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第16話 宇宙人

危なかった。

俺の手の中にいる少女ーー田上は一陣の風によって、朱がさした顔を一瞬覗かせたのだが、何故だろう、彼女の美しい顔は、薄く茶色がかったセピアとかいう色に見えた気がした。


田上はすぐに表情を変え、鋭い視線で俺を睨むと、俺の腕から下りた。


長い前髪に顔が覆われる。


そして突然あんなことをした俺を怒るでもなく、ズボンからスマホを取り出す。


なんかデジャヴ?


そして聞き覚えのあるプッシュ音、

確かあれは鈴音の部屋を覗いた時……


「本当にすいませんでした!」


「……なんであんなことしたの?」


田上が土下座する俺にスマホをしまいながら尋ねてくる。

難しい質問だ。

下手な嘘ではそのままサツケーさんにお世話になることになるし、本当のことを言っても信じてもらえるかわからない。

というか、事実が一番嘘っぽい。

これに関してはニキビが治ってることで証明できても、信じられれば俺の能力がバレる可能性がある。


なんかどうでもいいかな。


「実はさ、俺、田上さんのニキビを治そうとしてたんだよ」


「……説明不足。触った理由を聞いている」


「俺、魔法使いだからさ触っただけで治せるわけよ?」


嘘はついてない。

信じてもらえないかもしれないが、とりあえずニキビを治すだけの能力として説明しとこう。

それくらいショボければ、大して問題にもならないか。


「……やっぱり」


「まぁ、信じられない気持ちは分かるけど…………やっぱり⁈」


「そうだと思った。……やっぱり、滝君が宇宙人だったんだ……」


宇宙人⁈俺が!

想像を絶する勘違い!


「……証拠」


口数の少ない彼女が取り出したのはスマホだった。

画面には砂埃だろうか?

住宅地に煙が立っている、動画のスタート画面が映し出されている。


「再生しろってこと?」


田上が頷いたのを見て、俺は再生ボタンを押す。


始まった動画では煙から何かが飛び出し、かなり遠くまで飛んでいく光景が写っている。

ズームされると人みたいだが、解像度的に影しか見えない。

あ、振り向いて変な格好で走りながらスクリーンからアウトしてしまった。


これは、完全に合成だな。

宇宙人は論外だし、こんな映像は常人では撮れっこない。

というか、動ききもいし。

ん?この道どこかで……


「……次はコレ」


俺は動画が静止した後も真剣に見ていたのに、次の動画のスタート画面を見せてくる。

これはあの《メテオ》の日、デイ オブ ザ メテオの映像みたいだ。カッコよさげに言ってみた。

嫌な予感はするものの、無言で促されて、再生ボタンを押す。


落ちてくる隕石に向かって小さな点が飛んで行き、巨大な隕石の下にある点の5倍くらいの隕石を消して、点は落ちていく。

更に、もう一度点が出て、隕石のところまで飛ぶと、隕石は何事もなかったのように消えてしまった。


はい!コレ俺がやりました!

多分前の映像も遅刻の時のやつです!

マジもんの証拠じゃないですか!


でもまだ、一つも顔を映した映像はない!こいつの証拠は超能力者的なやつがいることを証明しただけだ!

まだ誤魔化せる!


「……最後」


見てしまったら反応でバレる可能性があるし、俺は見るつもりは無かったし、再生ボタンも押してやるつもりも無かった。

しかし、そんな事は全く関係ない。

目に入ってきた彼女のスマホに写っていたのは一枚の写真。


そう、俺の目が光っている写真だった。


「……えーと、宇宙人すげーな。じゃあそろそろ授業だから」


何事もないかのように立ち去ろうとした俺の目の前に田上が立ち塞がる。

もう誤魔化せないかもね!


「……これが後輩とネットとクラスメートの力」


「あっあれはなーー」


キーン……コーンーー


グッジョブ!チャイム!

授業には間に合わないけど、これを口実にうやむやにして帰れる!田上さえいなければ屋上から飛び降りれば間に合うのにな。


「授業始まるみたいだからーー」


カーン……コーンーー


俺が階段へ向かおうとすると、田上が俺に一言言って走り出す。


「……見てて」


田上が走るのは屋上のフェンスの穴だろうか?

俺たちの教室は一階。

どうせもう授業にも間に合わなそうなので田上を見てやる。


キーンーー


田上は穴をくぐって、




勢いよく飛び出した!


「嘘だろ⁈」


俺は田上が視界からフェードアウトする直前には地面を蹴り、穴を思い切りくぐると、屋上の縁を蹴って下に向かって跳んだ。


とっさの動きとしてはなかなかだろう。


空中で風圧を受け美少女モードの田上に追いつき、キャッチする。お姫様抱っこの姿勢だ。


「……信じてた。宇宙人」


「クレージーだな!落ちてんだよ?自殺でもするつもりだったの?」


そんな事を言ってる間にも地面はすごいスピードで近づいてくる。


コーンーー


アホっぽいチャイムの音が妙に耳につく。


俺は厨二がやばかった時に練習したように、壁に足をつけて壁を走るようにスピードを落としながら、さらにスピードを落とそうと、声を上げる。


「《ウォーターブレット》!」


地面に向かって放たれたはずのその球は俺の目には映らず、なんの役にも立た無かった。




そして地上。

俺はお姫様抱っこしている少女をかばうために、可能な限り膝を曲げ、肩をクッションのように回し、腰を曲げて、もうできる限り衝撃を抑えた。


全力で飛び降りた俺たちの周りには砂煙が舞い上がった。


部活と体育祭の関係でかなり忙しいので明日も夜になります。

まだ毎日投稿は切らせない!

ありがとうございます!

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