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第6話 自作自演

主人公、世界を救います。

校舎裏ではデブが4人の不良に『逃げ道はありませんよ〜』と主張するような体制で追い詰められていた。

俯いているデブの表情は窺えない。何か呟いてる?


「おい、ブツブツ言ってねーで金貸してくれよ」


「頼むよ、な、痛い思いはしたくねーだろ?」


ち、ちょっと、モノホンの不良さんじゃないですか〜え、こ、怖くなんかないですよ。場所?影から覗いてますけど?


「おい、シカトしてんじゃねーぞこら‼︎」


このままだとデブが殴られる!






……いや、助けに行ったりしねーよ?

だってデブだし。美少女ならまだしも、あいつが殴られようが知ったことじゃない。

そもそも、コンタクトの件を誤魔化してカッコつけるって目的は達成したしな。



そう考えた俺は傍観を決める。

しかし世の中は、いや、俺のお隣はそんなに甘くなかった。


ポン!


物陰に隠れていただけの俺はそんな軽い効果音で不良の真っ只中に押し出された。


「おわっ!」


「あぁ?なんだてめえ?」


めちゃくちゃ睨まれている。

威圧されながらもさっき俺がいた所をチラリと見ると、あの少女ー田上がいた。

田上は「役目を果たした」とでも言うように膝をポンポンと叩くと、後ろを向いて去っていった。


「おい!余所見してんじゃねーぞこら‼︎」


あいつ、とんでもないことしてくれたな。

目の前には俺とは不釣り合いな四人の不良。

後ろのデブは相変わらず何かブツブツ呟いている。


そう、デブを除けばテンプレだ。

デブ除いたら不良だけだけどな!

ここらでチートでヒーローするかな!

いや、スキルは使わないけどね!

《メテオ》とか出たらシャレにならんし……


「おい、お前らやめてーーオッフ!」


〜〜〜


オレは高校生魔法少年、たき 秋夜しゅうや‼︎

隣の席の同級生の田上と校門で下校の約束をしていて……

黒ずくめの不良の怪しげなカツアゲ現場を目撃した‼︎

カツアゲを見るのに夢中になっていたオレは……

背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。

俺はその男にカンチョーをされ、冷静になると……


「『メテオ』って言っちゃった‼︎‼︎」


俺の突然の叫びに不良は一歩後ずさる。

俺はテンプレ通り『止めてやれよ』ってキメ顔で言いたかっただけなんだ!

なのによりにもよって『めて』の所でカンチョーって頭おかしいの⁈

しかし、もうこんな不良にかまっている暇はなくなった。


ドラゴンを倒した時から俺のINTは100倍以上になっている。

そんなので《メテオ》なんて放ったら地球規模で影響が出るだろう。

とりあえず、不良を追い払う!


俺が動いた瞬間に殴りかかってきた不良達をAGIに物を言わせて避けながら、地面から石を拾うと、攻撃を避けられ、焦る不良に見えるように持ち、思い切り握り潰した。

フッ、どうだ!


サラサラサラ


俺の手から砂がこぼれ落ちる。俺カッケー‼︎

それを見た不良は目を丸くして逃げていく。


ちなみにデブはというと見当たらない。

そもそも俺がカンチョーされた時にはいなかった。

薄情な奴だな‼︎


ドォォ…


とうとう音が聞こえてきた。

その音は今まで聞いた《メテオ》の音の中で最も重く感じる。

幸いここは校舎裏。

周りから見られることは無いので気兼ねなくジャンプする。


ドン!


4日間、力の抑え方を考えてきた成果によって、ぴったし屋上に着地出来た。

ここで待っていればーーー


しかし、思い出す。《メテオ》の隕石はそんなに甘くは無かった。

《メテオ》には火魔法の熱が付与されているのだ。

熱が地上に伝わるのを防ぐため、俺は1日目の速歩きを参考に、校舎を壊さないギリギリを見極め、


ドン!


再び跳躍した。


「届けェェェ!」



《メテオ》との距離はどんどん縮むものの校舎を破壊しないように跳んだ俺は速度を失っていく。



そしてーーー




「何でェェェ⁈」


ーーー《メテオ》には触れられず、その破片のような小さな隕石に当たると、下へ叩き落とされてしまった……!


《魔法抵抗》を意識して破片は消したものの、上の本体との距離は離れていく。



ドン。


俺がターミ○ーターのように落ちた時には本体の《メテオ》はかなり地上に近づいていて熱が伝わらないのが不思議なくらいだ。

マジでヤバい。


「ウラァ!」


ドォン!


もう一度、校舎裏から今度はメテオ本体に向けて直接跳躍する。




再び近づく俺と《メテオ》。



そしてーー俺と《メテオ》との距離があと1メートルほどに迫ると、


フッ!


まるで最初からそこには何も無かったかのように《メテオ》は消えた。


俺は再び校舎裏に落ちていきながら、

そして上を見ながら遠くを歩くデブらしき奴や下校中の我が校の生徒、さっきの不良らしき奴らを見ながら思う。


「俺って何してたんだっけ?」


〜〜〜


《メテオ》発動後は2日目となる日曜。

チートを手に入れてやっと一週間が過ぎ、《異世界でチートしよう‼︎》を使える日になった。


昨日は朝からテレビをつけるのが怖かったが、つけてみると謎の隕石とかの報道は全くなかった。

多分誰も気づかなかったんだろうな。

黒服の怪しい男が家を訪ねてきたり、学校の周りと、大通りの所が何故か立ち入り禁止になってたりしたけど、多分報道規制とかじゃ無いだろう‼︎ 民主主義だし‼︎

信じるか信じ無いかはあなた次第です。


まぁ、過ぎた事はどうなってようが関係ない。ばれてないしな!


何より俺は今日、再び異世界に行けるのだ‼︎


今回のスキルはじっくり選ぶ事にする。

とりあえず、上級の魔法は除外して……


〜〜〜


1時間の思案の結果がこちらになります。


《アイテムボックス》

《言語理解》

《状態異常耐性》

《ウォーターブレット》


まず初めに紹介するのは《アイテムボックス》‼︎

異世界での有能性は十分に立証済みといえましょう‼︎


次に紹介致しますのは《言語理解》‼︎

初めて向こうに行く前は適当に選んだため見逃しておりましたが、これなくしてどうして異世界を楽しめましょう?


3つ目は《状態異常耐性》‼︎

MENも含めたステータスがバグった今、《魔法抵抗》は時代遅れ!

これからは《状態異常耐性》の時代と言えましょう!



最後に《ウォーターブレット》‼︎

『スキル選択』について新たに発見された機能、

「見たいスキルを長押しするとレベル1時点での効果がわかる」

によって分かった貫通に特化したその力‼︎

そんな単体限定魔法はチートでも大した事ないだろうという弱い故に使いやすい魔法です!


今回は慎重に選んだ。

そもそも前回「見たいスキルを長押しするとレベル1時点での効果がわかる」という機能さえも使わなかったのがおかしい。

それさえ使ってれば……うん、多分変わんないね。


そして俺は1週間ぶりに再び「異世界へ出発」ボタンを押す。


「リンクスタートォ‼︎」


俺の目にはみたび光の暴力が襲いかかり、前回聞こえた壁を破る音は「うるさい!」

という声に成り代わっていた。


妹の成長が嬉しい今日この頃です。


まさに自作自演!

次回から異世界パート入ります!

ありがとうございます!

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