第17話 登場
すいません、短くなりました。
カーンーー
俺は砂埃が晴れると、田上を見る。痛そうでもないし、無事だったようだ。前髪が邪魔で表情は分からないんだけどね!
そして、お互いに何か言い合うわけでもなく、頷きあうと、教室の方へと走り出した。
そう、まだ授業に間に合うかもしれないじゃないか!
あと一回の音でチャイムが終わるが、先生が出席を取るまで待てば問題ない。
しかし、ここで問題がある。
俺達は窓側にいるのだ。
一度昇降口まで回るか、窓が開いてる事を祈るかはかなりの賭けだ。
いや、昇降口までは今の速歩きでは間に合わない可能性が高い。
「窓から入るぞ!」
「……おう」
ノリがいいな。
コーン
俺たちは教室が見えるところまでやっ来た。
窓は閉まっている。
もう、間に合わない。
「俺たちの青春は終わったんだ」
「……諦めたら試合終了」
くっ、今屋上から飛び降りた奴に励まされるとはな、俺も丁度そう思ってたんだよ!
『そこで』と『ですよ』が抜けてるけどね!
「ちょっと持つぞ!」
返事も待たずに田上を抱きかかえる。今度もお姫様抱っこだ。
教室のドアはおじいちゃん先生によって開かれようとしている。
俺は諦めかけて一度減速した足を踏み出して、跳んだ。
空中で取るのはラ○ダーキックの体制。
バリーン!
その足で窓をぶち破った!
手に抱えた田上を全身で守りながらガラスの破片の中を跳ぶ。
そして、田上を空中で席まで優しく投げ、俺自身も何事もなかったかのようにダイレクトで席に座った。
俺が汗を拭うような動作でガラスの破片を払うと
ウオォォォォ‼︎
教室の男子から歓声が上がった。
そしてドアが開かれた。
〜〜〜
俺は今、反省文を書いている。
理由?大したことじゃない。
ガラスを蹴破ったのがばれたからだ。
高校生男子はノリが良く、バカだ。そう、バカなんだ。
俺たちが教室に入ったのち、当然おじいちゃん先生は犯人を追求した。
俺の登場に感動したのか、誰一人として男子は俺たちの名前を言わ無かった。
女子に関してはこういうことにはあまり首を突っ込まない。
でもね、先生が犯人を聞いた瞬間に男子のほとんどが俺の方を向いたらね、いくらおじいちゃん先生でも気付くでしょ!
やっぱバカでしょ!
おじいちゃん先生はみんなの視線で俺がガラスだらけの制服を見ると、
放課後、職員室への出頭を命じた。
反省文の内容は「ごめんなさい」とか「遅刻しそうでも窓から入りません」とかをとにかく連呼して、行を埋めた感じだ。
俺の貴重な放課後の時間は失われたが、悪いことばかりでない。
まず初めに、反省文を書いたのは俺だけだ。
田上は俺が身を呈して守ったことで、ガラスを浴びて無かったために、先生に気づかれ無かったのだ。
これはまあ、どうでも良いっちゃどうでも良い。
今の田上の髪の下は美少女なのだから良いこととも言えるかな?
次に、遅刻し無かったことだ。
あんな方法でも、授業開始のタイミングに間に合っていたら、文句の言いいようが無いのだろう。
これは大きい。
1回遅刻すると後は「もう良いや」と、適当になってしまったりするのだ。
そして最後に、田上及びクラスメートのイメージが上がったことだ。
クラスメート達は俺が授業に遅れない為だけに窓を蹴破った度胸と、田上をガラスと先生から守ったことで好感度を上げてくれたようだ。
ちなみに、田上は俺が宇宙人だと確信を得たようで、喜んでいた。
ほとんど顔が隠れている奴だが、何となく感情くらいは分かるようになってきたのだ。
あの授業以降は無視せずに少し話してくれたし、『宇宙人』という愛称で読んでくれることになった。
突然飛び降りたり、少し電波っぽいけど、美少女だから問題無いね。
そんなこんなで帰路につく俺。
田上の素顔にかなり衝撃を受けていた俺は先週まで夢中だった彼女のことなどもう、気にもしてい無かった。
ありがとうございます!
今から頑張れば明日は朝投稿できるかもしれないです。(また短くなるかも……)