第4話 ジジイ
ブックマークがさらに増えて作者喜んでます‼︎
読んでくれてありがとうございます‼︎
俺は今、全力で速歩きしている。
そう、それはまるで、廊下で走っていて注意された小学生のように。
制限時間はあと30秒。
距離は50メートルといったところだろうか。
コースには様々な障害物……
こんな状況なのは…………
〜〜〜
ちょっと、カッコよさげに目標を掲げてみた俺は、俺にチートを与えてくれたゲーム《異世界でチートしよう》を高校生活充実にちゃんと利用するため色々調べている。
まずは、お知らせを見る。
***
「お知らせ」
1、魔王を倒しました
異世界で最初の魔王、「煉獄の魔王」、2体目の魔王「深淵の魔王」を討伐されたので、現代にお帰しいたします。
2、魔大陸を制圧しました
異世界で最初の魔大陸「オラリア」を制圧しました。なお、「オラリア」は原型が残らないほどの損傷が見られたため、世界バランス調整機能によって正式に削除されました。
***
えぇぇぇ!
あの《メテオ》で魔王を倒したのは予想してましたが、2体も‼︎そしてまさかの大陸滅亡⁈
なんか、よくわからない機能も発動してるし‼︎
やばいな、メッチャ人死んだのかな……。
いや、魔大陸って書いてあるし、人はいなかったんだろう!そうだよね!魔物ばっかだったんだ!
いつも通り自分の行った行為から思いっきり目をそらして、選択画面に戻り、「通信で遊ぶ」を選択する。
すると、また選択画面が現れる。
「ソフトを持っている人と遊ぶ」
「ソフトを持ってない人と遊ぶ」
なお、どちらを押しても
「通信相手を探しています」ののち、
「通信相手が見つかりません」と、出た。
こんな事だろうと想像はしていたが、俺は絶対使わない機能だな。
だって、チート使えるの誰かにばれたら面倒だし、このゲーム取られたりしたら最悪じゃん。
もう一度選択画面に戻り、「続きから」を選択してみると、またもや選択画面。
うんざりしてくるけど、ゲームの選択ってのは大体こんくらいはある。
「スキル選択」と「ログ」
1回1回スキル選び直せるのか。なかなか使いやすいな。次はもっと時間をかけて選ぼう。
まずは「ログ」を選択すると、さっき見た、白ヒゲ白髪ジジイが、1回聞いたのと同じ話を始める。
本当に何でロリじゃねんだろうな。
でもな、俺が一番探してたのはこのジジイの話なんだ。
さっき、ジジイの話を読み飛ばしていた俺は、もう一度、今度は熱心に話を読む。
〜〜〜
ジジイの話では、
・剣と魔法の異世界にいく
・スキルを4つ貰える
・魔王を倒すたびに戻ってこれる
この3つは前から分かっていたが、さらに、
・ジジイは神様
へ〜。で?
・ジジイが娯楽のためにこのゲームを作った
ジジイに感謝だね!危うく娯楽の為にドラゴンの食事になるところだったけどね!
・異世界の魔王は大陸に3体ずつの15体
ありがちな設定だな!というか、魔王ってセーブポイント扱いじゃね?
・向こうで過ごす1分はこっちでの1秒、1時間は1分、1日は1時間ただし、こっちから向こうの場合はゲーム終了時と同じタイミング。
さっきクリアした時1分しかたってなかったんたけど……。
・ゲームの再開には1週間待たなければいけない
マジっすか⁉︎
という事がわかった。間に入ったのは僕の感想だ。
異世界には1週間いけないらしい。そうなると、1週間は大陸破壊レベルの魔法を持って生活することになるのか。
……思った以上に危なくね?死んでも「メテオ」とは言わないようにしよう。
そのほかにも、ジジイがブック○フでいらなくなったゲームとともに、これを売った時の緊張や、その際怪しまれて、神の権限を使った事などどうでもいい話をしていたが、もう、眠い。
ジジイの長話は異世界で疲れた俺が聞くには少し催眠効果がたかすぎた。
〜〜〜
そして今朝、ジジイの話が長かったせいで、夜中まで起きてた俺は華麗に寝坊した。
うちの母は起きるのが遅い。だから鈴音が弁当の為に母を起こし、その母が俺を起こすのが普通なのだが、鈴音は新学期初日は午前授業ということで、今日は母を起こさなかったわけだ。
つまり、俺は寝坊した。
目覚ましを叩いて粉々にし、焦って飛び起きてベッドを壊し、制服の着替えで袖をほとんど破り、ドアを引いて自分の部屋ドアノブが修復不可能になった。
制服の辺りで俺の力がやばい事を思い出し、慎重に動く(ドアノブはそれでも壊れた)。
残り時間 5分
昨日までの俺では間に合わないが、今の俺ならいける!
何とか玄関の外に出て、靴を履きながら大通りまでけんけんをし、大通りから青陽高校に向かって走り出す。
その1歩目。
ドォォン!
俺は空中をすごいスピードで地面と平行に飛んでいく。
「ワァァァ……!」
しかし、ここはかなりの大通り。
直線距離は確保されている。
幸い前方には人はいない。
しかも俺の進行方向とは反対車線側。
おそらく、誰にも見られず飛ぶ事が出来た。見られてないはず!
そして着地。アスファルトの地面に衝撃がいかないように膝でのクッションと、転がる事で力を逃す。
10メートルほどで回転が止まると、後ろを振り返る。
「やっちゃったな……」
俺が飛んだあたりには砂煙りがこの距離でも見えるほど上がっている。
でも、人間万事塞翁が馬、後ろにもどうやら通行人はいないようだ。俺は姿を見られずに済んだのだろう。
器物損害とか不良なら、みんなやってるしね、遅刻を防ぐ為にアスファルトの道路壊すとか、健全な理由なら大丈夫でしょ。見られてないし。
俺が後ろを向いたのは目撃者の確認とか、被害状況の確認とか、そんな小さな目的の為だけではない。
俺にはもっと切実な問題があった。
「やばい。通り過ぎた」
そう、学校への道を通りすぎてしまったのだ。
残り時間 3分
全力でなくても力を入れればアスファルトをぶち抜いてしまう俺は、出来るだけ早く、歩き出す。
速歩き
競歩という競技もあるように、なかなか奥が深い。
俺のステータスをもってしてもなかなかスピードが出ない。
早く、もっと早く!
そして残り時間1分。
俺はとうとう教室の扉をあける。
しかし、それで終わりでは無かった。
「だ、誰もいないだと⁈」
黒板には「朝会体育館」と無駄にでかく書いてある。
そう、今日は新学年初日。
体育館で朝の全校集会がもようされていたのだ。
この場合、出席は体育館で取られる。
もう無理なんじゃ……
違う!俺は高校生活を楽しむんだ!
その為に初日から遅刻するなど汚名をかぶる訳にはいかない!
〜〜〜
俺は今全力で速歩きしている。
そう、それはまるで、廊下で走っていて注意された小学生のように。
制限時間はあと30秒。
距離は50メートルといったところだろうか。
コースには様々な障害物、階段、何故か引き戸のドア、どこかで見たようなデブ……あのデブは遅刻確定だな。
こんな状況なのは…………
「あのジジィィィイ‼︎」
全部神様のせいです。
明日の投稿は早くします‼︎
夜中か朝には投稿するのでこれからもよろしくお願いします‼︎