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突然ですがあなたは今日から死神ですよ!?  作者: 来栖槙礼
禍津御霊編
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第18話 恋愛大明神と鬼ヶ島の鬼

 ――成田山


 ここは仏門である真言宗の寺院が並ぶ地。日本の神族とは親交こそあるが神域には至らない場所である。僅かながら穢れを纏う神徒が神族の縁のないこの地に置いて何故発生したのかは些か疑問ではある。

 マガモノ発生から一時間ほどした頃、黄泉国の死神隊第三部隊の隊員三名は成田山新勝寺の参道に到着した。


「倫也は新勝寺の参道入口で待機してくれ。秋津と俺は本堂まで行ってマガモノの位置を確認する」


 藍と秋津はそう言って参道を奥に駆けていく。


「了解! 何かあったらすぐに呼べよ!!」


 倫也の声に藍は手を挙げ答える。


「でもおかしいな。今までは割と神族の中でも信仰の集まりやすい場所だったのに……そもそも神社じゃないのはなんでだ?」


 倫也は何となく違和感に感じていた。それは藍も同じであった。何故、神社ではなく寺院なのかと……


「寺院には神域の様な場所こそあるが新規とは無縁のはず……何が狙いだ!?」


 藍は走りながら周囲を警戒していた。秋津もそのあとを追いながらマガモノを探す。


「藍さん。神社と寺院では何か違うのですか?」


 秋津は人間界での信仰にはかなり疎い。生まれてこの方黄泉国を……裏町を出た事がなく、こういった情報とは無縁の場所で育ったからだ。


「そうだな。簡単な話、宗教の違いだな。古来から日本は神道なんだが、他国との交流により様々な宗教が日本に伝わった。その中の一つが仏教がある。寺院は仏教の建物だ。わかりやすく言うと神様を拝むのか、仏様を拝むのかって話だな」


「何となく分かったけど、難しい……」


 秋津は恥ずかしそうに笑う。藍も、また今度ちゃんと話をしようとクスリと笑う。


 藍と秋津は新勝寺の敷地内を見て回ったもののマガモノや穢れなどを見つける事はできなかった。そもそも、気配すら感じることは無かった。


「どういう事だ? 何も見当たらない上に気配すらないのは……」


 藍と秋津は何もなく穏やかな成田山新勝寺の敷地内で佇む。


「藍! 秋津! 別の所でマガモノの反応が出たらしいぞ!!」


 参道入口で待機していた倫也から連絡が入る。


「倫也君、どうしたの!? 他のところってどこ!?」


 秋津が勢いよく聞き返す。


「何ヶ所かあるんだけど、一番近いのは浅間大社だ!」


 浅間大社……確か富士山の近くだ。近いとはいえかなりの距離だ。


「分かった! 近くの神社からもう一度黄泉比良坂に集合してから行こう!」


 お互いに最短の鳥居を目指す。どの神社の鳥居も全ては黄泉比良坂へと繋がることが出来る。それを利用し転移をするつもりだ。




 ――富士山本宮浅間大社 境内


 倫也たちは浅間大社の境内に着いていたがやらり、ここでは禍々しい神気のが漂っていた。成田山での情報が何だったのかは未だ謎だが他にも全国で似たような事が起こっていた事が分かっていた。


「成田とか他のマガモノの反応は何だったんだろうな。ここには濃い穢れの気配がそこらじゅうからしてるんだけどな」


 倫也は周囲の建物を初めとする神域の籠を受けた神器を見渡している。


「こんなに散在してたらどこから来るかわかったもんじゃない……!」


 藍もこの状況は初めてのようでいつもより余計に気を貼っているようだ。

 異様な境内の雰囲気に戸惑いを隠せない倫也たちだが、鳥居の入口付近から特に濃い穢れを感じ取ることが出来た。そこには人の形をした影が揺らめきながら近づいてくるのが見えた。


「あ、あれは!? 藍さん、倫也君! あれがマガモノなの!?」


 初めて対峙するマガモノに秋津は恐怖と悪寒を感じ、立っているのがやっとのようだ。


「秋津、あれがマガモノだけど、恐らく神徒だと思う気を引き締めろよ」


 倫也がそう言うと藍はふっと笑った。


「倫也がそれ言うのか? 初めての時は力もうまく使えずビビりまくってたのにな」


 倫也は藍の方を向き無言で睨む。それはなかったことにしたいらしい。


「それはそうと……アイツ、突っ込んできそうだぞ?」


「マジか!? 藍、作戦は!?」


 藍は双剣を構えると飛び出しながら指示を出す。


「俺が接近戦で叩く!! 倫也は中距離で牽制しながら状況で俺とスイッチ!! 秋津は術式で援護!!」


『了解!!』


 各自、散開する。

 まずは藍が先手必勝とマガモノに切りかかる。腕をわざと大きく振りながら上から下へと振り抜く。マガモノはそれを後方に跳びながら避ける。だがそこには倫也の武器の雨が来る!避けきれずに地面を転がる。すかさず、藍が距離を詰める。

 マガモノは召喚した槍でこれを受け止めた。


「召喚の……もと人間か!?」


 倫也と同じように召喚の属性を扱えるのは人間から神徒に神格化したものがほとんどだ。つまり、おおよそこのマガモノは黄泉国の神徒であろう。


 今度はマガモノが攻めに転じる。槍の長いリーチを巧みに使い、藍を攻める。双剣には遠い間合いを猛スピードの突きを連続で繰り出してくる。藍はこれを捌くが何とかといった様子。倫也も援護したいのだがマガモノが藍との距離を絶妙に取っているのでマガモノ単体を狙うのが難しくなる。


「くそ……これじゃ藍とまで串刺しにしちまう!」


 マガモノは、さらにその刀身に炎を宿す。炎は揺らめきながら槍の動きに合わせ伸び縮みする。藍は少しずつ槍に押され始める。


「このままでは……!?」


 突然、マガモノの動きが止まる。秋津が簡易の捕縛陣を発動させる。


「藍さん! 一旦距離を!!」


  藍がマガモノから離れると同時に倫也が切り込む。


 倫也は自分が切りかかるのと同時にマガモノの周囲を召喚した武器で囲む。マガモノに逃げる場所はない。次の瞬間、マガモノは自ら倫也の方へ跳ぶ。倫也はそのままの勢いで天羽々斬で切り伏せる。


「やったか!?」


 手応えはある。各日に捉えた。倫也が振り向くとたったまま動かないマガモノの姿があった。マガモのはたちまちのうちにその体を霧のように散らしていった。それを見届けて倫也は安堵する。

 藍も同じく双剣を収め、倫也の方に近付く。


「藍さん!! 後ろ!!」


 秋津の叫び声に反応して藍が振り向くとそこにはさっき散ったはずのマガモノがいた。


「倫也が確かに切ったはずだろ!?」


 藍は槍を振り下ろすマガモノの攻撃を紙一重で避けた。


「わざと切られたって事かよ……でも、手応えはあったのにどこでそんな神通力を……」


 倫也も藍も物理攻撃が聞かないものだと判断をする。ならば、まだ秋津にはキツいかもしれないが

 捕縛陣を用意してもらうしかない。幸い神域内ではあるので術式の補強に使う神器も多数ある。


「秋津!! 近くの神気を集められそうなものを探せるか!?」


「藍さん、それならあそこの手水舎(ちょうずや)にある柄杓が使えそうです!」


 そう言うと秋津は手水舎をめがけて走る。藍はそれを見ると再びマガモノへと切りかかる。


「うん。これなら! 清めの水を汲む柄杓だから僅かに神気を纏ってる!」


 秋津は柄杓を手に取り確認すると振り向く。そのまま捕縛陣の術式を展開する。


「きゃぁぁっ!!」


 秋津の持った柄杓が突然、爆ぜた。


「困るなぁ。お嬢ちゃん。あのマガモノを封じられたら予定が狂うんだよォ」


 参道の方から白い軍服を着た中年の男性が近づいてきていたのだ。男性は髪の毛はくせが強くうねっていて、だらし無く伸ばしている。顎に無精髭を生やしていて瞳は蒼い。片目を眼帯で隠している。


「おじさんは誰!?」


 秋津はその中年の男性を怯えながら睨む。


「僕かい? そうだよねぇ。誰にやられるのかは知っておきたいよね? 僕はね、禍津御霊の温羅(うら)って言うんだよ。人は僕を鬼と呼ぶかな。」


 自己紹介を終えた温羅は大型の刀、斬馬刀を振りかぶる。


「さようなら。お嬢ちゃん。本当は吉備津の末裔がいてくれると良かったけどねぇ」


 温羅が斬馬刀を振り下ろす瞬間体が自由を失う。


「おや、おや? 誰だい?僕の邪魔をするのは?」


 温羅が視線を向ける方には丈の短い派手な色の振袖を着た若い女性がいた。


「ウチの神域で女の子に乱暴とかマジで拒否だし!! そもそもオジサン、その髪型に合わないし!

 ナシよりのナシだわ!!」


 見た目はものすごく可愛い今時のギャルにしか見えない女の子だがその神通力は温羅をはるかに凌ぐものだ。


「ただの女の子じゃないね。それも神徒じゃないかな?」


 女の子は威風堂々とした態度で腰に手を当て答える。


「あーしはぁ、この浅間大社に祀られる神、愛の神様 木花咲耶姫命(このはなさくやひめ)! あ、呼ぶ時は長いんでサクヤでヨロ~!」


 ――続く






サクヤの設定ぶっ壊し過ぎたかな……ニニギもだけど……|ω-`)

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