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第15話 ストーキング

俺はやっとこの女子に触ることができた!

動きがスムーズで頑張っても逃げられてしまい、触れなかったのだ!

セクハラ?いや、こいつのためだから!


〜〜〜


俺は現代に帰ってきた。

衝撃事実盛りだくさんで少し疲れている。

まず、魔王を倒した事。

いや、最初から勝てるとは思ってたよ?

でもさ、戦う前から瀕死ってどういう事⁈

結局綺麗に状況だけ説明して死んでったよ!

そして、その説明された状況も半端じゃない。

『人魔大戦』だよ!

しかも、俺が世界中の魔素をアイテムボックスに入れたのが原因だよ!


なんか、もういいかな。

異世界行くのとか面倒くせぇな。

メイさえいなかったら来週は行かないのにな!


俺は《異世界でチートしよう‼︎》を見てみる。

D○の時刻表示は午後3時を示している。

正午に起きて、飯食ったり、ダラダラしてから、始めたから、大体1時間ちょっとだろう。

ん?よく考えると、23時間向こうで過ごしても23分なのに、24時間だと1時間とか適当すぎじゃね?

ま、わかりやすいからいっか。


まず、「お知らせ」を見てみる。


***


「お知らせ」


3、異世界で3体目の魔王、「神速の魔王」、を討伐されたので現代にお帰しいたします。


4、ゲームバランスを整えるため、異世界再召喚期間を2週間に変更させて頂きました。突然のお知らせになり、申し訳ございません。


***


ゲームバランスというのはよくわからないが、2週間あの世界に行けないのか。

メイに会えないじゃないか!

ジジイはロクな事しないな!



その日は特に変わった事はなかった。

しいて言えば、夕食どきのニュースで月に隕石が当たって欠けたみたいなニュースがやっていた事くらいか。

なんでも各国が混乱を防ぐために伏せていた事実を天文学者が告発したらしい。

欠けたのは俺が《メテオ》を発生させた日だが、俺の出した《メテオ》は破片まできちんと消したし、関係ないだろう。

カンチョーの時以外、《メテオ》とか言ってないしね!


〜〜〜


今日は月曜日。

今週から本格的に授業が始まり、なぜか他に比べて異常に範囲が狭い前期の中間テストに備える。


もちろん遅刻はしていない。

鈴音が母親を起こして、母親が俺を起こして、二度寝してから慌てて準備するというギリギリスタイルだ。


教室に入ろうとしたところで、丁度誰かとぶつかった。


「悪りぃ」


「よろしくてよ。次からは口の聞き方には気をつけなさい」


ん?誰だ?

偉そうな物言いに女子とはわかっていても少しイラついて相手を見る。


相手は中川財閥のお嬢様、中川なかがわ 桃李とうりだった。


彼女は相変わらずハーフ特有の金髪と、整った顔立ちをしている。

しかし、そこから溢れるのは先週の麻薬のような魅力ではなく、高飛車な雰囲気。


むしろ、なんで先週まであんなに惚れていたんだかわからない。

だって、メイとか結城の方が可愛いし。


そんな事を考えながらも、中川さんには適当に返事をして席に着こうとして止める。


その前に隣の根暗ーー田上たがみ こうのニキビを治してやろう。


そう、俺が《状態異常耐性》をとった理由はそれだったんです!


《状態異常耐性》はレベル1での効果が《魔法抵抗》に似ていた。

だから、魔法と同じように状態異常も消せると思ったし、実際触れながら念じることで消せたのだ。


「おはよう!田上!」


席に着く前に挨拶と共に自然な流れで肩を叩く。


スッ


ただでさえ目を隠しているような視界なのに、全くこっちを見ずに、田上は俺の手を避けた。


「おはよう!田上!」


再び肩を叩こうとするが、やはり完璧に避けられた。


「おはよう!おはよう!おはよう!」


怪我しない程度の力で連続で連続で振った腕も避けられた。


「……うるさい」


「おう、おはよう」


今度は素直に席に着く。


〜〜〜


授業が始まってからも俺は田上に触ろうとし続けた。


「ねぇねぇ、この問題どう解くの?」



とか、


「おい、田上相変わらず元気なさそうだなぁ!」


とか言いながら何度も触れようとしているのに、避けられ、無視されている。


そして昼食の時間。


彼女は俺が隣に座るたびに位置を変え、とうとう屋上まで来て諦めて飯を食い始めた。


飯のさいちゅうも何とか自然に触ろうとするが、上半身の動きだけで華麗に避けられる。

上半身がダメなら下半身とか思った奴はサツケーに捕まったほうがいい。


ん?下半身?

そうだ!あるじゃないか!男が女の下半身を触っているのに捕まらないラノベによくある体制が!


そこまで考えたところで、飯を食い終わった様子の田上が立ち上がり、屋上の扉へ近づいていく。


今だ!


俺は常人では出せるか出せないかわからないくらいの速度で彼我の距離を縮める。

しかし、先ほどから避けられる肩や、頭を叩くのでは意味がない!


田上の目の前で俺はしゃがみこみ、膝の裏と背中に手を回すと、膝の裏をすくい上げる。


そう!お姫様抱っこの姿勢だ!


俺はとうとう田上に触れられた。

《状態異常体制》を意識して、達成感に包まれる。

そして、ある疑問が湧いた。

『中川さんに興味がなくなった今こいつのニキビを治して気に入られるためにここまでやる必要はあったのか?』


しかし、予想外にもその疑問はすぐに解消される。


お姫様抱っこの姿勢で仁王立ちする俺のところに屋上ならではの少し強い風が吹いた。


お姫様抱っこで驚いたのか、目を見開いている田上の顔が、風に髪をなびかれて、初めて見える。

その顔は馬顔でこそ無かったが、ニキビが多く、状態異常ってのが納得できた。


そして次の瞬間。

《メテオ》の時から何度か味わった何かを消す感覚ののちに俺の手の中にいたのは素っ気ない本人のイメージとは違い、可愛らしい少女だった。


ありがとうございます!

諸事情により、明日は夜の投稿になりそうです。


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