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閑話 髪の長い彼女の話

田上の視点です。


田上たがみ こう、私の名前。

話すのはあんまり得意じゃないけど昔のことをちょっと話したい。


〜〜〜


ちっちゃい頃から話すのは得意じゃなくって周りの人間の観察ばかりしてた。


人が苦手だったから避けるために観察してたのに、小学校に入る前にもっと人が苦手になった。


何でかは分からない。

人の動作が呼吸とか筋肉の動きで予想できるようになった。

同時に、表情で人の嘘が分かるようになった。


今も感覚的に嘘の度合いが分かる。


あの頃は怖かった。


子供は怖くなかった。

頭が悪いからあんまり話したくはなかったけど。


大人が何よりも怖かった。

度合いが低くても話すことには殆ど必ず嘘が入ってた。


嘘か本当かが分かるだけで、本当のことが分かるわけじゃなかったし、人の心の暗すぎる未知が怖かった。


小学3年生位だろうか。

周りの子供も嘘をつくようになった。


女子はずっと嘘をついているし、男子も私じゃなくても分かるような嘘を平気でついていた。


その頃、母親が本心で発する言葉があった。

「あなたは天才よ」

この言葉で私は塾に行かされるようになり、勉強をさせられ、嘘だらけの友達もどきと遊ぶ時間も減っていった。


友達もどきと友達として遊ぶ同級生は羨ましかった。

私にはでき無いことを何も知ら無いから出来る。

無知って素晴らしいと思った。




塾に行く途中。

自習のために早く行くように母に言われてたから、まだ遊ぶ子供の間をいつも通り抜けていった。


その日は抜けおわる前にいつもとは違う状況になった。


囲まれた。男の子が四人と女の子が二人。

全員が同級生。


「おい、ガリ勉!ちょっとバッグよこせよ!」


バッグを取りに来る男の子の動きを読んでかわす。


「……何?」


「お前面白くないんだよ!」


私の言葉が足り無いのは認めるが、囲む理由を聞いたつもりだった。

そもそもそんなことはお笑い芸人にでも言ってくれ。


「……塾があるから」


そう言って馬鹿どもを撒こうと歩みを進める。

6人全員を交わしたと思った。


違った。

女の子がもう1人いて、足をかけられた。

視界の外だったし気がつかなかった。

あの頃は未熟だった。


こけた私の手からバッグが奪われ、子供の加減のない蹴りが入る。


「いつもいい子ぶっててむかつくのよ」


「周りを見下してるんじゃないの」


罵倒も暴力も、女の子が中心だった。

男の子は積極的にはやってなかった気がする。


怖さより、痛さが上だった。

とってはったような罵倒はその前の日にドラマでやってたいじめっ子のセリフにとても似てた。


「止めろよ!」


制止の声が入る。

まだ声変わりもしてい無い高い声だった。


「なんだよ!」


それに振り向く馬鹿共。

蹴りが止まった隙に私は立ち上がり、バッグをひったくって走り出す。


公園の外に出てから、声の主を見てみようと振り向くと、正義の宇宙人の格好をした男の子が7人と相対して口上を述べていた。


「私は正義のヒーローウルトラ……」


「うるせー!チビ!」


「ヒーローとか幼稚園かよ!」


口上の途中で倒され、周りから蹴られる。

さっきの私と同じ。


迷った。

見ず知らずの少年を助けるか逃げるか。


そして走り出した。

公園の中へ。


〜〜〜


「……君、大丈夫?」


うつ伏せに倒れたまま動か無い少年に手を差し伸べる。


いじめっ子達は女の子の1人に噛み付いて泣かせると逃げ帰っていった。


「君じゃない。今はウルト○マンシュウ」


シュウは彼の名前だろうか?

純粋な彼が眩しくて意地悪を言いたくなる。


「……ウルトラ○ンって宇宙人じゃん」


「かっこいいじゃん宇宙人」


「……ほら立って宇宙人」


「そういう意味じゃないよ!」


「……ふふ」


つい、笑ってしまう。

それから塾に行く前に彼と遊ぶようになった。

彼は1人のことが多かった。


明るい彼の性格なら友達もどきと一緒にいそうなのに、私が来るときには1人になるようにしてたんだと思う。


彼は正直でまっすぐだった。

私には正直さが分かって、彼に惹かれていった。


5年生になったある日、ばれた。


塾に早めに行って自習をするように言われてたのをサボっていたのが塾の先生から伝わったらしい。


塾に送り出しされるようになった。


学校の違う彼とは別れの言葉もなしに会えなくなった。





中学生になった。

中学受験は落ちた。

遠くまで行くのは面倒だったし、努力して無いから抵抗もなかった。


全部完璧に解いて回答欄の外に解説を付けてやった。


回答用紙が帰って来なかったのが残念だ。

母は私を罵倒したが、天才天才言われる日々が終わりを告げた。



中学二年でいじめというのを体験した。


理由はろくに人と話もせずに授業も殆ど窓の外を見ているのに成績がいいかららしい。


根暗の成績が良いのは許され無いらしい。


顔もむかつくと言われた。

やたらと本音に近かったので相当むかつく顔をしているのだろう。


3年のはじめ。

クラスが変わってもいじめは続いた。


2年の頃に無視、靴隠し、落書き、教科書破りなどをやられ、


無視で喜び、

靴は隠され無いよう下駄箱に鍵を付け、

落書きは消さ無いから新しく書け無いし、教科書は授業中見て無い。


と、完璧に対処した私は3年でも別に何事もなく、いじめを乗り切れると思った。


1週間で引きこもり始めた。


ダメだった。

私を確かにいじめてるのに、2年のクラスメイトとは全く違う。


害意のある人間がい無いのだ。

誰もが自分も被害者だと思いながらいじめていた。


いじめ自体は耐えれた。

人間の心の弱さ、アンバランスさ、気持ち悪さが嫌になった。


髪を伸ばした。

人の顔が見え無いように。

人の嘘がわから無いように。


適当に学校には行って、私の内申点では行けないような学校に学力に任せて入った。


高校ではずっと目を隠して、嘘に気づかないように生きた。


足元を見て音音を聞けばだいたい問題なく動けるようになった。


中2の時のいじめの中心人物は同じ学校だったが大したことはして来なかった。


周りからも根暗として見られていたが、適当に過ごせた。


ーー2年になって再び彼に会うまでは。





最初は気がつかなかった。

顔は見ないようにしてるし、声も変わってた。名前もシュウだと思ってた。


隣の彼は超能力者かなんかだと思った。


引きこもってる時に少し嗜んだ程度の厨二心にも興味があって調べてみると、顔つきは変わっているものの、彼は宇宙人だった。


そして屋上で彼にニキビを治してもらった。

鏡なんて見ないし、見ても髪しか見えないのでそれがニキビだと気がついていなかった。


そもそも今までできたことがなかった。


彼は強い力を手にしていて、それでもなお未だにまっすぐな心で動いてた。


彼が私を助けると信じて飛び降りた。

そうすれば彼は授業に間に合う。


いや、授業は建前で本当のことを教えてほしかった。


彼のことを知りたかった。






デートの日早めについてウロウロしていたのを彼のお母さんに入れてもらった。


彼の部屋はボロボロで散らかっていた。

誰もいなかった。


彼が忘れてるのか、私なんてどうでも良いと思ってるんじゃ。


そんなことを思ってるはずがないと分かっていても不安だった。


彼は帰ってきた。

瞬間移動かと、驚きそうになったがそんな場合ではなかった。

彼は弱っていて、私に全てを話してくれた。


何で私に話してくれたのかはわから無い。

でも頼りにされて嬉しかった。

まっすぐな彼はその心ゆえに傷ついてた。


彼と共に異世界に行った。

ずっと人の心の未知が怖かったからそれが見える《鑑定眼》を選んだ。

ただただ厨二心で《竜化》を、選んだ。


言葉がわかんなくて困った。

魚人の女の子が彼と親しくしてて嫌な気持ちになった。


あんなに頭を使ったのは生まれて初めてかもしれ無い。

言語を覚えた。

彼女と話した。

彼女も優しくてまっすぐな人だった。

彼のためにこっちで誰より頑張ってた人だった。

もどきでない友達になれた気がする。


彼は私に色々くれた。


感謝を伝えたくて迷惑かもしれ無いけど、唇を頬に当てた。


「……宇宙人、宇宙人でいてくれてありがとう」


ここで一応二章終了です。

中途半端ですいません!


読んでくれてありがとうございます!

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