜め息をついた。


「無事かな? じゃないでしょ! 何やってんのこんな所で!?」


 式はいきなり聞こえてきた八雲の声で飛び上がる。


「八雲!? 八重も! 二人とも無事……おい!二人とも離れろ! そいつは……!!」


 式が振り返ると八雲と横には八重が、そして二人の後ろに岩鬼を見つけ式は臨戦態勢にはいる。


「あ、あぁ……式、ちょっと話聞いて? 実はね……」


 八雲は岩鬼から聞いた鬼の一族の話を式に話した。元々は神族である事。天津国を追われたことを話した。そして、事の真偽を確かめる為、岩鬼は現在協力関係にある事。


「そうか……話が繋がったな。こっちも閻羅に最後、温羅を止めて欲しいと言われたが……理由は分かった」


「式、閻羅はやはり……お前と戦い敗れたのか……」


 岩鬼は残念そうに呟く。


「悪いな。仮に知っていれば……いや、知っていたとしても閻羅は戦っていただろうな温羅の理想の為に」


 岩鬼も頷く。八雲も複雑な表情を浮かべる。


「でさぁ。八重はなんなの? 話聞いてもないようだけど?」


 式は小さな女の子に夢中の八重に呆れながら八雲に聞く。


「それはほっといていいから。もう少ししたら戻るはずだから……それより、さっきの話と岩鬼を八十禍津日神様に合わせたいから神庭宮に行こう!」


 式は半ば八重を諦め、桃也を担ぎあげた。


「そうだな。隊長の事もあるし、早々に神庭宮に向おう」


 こうして一番隊は八十禍津日神のいる神庭宮へ向かっていった。


 ―――禍津御霊 転移門前


 クロたちはカグツチとオロチの案内で転移門である鳥居の前に到着していた。鳥居自体はカグツチに聞いていた通り、特別巨大なわけではない。見た目はどこにでもある鳥居とそう大差はないものだ。


「この鳥居がね〜。きっとこんな見た目なら転移門だなんて誰も気づかないよね〜」


 クロはそう言いながら鳥居を調べる。


「クロ、俺とオロチは案内までが仕事だ。あとは第三部隊に頼らなきゃならない。だから頼むぞ!」


 カグツチは自分の分も頼むと言った様子でクロに声をかけた。


「カグツチの言う通りです。黄泉国と天津国は残りの神族、神徒に任せて下さい」


 オロチもそう言うと二人は神庭宮へと向かっていった。


「あれ?二人とも、もう行っちゃうのか?」


 倫也がつまらなそうに言う。


「二人は忙しいからな。……そうだクロ。イザナミ様と秋津が来たらすぐに行くんだよな?」


 藍は気が急いている様子だ。転移門の入り口に近づいては離れて落ち着かない。


「藍〜? 良くないよ〜? 何を焦ってるのかなぁ? これから奇襲なんだよぉ? 落ち着いていかないと悟られるかもよ? 」


 相変わらず緩いなと倫也は遠巻きにクロを眺める。先程から倫也はクロの行動をなんとなく目で追っている。理由はここ最近、クロにはどうやら隠し事がありそうな言動が敵からも仲間からも多々あるからだ。


「倫也はさっきから俺ばかり見てるのは何でかな〜? もしかして〜……」


「相変わらず緊張感の欠片もないんですね!総隊長殿? 」


 倫也は遮るようにクロに言い返した。


「み、倫也が反抗期!? そんな事が……」


 倫也の落ち着いた態度を見て藍は少し逸る気持ちを落ち着けた。

 しばらくするとイザナミと秋津が合流した。準備が整い次第、禍津御霊への奇襲を開始する旨を神庭宮の八十禍津日神へと伝えた。


「みんないいかしら? これから奇襲作戦に入りますが、もしバラバラになる様なら各自判断に任せます。大まかな指示は今のうちにクロからお願いします」


「えー。それじゃ予想の範囲でしかないけど転移門の先は敵の陣営になると思う。だからまとまって行動できるならそのまま情報を集めながら進む。バラけるようならイザナミ様の言った通りにして欲しい。あとは現地で指示を勾玉でする」


「了解!!」


 全員が返事をする。


「それじゃ行くよ〜? 奇襲開始!!」


 第一部隊とイザナミは転移門へと入っていった。


 ―――続く






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