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第24話 魔の町

朝投稿できなくてすいません。

残酷な描写があります。

魔物の町で俺の目に最も強く残ったのは、4メートルはあろうかという巨大な鬼でも、目に入るだけで体が痒くなりそうな1メートル近い蚊でもない。人だ。


町にいる人々は俺の見える範囲にいる限りほとんど全員が死んでいるようだ。


屋台の裏には首を切られ足から吊るされて干し魚のように干される者、道には狩の成果のように首を鎖でつながれ担がれる者、魔物が集まる中心には見世物として多くの魔物の前で奇妙な動きをする魔物に叫び声をあげながら足から切られていく者、肉屋の裏には狭い檻のようなところからあり得ない数の手や足や頭などをなんとか出してもがく者達、街の隅にはバラバラにされ山のように乱雑に捨てられた者達、裏道には中途半端に食い散らかされ路上に無残な姿で捨てられた者達……。


一度町の一画でそんな様子を見つけてしまうと、町のいたるところで次々と似たような様子が目に入る。


その町にいた人々の利用方法は食事から娯楽まで様々で、どこまでも残酷だった。

同じ人間ならこんなことはできないだろう。



怒りでも悲しみでもなく、強烈な嫌悪感が俺を襲った。

それもこんなことをした魔物に対するというよりここにある人々の姿に対してだ。


知らない人のグロテスクな姿を見て、同じ人間だからといって怒りや悲しみが湧くだろうか?



ーー否、湧かない。湧くわけがない。気持ちが悪い、一番に感じるのはそれだ。


「オエェェェゴホッゴホッ……」


俺は嘔吐感に見舞われ、腹が空いているにも関わらず、腹の中に残っていた刺身を俺の立っている壁に吐き出す。


俺が嘔吐によって嗚咽を漏らしていると、背中の一部から暖かさが消えた。


メイが頭を上げたのだ。


まずい、こんな情け無い姿を見られていい訳がない、ましてや下の惨状などメイに見せられるわけが無い。

俺は咄嗟にメイのフードを掴み、目を覆う、


「な、何するんーー‼︎」


「はぁ、はぁ、メイ、お前は絶対に目を開けるな。

目を開けていいのは俺が死んだ時だけだ。目を開けるように言ったら俺のことは気にせずに逃げろ」


思いの外低い声で威圧的になった。

マジでカッコ悪い。

吐いた直後で嘔吐物が口についてるし、俺の好きな最強系主人公なら気が立っていてもヒロインには気づかれずに飄々として敵を倒しに行くのに。

そもそも、彼らはこの程度のことでビビるような奴らじゃ無い。

最強系主人公が死の心配なんてナンセンスだ。


メイには俺の緊張が伝わってしまったらしく、俺の背中に暖かさが戻る。

震えているかもしれない。

女の子を、メイを怯えさせるなんて俺はクズだな。


そうだ、俺はクズだ。


そしてクズは思うのだ。

ここにいて今も苦しんでいる人はもうダメだ。見捨てるしかない。

耐え難い苦痛を心に、身体に刻み込まれた彼らは死を望んでいるかもしれないんだから、それよりもやらなきゃなら無いことがある。


あの人たちの復讐だ。





ーーこの町の魔物を皆殺しにするんだ。


〜〜〜


俺が壁を駆け下り、着地と同時に亀の魔物の頭を踏みつぶしてからもうどれくらい経つだろうか。


いや、集中してるせいで長く感じているだけかもしれ無い。案外10分くらいだったりするのでは無いだろうか。


「止めましょう、シューヤさん……」


俺は街中で破壊を続けている。

真っ白だった俺の緑竜の頭蓋骨は魔物の血によってその名の通り緑に染まっている。


俺が集中しているのは魔物の攻撃を受け無いようにするためでも、しっかりダメージを入れるためでもなく、ただ効率よく動くため、そしてメイのローブに汚い魔物の血が出来るだけつか無いようにするためだ。


手前に2匹の魔物、熊とカマキリか。


「メイ、しっかり捕まれ。絶対に離すな」


俺は両の手を広げて走り勢いそのままでジャンプしながら2匹にラリアットを食らわせ、首をもぎ取る。


ゴースト系の魔物はダメージを与えられなかったので無視して透過する。てか、もう死んでんだろ。


左に狼の魔物、走るために出した足でそのまま蹴り殺して走り続ける。


右にスライムのような魔物、身体の中を高速で動き回る核をAGIに任せて素手で掴み取り、握りつぶす。


魔物を倒す作業は最初の頃、一体ずつ殴っていたが、作業スピードを上げていくにつれて走りながら流れ作業で行えるようになった。


ハッハー!どんどん魔物が死んでいくぜ!


俺は《言語理解》を持っているから魔物の断末魔の意味がわかる。


「最近お子さんは?」「元気すぎますよ。明日は子供に魔法を……」

「な、何?あれ?……」

「はぁ、今日は狩りが長引い……」「近頃は空気中の魔力量が少ないわ……」


おそらくこの世界の人間が日常するのと変わら無いような会話。

胸くそが悪い。これだけ多くの人を殺しておいて、死より残酷な目にあわせておいて、なんでそんな会話ができるのだろうか。


この町では地面の損傷など気にとめる必要もないので体力的に無理がない程度に全力で走り回って魔物を淘汰していく。


殆どの魔物を殺した俺の前に現れたのは檻。

さっき見た人の檻だ。

俺は檻を手でねじきり、中の人の手を取り、出していった。

気分が高揚していた俺はたとえ偽善でも人助けをやりたい気分になっていた。

1人ずつ出していくが、ぐにゃりとした人とは思え無い気持ちの悪い触感に嬉々としていた顔を歪める。


死んでいるものがその感触なのはまだ分かる。

しかし、生きているものまでがその感触を伝えてくるのだ。

意識があるものは光を失い虚ろな瞳を俺に向けてくる。


気持ちの悪い感触を我慢していた俺もその目には耐えられなかった。

負の感情によって光を失った瞳に恐怖を感じて、後ずさると何かに当たり、後ろのメイが少し強く震えた。


後ろを振り返るとそこにはヴェネツィアの仮面のような物を被った人間のような形のものがいた。


ありがとうございます!

ここから先を上手く描ける自信がないです……。

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