表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第2話 *声の主の存在とこれからのボク*

数分後、ゆっくりと声の主は戻ってきた。

夢もしくは幻聴だったのかと思ったが、

そうじゃないみたいで少し嬉しかった。

しかし、その第一声が思いもしない一言だった。



『え……と、この度は、

話が脱線してえろうすんまへん』


「っへ!?……っ!!ゲホッゲホッ……」



不意に謝られる。

口の中に中途半端に溜まっていた唾液が

気管支に入ってむせた。



『で、でもな理由もあってな

えーと自分も分かるやろ?

自分自身のことやし』


「自分自身のこと?……」


『話脱線のプロやん』


「っう……ゲホッゲホッ……ふぅ……ま、確かにね……」



自分の短所の一つ、話し方が下手なのだ。

そして、色々寄り道したり、

『そのこと話す前にこのこと話さないと駄目だった』

などがあり、文字通り話脱線のプロである。

プロといっても、話をしてお金をもらっている訳ではないが…。



『と、とりあえず話戻すな?』


「あっ、はい、んっ!んんっ……」



咳払いをして、楽に呼吸出来るようになった。



『えっと、お師匠さん思い出す最中、

わしが話に割って入ってきたんよね。

で、そん後は……』


「うーん?……」



少し前のことでも何故か数時間前のことのように懐かしかった。



『えーと、そや!『簡単に成功できる』みたいなこと

ゆーとったね?』


「あ……うん、確かに『簡単』って言葉はあってる気がする」


『ほな、少し話戻るけど、

(元)お師匠さんのことどう思ってるん?』


「どうって言うと?」


『えーっと、せやなぁ……。

2000文字にも満たない序章を読んで

くれへんかったんやろ?そういうとこ』


「うーーん……何か理由があったのか、

ボクが迷惑かけ過ぎたとかかな?

……お師匠さんには、『人づきあいはポイント』に

関しても教えてもらったし」


『イコール、嫌いやないっちゅーことやな?

うん、それでいいと思うで』


「うん、少し脱線するかもだけど、

自分は、どんな人も嫌いにはなれない。

付き合ってる時に何かを学んで少なからず

前進出来た気がするからかな」



良く言えば、人を信じている。

悪く言えば裏切られる危険がある。

それでも、自分はその長所でもあり短所にもなる

一面が好きだった。



『せやなぁー。 

多分その師匠さんなら、

あんさんが見違えるよう成長したら

もっかい友達になってくれるやろ』


「んー……そうかなぁ?……まぁ、頑張ってみるよ」



ボクはどこを見るでもなく、少しだけ笑顔になった。



「それで、何をしたら成功しますか?」


『……ニヒッ、変わりたい?』



せかされるが、不快に思わずのめりこんだように返事する。



「是非是非! 宜しくお願いします!」



『よしよし、わしの出番か。

わしがサポートせんと…(以下省略)』

…そう言いだしそうな声の主。

イジワルそうな問いかけだったけど、

でも不快感は感じなかった。

この声の主は、様々な知識や何かアドバイスでボクを

成功に導いてくれる…そんな気がしたのだ。



「も、勿論変わりたいです! 成功したいです!」


『オーケーやで、えーーっと夢は作家やったよね?

とりあえず書き続けてみよか?』


「え……えっと……?」


『疑ってるんか?せやったら、わし消えるで?ほな…』



なんでそんなこと……と思った矢先、

脳内の記憶が甦り、先生の課題に納得をしていた。



「わっ、わわわっ! ま、待ってください!

や、やってみます。確か……」



作家を本気で目指すには、

短くても良いから毎日小説を書くこと、

自分の文章に向き合うこと、

そう書いてあった気がする。



「えーーっと昔見たサイトで

そんなことが書いてありました……」


『あ、大丈夫よ。

思うたことの殆どわしの頭ん中に

入ってきてるさかい……あ、でもトーク形式に

せんと分かりづらいやろな。

まぁ、うん、今までどおりで頼むわ』


「はぁ……(この人は何を言っているんだろう、)」



一心同体?なのは分かったが、

トーク形式にするため声に出さないといけない?


よく分からないが、これも声の主の説明の

下手のせいだろう。そう思うことにして

深くは追求しないでおこう。



『毎日一文字以上書く!

簡単そうやけど、二週間はおろか一週間も

継続出来た事無いよね?』


「え……

(一週間ぐらいはあるような気がするけどなぁ……)」


『ちゃうで、最高5日。

つまり5日坊主やな、その後は1週間は

まともな文章書いてなかったと思うで?』


「むぅ……」



自分と一心同体な訳だから、

嘘をついて逃げれそうに無い。

そう思った。


しかし、逆の面から見れば、

逃げることなく夢を追いかけられる。そんな気もしていた。


人間、何かと楽な道を行きたがったりしちゃうものだ。



『後は「変わりたい」「変わるんだ」

「自分は絶対変われる!」そう祈ってみ?』


「は、はい、変わりたい!変わるんだ!

自分は絶対変われる!」



はたから見ればバカみたいに思うかもしれないが、

以前読んだ啓発書で何冊も取り上げられていた。



【人間には無限の可能性があり、

信じることもその力の一部であると】



『うん、そんな感じや。

ほな、真剣にやってくれる姿勢を

見せたお礼にわしからも……』


「へっ? 何かくれるのかな?」



ふと、脳裏には、空中から眩い光りの塊が

ゆっくり降りてきて、それが手に乗ると、

光りが薄れ物凄く効果のあるお守り的なものが出て、

そのお守りが成功へと導いてくれる。


そんな想像をして、胸を高鳴らせていた。


「ワクワク」


『何期待してるん?』


「えっ? いや、何かくれるって言うから」


『言うとらんで、そんな嘘っぱちなもん効果

あるわけないやんか。わしがあげるんは……』


「そ、そうかなぁ……?」



何かを言いかけていたのだが、

ボクの横やりに反発するように反論がはじまった。



『え……あんさん……そういうもん、まだ信じとるん?』


「えっ? まだ……って? うん、信じてるけど」


『ええか?コレは言わせてな!自分は成功できる

とかは信じてもええけど、金運上がるお守りとか

金運上がる財布とか、厄から守ってくれるお守りとか…

…ぃぁ……厄から守るお守りはあるかもしれへんが…

…兎に角、金運上がるとか、恋愛運あがるアクセサリー

とか、そないなウマい話あらへんからな?

信じる力がうまい人、もしくは、たまたまそれを

キッカケに宝くじ当たったとかやな』


「えー……でも宝くじで当たったとか」



会話はかみ合っていない、本当にボクと

一心同体なのだろうか?ふとそう疑問に思った。



『じゃ、騙されて買った今使こてる

金運上昇財布効果あったかいな?』


「…………むぅ……」



それは、コンビニのバイトをして本の返本作業を

している時のことだった。


本の裏一面に、その金運上昇財布の通販ページが乗っていた。


『見てください、宝くじで2億円当たりました!』


と言わんばかりの記事。

その財布を買うだけで金運が上がるなら

安い買い物だと3日間悩んだ挙句、

その財布19800円を購入したのであった。


そして、宝くじや削ってその場で当たりが分かる

スクラッチなどを購入したが、当たることは無かった。

言われて振り返ってみると苦い思い出だった。



「ぬぅ……」


『そやなぁ……その会社の噂とか評価とか、

web検索してみたらどうや?』


「ん?……あ、なるほど、そういうことについて

語っている掲示板とかもありそうだね」


『恵まれてる環境やなぁ~……』


「あっそうだね。 検索前に調べて

いればよかったなぁ……」


『昔やったらこうはいかんで? 

…○○って業者悪徳やないよね?

…って思うても、友達とかに知人に

相談せな情報は得られんかった訳やし、

ましてや、そないな業者が周りの人が

知っとるっちゅーぐらい有名な訳ないやろうからね。

数日ごとに拠点うつして商売してれば、

噂たつ前に、後の祭りな状態やろうからな』



先生の解説に「なるほどなぁ……」と

納得しながらもボクは探し物を続けた。

 

そして、その金運上昇財布を買った時にきた封筒を見つけ、

会社名や商品名とスペースを挟んで、感想 でand検索をした。

ando検索というのは、検索するワードにスペースを挟んでもう一つの語句を入れることで

検索結果(正確には、ひっかかる順番が)ががらりと変わる。

一例を出せば、今回の例で出せば、 金運上昇財布(商品名) 感想で検索ボタンを押した。

そして、その検索結果は。


……。



「はぁ……」



ため息が出た。 先生の言った結果どおりだった。


『詐欺だ』とか

『デザインは良いけど効果は……皆無』

『広告についてる学者の名前とか

全部嘘っぱちらしいよ、検索してもかからないし』

『2万円ぐらいのやつの原価1000円以下らしいよ』

『まぁ、信じる方が馬鹿なんだよね』

『いや、でも夢見れた分幸せじゃない?』

『こういうのは、遊び半分で買うのがベストだね』

『広告についてくる、漫画は胡散臭くて面白いよね』

『AとBとCは同じ会社らしいよ。対応かえてるの大変そうやね』


などだった。



『まぁまぁ、あんまり気ぃ落とさんで。

でもまぁ……あんさんが思ってるほど

世の中綺麗やないからね……わしも

少しがっかりしてるよ。はぁー…』



そのため息につられ、ボクもため息を漏らした。



「はぁ……」


『世の中、人を幸せにしたモン

勝ちっちゅーもんもあるけど、

大抵は騙したモン勝ちやからなぁ…』



色々思い返した。訪問販売に騙され

全く効果のないお灸マット的なものを37万

(最初は50万、身内割引きという設定で特価という)

で買わされたこと今考えると、すき放題嘘を言ったり、

心理テクニックを駆使していたんだなと思う。


腰が治ったら見に来てくれるとの約束も守られていない。

騙し騙されるそんなのテレビだけの世界かと思っていた。

現実は思ったより厳しい。



そんな騙されてもめげずに生きていくしかない。

めげずに生きていくにはどうすれば良いのだろう?

分からない……。

分からないから駄目もとで聞いてみた。

心の声や感情が聞こえているから多分何も説明せずに、

自分と一心同体の何かは答えてくれる気がする。



『まぁーまぁ、気ー落とすなって

物事には何方向かの解釈の仕方があるんよ。

どう解釈するかちゅーのは個人個人の自由や。

人生うまくいってる人は解釈上手とも言えるで』


「えっと……」


ボクは、よく分からなかったので聞き返した。

というよりも、沈み始めた気持ちでは、

冷静に考えることが出来ず。

先生を頼るほかなかったかもしれない。


『例えば、騙されて買った財布に

関して良い面だけ見るとやな…』


「んー……何かあります?+な点」


『んー』



数秒間があり、ゆっくりと答えてくれた。



『あっ、えっとな、まだ金銭的安定が無いから

しゃーないやろうけど、あんさんは、

給料の残りとかって、ゲーム買ったり

本買ったりに使こうてるやろ?』


「あ、うん、本を読んで知識得たいし、

息抜きで遊びいくのも少しもったいないかなって」


『でま、そんな給料を財布のために使こうたわけやろ』


「うん?まぁそうだね?」


『財布の評判ってどうやった?友達とかに見せた時』


「えっと、悪くはなかったかな。

"『へー、結構洒落たの持ってるんだね』"

って言われた気がする」



『そか、褒められたちゅーことになるな??

それはええこととちゃうんかな?』


「うん?」



言っている意味が分からずボクは問いかけた。



『えーとな「金運が上がるかも」ってキッカケで

財布を買ったんやろ?』


「うん」


『でま、「洒落た財布だね」と褒められた訳や。

「金運上がる財布」と騙されたにせよ、

そのキッカケがあったから、高い財布を買った訳や。

でま、幸いなことに見栄えは悪くない。

率直に言うと、自分自身に対する良い投資に

なったんやないかなって思うんよね』


「なるほど、なんとなく分かりました。

褒められたのは確かに、少し嬉しかったです。

あ、そういえば」


『おっ、なんや? 他にええことあったんか?』


「いえ、でも、それのおかげで

洒落た洋服とかお金ためたら買おうっ

て思えるキッカケになった気がするかな」


『うーむ、ぶっちゃけるとあんさんは、

金に無頓着やからね。

もっと色々使い方とか学んだほうが良いかもしれへんね』



そういえば、財布を買ったことで、

少しだけ高いブランド物に拘る人の

気持ちが分かった気がする。


現に『洒落た財布だね』といわれた時、少し嬉しかった。


もし、買ったものが服だったら、

オシャレだね、カッコイイね、似合ってるね、

…みたいに褒められる。

それを想像すると、少し服を買いたいなと思えた。


そんなこんなで、「金運が上昇する」と騙されたが、

物の価値観について考え方が変わる

良いキッカケになったと思う。



『後は、買い物する時、

調べてみるっちゅーことも大事やね』


「確かに……調べていれば騙されなかったですね」


『環境がよーなる半面、悪いことも巧妙さを

増しとるちゅーのが現状やしね』


「しっかし、平気で嘘を書くってのは許せないなぁ……」



そう言うと同時に手に力が入った。



『まぁまぁ、抑えて抑えて。

皆が皆被害者って訳はないやろうからね。

逆に、買えて幸せな気持ちなったり、

幸せを掴んだ人にとったら、それは掛け替えのない

変わるキッカケをくれたモノやからね』


「……」



否定もしない、肯定もしない、

見事な中立的立場の意見にボクは、生唾を飲んだ。

(師匠より凄い人かもしれない……)

と一瞬思ったと同時に気づいた。


……ってアレ?なんでこんな話になってしまったんだろう。

話的には良いことな気はするけど…

と思い始めていると案の定。



『え……となんやったっけ?』



……やはり一心同体らしい、そういえば、

何かをくれるような会話をしていた気がする。



「えっと、物じゃないんだよね? 先生がくれるものって」



ふと無意識的に『先生』と呼んでいた。

自分と一心同体ではあるが、あらゆること物事を

冷静に判断してボクを助けてくれる気がした。

だからとりあえず、自分自身?のことを『先生』と呼んだ。



『ん?先生?……ぁ、わしか!

んー……そういわれるとこそばゆいなぁー』



先生はコホンと咳をして、改めてと言わんばかりに言い直した。



『んまぁ、物はあげられんが「モノ」ならあげるさかい。

まぁ楽しみにしといてんか』



自分自身?なので先生が言わんとせんことは

なんとなく分かった気がした。



「モノ……ですか、分かりました」



少し嬉しかった。

自分は、この『先生』が居れば成功できるような気がしてきた。


先生がくれる『モノ』はいったいなんなんだろう?

成功へ近づく一歩(機会)なのだろうか?

それとも自分の夢を支えてくれる(モノ)なのだろうか?


ボクはこの時、成功への道はこうも険しい道なのだとは

思っていなかった。



『とりあえず今日は、終わりやな、適当にメモしたか?』


「んまぁ……ぼちぼち……

あっ、えっと、ありがとうございました」


『おぅ、こちらこそおおきに。

教えがいありそうやからわし、楽しみやわ!』


「ははっ、それは、良かったです」



そして、徐々に睡魔が込み上げてきた。



「ふぁああー……」


『おっ、大分話しこんだなぁ。

今日は、夜9時から仕事やったっけ?

仕事に備えて寝た方がいいかもやね』


「う、うん、じゃ、お言葉に甘えて、おやすみなさい」


『お疲れさんっ』


そして、自分の部屋から寝室に移動して、

ベッドの上にのり、毛布を被り目を瞑った。

(色んなこと思い出して疲れちゃったや…)


そんなボクが眠りにつき意識が薄くなってきた。

徐々に夢の世界が見え始め意識は、ゆっくりと

夢の世界へいざなわれていた。



「ZZzz……」



姿は無いが、寝息を立てるボクを

見守っている何かがそこにはあった。


『……ふぅー……

(わしが与えるモノは、現状を満足している

あんさんにとっては、一つの試練になるが、

耐えてくれよ?……あんさんは、きっと成功して、

世界を明るく変えてくれる存在やから……』



そんなどこぞのファンタジー小説の

一文みたいな声が聞こえたような気がした。

恐らく……夢だろう……。




次回は 1話と2話の簡単なまとめ?になります。 読み飛ばしても構いませんが、反復して読者様の身につけば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ