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第7話 スタート地点

ボシャーン!


俺は異世界に来るといきなり水の中に落とされた。

家で寝ていた状態からいきなり水に落ち、焦って飲んでしまった水はしょっぱかった。


そして水から顔を出した俺の前に広がるのは何処までも続く真っ黒な水、水、水。

どの方向を見てみても天球全体に散りばめられた光の粒と、少し荒れている波からこぼれ、月に照らされて輝く水の粒の間には遮るものは何一つない。


「海かよォォォ……!」


ォォォ……


遮るものの全くない夜の海に俺の声は木霊し、波の音に溶けていく。



なかなか悪質じゃ無かろうか。

俺が今まで読んだどんなクズ神でも転移からいきなり何もない大海原のど真ん中に投げ出すような奴はいなかった。


「クッソジジイィィィ……!」


この声もまた、夜の海に木霊してーー


「わしはまだ若い!」


突然聞こえた老人の声に遮られた。


「うわぁぁぁ!」


立ち泳ぎをしながらキョロキョロと周りを見渡すがそれらしき影はない。

当たり前だ。大海原の真ん中を散歩してるじーさんなんていくら異世界でもいるわけがない。


「気のせいかな?」


「いや、おるよ?」


再びあたりを見渡すが、黒い海と空があるだけ。しかも2回目は頭の中から聞こえた気がする。


「幻惑魔法かなんかか?」


「違うなそもそもお主の《状態異常耐性》があったらあらゆる状態異常は効かん」


こいつ、なんで俺の能力を知ってやがる。

《状態異常耐性》はLV.1の効果が《魔法耐性》に似ていたところから状態異常無効だと推測してとったのだ。心を読んだのか?


「テレパシーか?」


「まぁ、合格といったところじゃな。正確には神託といったところじゃが」


「じゃあ、お前があのジジイか?」


「失礼な!ワシはまだまだ若いわ!」


セリフがすでにウザいジジイなのは置いといて、文句を言っておく。

言わなきゃ気が済まねえ‼︎


「若いジジイよぉ、何で転移した先が大海原のど真ん中なわけ?

ねえ、空中スタート位なら定番だけど島1つ見えない海上スタートとかどんなMプレイだよ‼︎」


「そうそう、その件について言いたくての、ちょうど貴様が《言語理解》を習得しておったからそれに作用して神託を送ったんじゃ。本当ならワシからの神託ともなると神殿の1つやーーー」


「御託はいんだよ、神託しろや‼︎」


俺、いつにもなく強気です。

相手が見えねーしな、今回のように確実に相手の方が悪ければ、俺でも強気に出れるってことだ‼︎

さあ、神よ俺に膝まづけ‼︎


「ならばはっきり言おう。これはシステムエラーでもなければ設計上のミスでもなんでも無い。ただ、システム通り『前回のセーブ位置』に出現させただけじゃ!」


『前回のセーブ位置』だと?


言われて思い返す。

俺は前回、オなんとか大陸を消滅させていて、俺がいたのもその大陸。

そして大陸がなくなったら下は海。



つまり自業自得ってことっすね!


「すいませんでした!神様」


俺は立ち泳ぎを止め、土下座の体制のまま水に沈んでいく。そして10秒ほどで泳いで上がってくる。

これぞ奥義水下座みずげざ‼︎


「まぁ、お主が今まで通りワシを楽しませてくれれば問題なかろう。ワシ忙しいから仕事に戻るわ。じゃあな、頑張るんじゃぞ!」


うん、この神様は自分が楽しめれば本当に何でもいいらしいな。

というか、仕事忙しいならゲームとか作るなよ‼︎

そのおかげでチートもらえたんだけどさ!

そしてそれを機に神様からの通信は途絶えた。


強化された体は、大して疲れるわけでは無いが、立ち泳ぎをずっとやっているのもやなので、俺は体の力を抜く。

すると、身体はちゃんとプカプカ浮いてくれた。

海は浮力が大きいらしいからだな!

筋肉より脂肪が軽いみたいなのは関係無いからな!


プカプカ浮いていると地球では見ることができ無いような輝きを放っている星々が目に入った。

星って本当に瞬くんだな。


「綺麗だ……」


いつもなら、「あれが落ちてきたせいで俺は水の上なんだけどな‼︎」みたいなことを言うところなのだが、この時ばかりはこの星々の光にちっぽけな自分が呑み込まれないように必死で、ほかのことを考える余裕は無かった。


〜〜〜


「んーはぁ!グウゥはぁ!」


いつの間にか眠っていたらしい。いつものように伸びをして、立ち上がる。


ん?俺は昨日海の上で寝たはずだ。


そう、立てたのだ!つまり下には地面!それの意味するところは、





ーー俺は海底で眠っていたらしい。


気付いてすぐ息を止めるが、その後すぐにその必要がなさそうなことに気がつく。

感覚としては《魔法抵抗》で《メテオ》の熱を無効化した時に近い。


「『水中』も状態異常かよ‼︎」


そう、こう考えるしかないのだ。

《状態異常耐性》しか要因がない。神様もあらゆるとか言ってたしな。

まぁ、これでかなり便利にはなった。

俺の陸探しがな!


「鑑定」


一応《鑑定》を使おうとしてみる。

選び直した時点で何となく分かってはいたが、やはり使えないようだ。


いくらチートとはいえ限度があるってことか。


〜〜〜


水面を泳ぎ続けて3時間ほど経っただろうか。

陸を探すと決めてから、時々周りを見渡す以外には止まることなく泳いでいるのに、今だに陸地らしきものの影さえ見えない。

取り敢えず流石のバグステータスでも疲れたので海底で一休みすることにする。


異世界の海はとても面白い。

色とりどりの珊瑚や、大きな熱帯魚のような魚。

1度遠くに見えたイカは地球ならクラーケンと呼ばれるようなものだった。

常に視界のどこかでは捕食が行われていて、俺も一度イソギンチャクのようなカラフルな触手の奴に絡みつかれた。

触手プレイは見る方専門だし、毒も効かなかったからそのまま泳いでたら触手を引きちぎれたんだけどな‼︎



そして今、何だろう。

周りから声が聞こえる気がする。

小さな声に耳を傾けると


「あっち、餌」


「そこ、餌」


「敵、来る」


などと声が聞こえる。声の方に目を向けると、数匹の人面魚が話をしている。

言葉がわかるのは《言語理解》のおかげだろう。

控えめに言ってかなりキモい。

鮭の頭の前の方にキュー○ー人形の頭をつけた感じだ。


ここで俺は思いつく。




あいつらに陸の場所聞けばよくね?


対話というのはとても大切で、それがうまくでき無いだけで相手とは対立関係になってしまうこともある。

しかし、逆に言えば対立関係にあるもの同士でもそれによって歩み寄れるのだ。

彼奴らは恐らく魔物だし、今まで読んできた小説通り、人間とは敵かもしれない。

でも俺は思うんだ!

言葉が通じる以上歩み寄る余地はある、と!


人面魚が話している。と言うシュールな光景に興味を持った俺は色々理屈を立てながら、話しかける口実を探す。

だって面白そうじゃん。


あいつらにとって笑顔が友好の印とは限らないので、合えて笑顔でなく、出来る限りキュー○ーっぽい顔で近づいていく。


「俺、仲間、探す、場所」


あいつらの言葉に合わせて可能な限り端的に状況を伝えた。

すると、リーダーのような頬に傷を持ったワイルドなキュー○ーちゃんが俺に


「お前、仲間、あっち、遠く」


と尾ひれを使って器用に教えてくれた。


「ありがとう」


ほらな?キモくても話せばいい奴だろ?


俺は人面魚に礼を言うと歩き出す。

遠いらしいが、疲れた俺は海底を歩いて行くことに決めたのだ。

海の中見てる方が楽しいしね!


しかし、数分歩いているうちに浮力で歩きにくいのが気になり始めた。


「重くて持っててもかさばらないものないかな?」


あたりを見渡すが、そんな都合よく落ちているわけもない。


スキルに重さ増やす奴なんてないしな……いや、もしかして!


俺は1週間ぶりに《アイテムボックス》の中身を確認する。


***


世界中の魔素

約26250000000000000000MP(約二千六百二十五京MP) ×1


ドラゴンの胃液×1


緑竜の頭蓋骨×1


***


あった!俺は『緑竜の頭蓋骨』を取り出すと迷わず頭にかぶる。

ぴったし!

重さも丁度よく、歩きやすい。

1週間前の頭蓋骨覚えてるとか俺天才じゃね?



こうして、俺は目的の方角と歩きやすさを手に入れ、再び海底を歩き始めた。


ありがとうございます!

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