第27話 日常
前話改訂中にデートのところで新キャラが発生しました。
昨日は久しぶりに時間があったので、2章のところを色々直したので、ちょっとマシになったかもしれません。
デートから3日、精神的に余裕が戻ったのか、昨日までうなされていた悪夢を見ないで済んだ俺が目覚めたのは登校時間2分前だった。
「ありえねぇぇぇぇ!」
俺はベッドから飛び起き、寝間着を脱がずにスーツのCMのようにカッコつけながら学ランをそのまま羽織る。
スラックスもそのまま履いてドアノブのないドアを開け、階段を転がるように降りた。
「ごめん、忘れてたわ」
母親の腑抜けた声を聞きながら母親が投げてきた菓子パンをダイレクトキャッチしてドアに手をかける。
ここまでで1分30秒。
つい、この間も似たようなことがあった気がするが、その時より時間が酷い代わりに俺には最高の移動手段がある。
このために取ったと言っても過言ではないこのスキル、
「《ワープ》!」
俺は学校のグラウンド隣の殆ど使われることのないトイレをイメージして転移する。
ズドン!
「なんじゃこりゃあぁぁぁ!」
重鈍な響きとともに俺の体はトイレの壁を突き抜けた。
いくら普段使われなく、ボロいとはいえコンクリートの壁を突き抜けたにも関わらずさらにグラウンドを数回バウンドして、俺の体はやっと止まった。
「嘘だろ」
残り時間マイナス2秒。
時計を見た俺はよろよろ立ち上がるとグラウンドの真ん中、砂煙の中から外国の映画の最後のシーンとかのイメージで教室に向かって歩き出した。
ん?変な音が聞こえる。
まるですごい数の人間が何かに駆けつける足音のような……
「なんの音だ!」
「なんだなんだ?」
「何があったの?」
高校生は夜にコンビニなど光のあるところに集まることから虫のようだと言われることがあるが、実際はもっと色んなものに集まる。
騒ぎ、流行、有名人、噂話、学生割引、ラーメン、可愛い女の子、etc.
うん、最後の方には男子高校生の主観が入ってたな。
そして俺の起こした轟音はその中の『騒ぎ』に当てはまってしまったようだ。
このまま生徒に遭遇すれば俺はトイレ壊しの汚名を被ることになる。
遅刻してトイレ壊してた奴とか絶対に頭逝ってる。
こうなったら《ワープ》を使うしか……
「……待って、宇宙人!」
今まで聞いたことのない田上の大きな声に思考を妨げられる。
声のする方を見ればグラウンドの隅で田上が口に手を当てている
そんな中生徒たちの足音は着々と近づいてくる。
「えっ?何?宇宙人がいるの?」
「まじかよ!もしかしてこの前の隕石の時の?」
「行って大丈夫かな?」
大丈夫じゃないよ!
マジで来るなよ!
そんなことを思っているうちにとうとう彼らはやってきたようで、先頭にいた光と目があった。隣には結城さんが駆けてくる。
「何があったんだ!って秋夜じゃん!すごい音したけど何やったんだ?」
「秋夜君が何かするわけないでしょ!秋夜君そんな格好になって大丈夫?」
あれ?ばれてない?
そりゃそうか。結城さんでなくとも俺があんなことをしたとはとっさには思いつかないよな。
「い、いや、全然何にも全く分かんねー。トイレの個室出ようとしたらなんか誰か入ってきた足音がして、取り敢えず急いで教室向かおうと思ってたらから無視したんだけどそしたらすごい音がしてあんな感じに……」
俺にしてはなんとかましな誤魔化し方じゃね?
「マジかよ!うわっ、本当に穴空いてるし。ていうか、お前犯人見てんじゃん!どんな格好してた?」
「え、えーとあ、頭から足まで真っ黒かな」
あー、犯人という言葉で見た目は子供で頭脳が大人な彼の話の最初に出てくる犯人を思い浮かべてしまった俺は負け組だ。
「もしかして制服なんじゃない?」
「制服って学校のか?」
あ、誤魔化せるのね。
2人で推理を始めてしまっている間に上手く大分集まってしまった人をすり抜けて……
「おい、滝!あそこで何やってたんだよ!」
オバハン教師に呼び止められた。
いや朝の会はどうしたんだよ!あんた2Cの担任だろ!
と、そんな文句を言えるわけもなく、俺は職員室に連れて行かれた。
〜〜〜
職員室にやってきた俺は朝の時間を十分に使って絞られた。
若干、1時間目の時間も使ってた。
最初はあれがなんだったのか聞かれ、俺がやったんじゃないかと疑われた。
質問された時に若干目が泳いだのがいけなかったのか、俺はかなり疑われたが、そもそもあんなことをする道具もないし、俺が作り出した黒い男の仕業ということで渋々納得してくれたようだ。
この教師は去年俺が宿題を忘れた時もしつこかったし、苦手だ。
たった3回忘れて、次の時怒られるのが嫌で光のを写させてもらっただけなのに小一時間は怒られた。
ずっと言い訳していた俺は、なんか本当にあそこには誰かがいたような気持ちになってきた。
そもそも《ワープ》をした俺が突然あんな方向にぶっ飛ばされるのはおかしいし、俺のせいじゃなくて本当に黒い男がいて、俺を飛ばしたんじゃね?
〜〜〜
「すいませんでした!」
「……だから注意したのに」
その日の帰り道、俺は話すのが面倒そうな田上にテレポートについてとある運動についてをスマホで見せられ、謝ることになった。
地球の日本の皆さんこんにちは!
あなた方は銃弾並みの猛スピードで今も動いています!
そう、「自転」です。
つまり、《ワープ》は位置は移動するけどエネルギーは移動しないから吹っ飛ばされるってことらしいね。
他にも移動した先に人がいると、人を千切って転移、人の体の一部と入れ替わって転移、人と融合して転移、という恐ろしい3つの可能性があったり、それでなくても転移させる物の指定をミスったら体がちょん切れたりするのだ。
マジで危ねえ……。
とりあえず《ワープ》は封印しようと思う。
ありがとうございます!
僕、シリアス書くのが嫌いみたいなのでこんな無理やりな感じになってしまいましたm(_ _)m
これからはあんまりシリアスさはでないと思います。