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第13話 出発

太陽は真上に近くてもいい頃だが、空は雲に覆われている。

俺は大陸に向かって泳いでいる。

泳いでいるとはいっても前のようにあてもなく、1人で泳いでいるわけではない。

背中には魚人の少女を乗せ、目の前には数え切れない数のスケルトンが壁の様に岸に陣取っている。

その姿は様々で、ラットスケルトンからワイバーンスケルトンまで大小、強弱、多種多様なスケルトンが帰還後すぐに俺たちを迎えてくれたらしい。


このスケルトン達が迎えてくれているのは魔大陸メガニカである。

オラリアに続いて魔大陸にしか縁がない。


「出迎えご苦労!スケルトン達よ!」


「何言ってるんですか?ふざけて無いで片付けちゃって下さいよ」


「偉そうに言う割に他人任せ!」


「さっさと永遠の太陽エターナルシャインを取り返しましょう!」


俺たちの目的は永遠の太陽エターナルシャインの奪還だ。


先ずは昨日俺が村に戻ってからだが……


〜〜〜


決闘を終えて、村長や治療が終わったムキムキと、講堂の一部屋に集まった。

俺の隣には、当然のようにメイが座っている。

そのメイは、ここまで来る途中に最後の『ドラゴンの胃液』のところを説明してやってから、様子が変だ。


「先ほどは、無礼な態度をとってすまなかった」


「いえ、色々あって気が立っていたのも分かりますから。それに俺たちもう戦友ともじゃないですか」


「そ、そうだな!シューヤ殿がそうおっしゃるのなら、我々は正々堂々と戦った戦友ともだな」


ははは、と豪快に笑いながら握手を求めてくるムキムキ。

ノリで戦友ともとか言ったけど、名前も覚えて無いんだよなぁ。

まぁ、面白い人だしいいんだけどさ。

そんな俺たちの会話に不満を漏らすものがいた。


「正々堂々ですか?あんな不意打ちのような決着のつけ方でよく笑いあえますね?」


なるほど。メイが喋っていなかったのは俺の戦い方に怒っていたからか。


「あれは策略であってさ、決着までドラゴンの胃液を口の中に入れたまま戦ってたり、そのせいで吐き気がしてたり、あれはあれで大変だったんだ」


「でも、あんな風なやり方をしなくたってーー」


「『勝っていたはず』か?確かにあの身のこなしを見ればそうかもしれないな。

だがな、メイ、お前の考えていることも何となくは分かるが、俺だって槍を使っていたんだ。武器を使うのはルール違反では無いし、戦力を隠すのは戦いの基本だ。

これ以上はシューヤ殿だけでなく、俺への愚弄ととるぞ」


「すいませんでした」


メイが少し縮んでしまったように見える。

なんか少し可哀想な気がするな。

メイを意識しすぎて、卑怯と言われればそうとも取れる作戦をとってしまったかもしれない。


「さて、話は終わったかの?

決闘の勝者であるシューヤ殿の話は信じるものとして、詳しく聞かせてくれるかの?」


「詳しくといっても、そんなに聞いた訳では無いんですが、俺たちが戦ったシーカイザースケルトンは、『神速の魔王』に何かの準備を命令されたと、言っていました」


「それが何かは分からなかったということかの?」


「はい、しかし、魔族による襲撃が『神速の魔王』の仕業だとすると、つじつまが合うかな、と」


「確かに我らがあれ程の魔物にあそこまで近づかれるまで気がつかなかった事の説明はつくようじゃの」


しかし、そんな事が分かったところでなす術はない。

魔王とその眷属相手に勝てるようなら、そもそもエターナルシャインを奪われるはずがないのだ。


「しかし、分かったところで絶望的な話じゃのう。

シューヤ殿。ドラゴンを倒したことがあるといったの?

メイを嫁に出す代わりに魔王からエターナルシャインを取り返してきてくれんかの?」


ドラゴンのことは胃液の説明をした時に倒したことがあるとだけ言っておいた。

村長でさえ少し驚いていたのだから、相当すごいことなのだろう。

しかしーー


「無理に決まってるじゃないですか」


「そうですよ!関係のないシューヤさんをそんな危険な目に合わせるなんて!そ、それにけ、結婚なんて!」


さっきまで縮んでいたメイが、今はりんご色の顔で慌てている。

可愛いな。


「メイを貰えるなら魔王くらいはいくらでも倒すんですがね。

なんせ大陸の場所がわかりませんからね」


「「場所の問題⁈」」


メイはムキムキと声をそろえて驚いている。

そりゃあそうだろ。

元はと言えばその為に1日過ごしていたんだ。

どっちにしても魔王を倒さなきゃ現代には戻れ無いし、《ウォーターブレット》の効果が分かった今、《メテオ》の余波で2体も倒せるような奴なら、本気を出せば瞬殺じゃなかろうか。

俺、めっちゃ調子にのってます!


「ゲパルドの魔王城の場所は魔大陸メガニカじゃ!よろしく頼んだぞ!」


俺の言葉を聞いても、驚く顔一つせず、ニコニコしながら俺を見ている村長に、そんな事を言われる。

さっきから、村長の俺の力を知っているような態度には違和感があるが、年の功とかいう奴だろうか?

もしかして……


「場所さえ案内してもらえれば、何の問題もないですよ?」


「正気ですか!あなたは会って間もない魚人のために命をかけるつもりですか!」


「メイ、時間なんて関係ないよ。

俺はお前らを助けたい。

だから戦うだけだ。

男ってのは生まれつきバカなものなんだよ」


決まった!めッちゃかっこいい!

メイも惚れちゃったんじゃね?


少しの間メイは真剣な眼差しで俺を見つめ、小さく溜息を吐いた。


「はぁ、案内役は私に任せていただけますか?

村で1番の治癒術師の自信はあります」


「良かろう。シューヤ殿もそれで良いかな?」


ラブラブ二人旅の予感!


「よろしくお願いします」


「出発の準備が整うまでの間はさっきの部屋を使って、村でゆっくりして欲しいのじゃ」


「明日の朝、出発したいと思います」


「そんなに早く出るのかの?

ここから魔王城まではわしらが泳いでも半日以上はかかる距離じゃよ?」


「大丈夫だと思います」


まぁ、チートだしな。なんとかなるだろ。


「それではシューヤ殿、明日の出発から3日以内にエターナルシャインを持ち帰っていただきたい。

それに間に合わなかった場合は、魔王に負けたものと判断して、我々は大陸への移動を開始するのじゃ」


「余裕で戻りますよ」


「では解散かの」


〜〜〜


その夜、さっきの俺の部屋。

メイが俺の部屋へやって来た。

もしかして、夜這いというやつか⁉︎

そんな嬉しい事があっていいのか⁉︎


「シューヤさん。さっきは不意打ちなどとけなしてしまい、すいませんでした」


真面目そうな話なので、頭を切り替える。


「いや、気にすることないよ。

確かに卑怯と言われれば卑怯なことをしちゃったしね」


「……なんでシューヤさんは普通にやっても勝てるのにあんな勝ち方をしたんですか?」


「身体能力で戦うと殺しちゃいそうだったから、《アイテムボックス》に入ってた『ドラゴンの胃液』を使ったんだ」


「《アイテムボックス》?それならわざわざ口に含む必要があったのですか?」


「え?スキルなしで勝つって決闘の前に言ったじゃん?」


「もしかして、その為だけにわざわざ口に『ドラゴンの胃液』を含んだんですか⁈」


「まぁ《状態異常耐性》もあるから痛くはないしな」


「はぁ、男というのはよくわからない生き物ですね」


その言葉は女に使われることが多いと思うが、お互い同じことを思っているのか。


「そういえばシューヤさんは、スキルいっぱい持ってますよね?何があるんですか?」


〜〜〜


あの後は俺のスキルを説明したり、この世界のスキルの常識を何気なく聞いたり、メイと少し話しただけだな。


スキルの常識というのは魔法は普通スキルに含まないらしいこととか、普通の人は2、3個くらいしか持っていないこととかだ。


そうして朝起きて、村長の家で飯をもらって、出発した。


ちなみにメイは村長のお孫さんで、両親は魔物から村を守って死んだらしい。


出発直後に俺が泳いだ方がメイが泳ぐより圧倒的に速いとわかったので、背中にメイを乗せて、平泳ぎをしている。

メイはスピードでかなりテンションが上がったみたいだ。


そうして冒頭。

『神速の魔王』?


神速でクリアしてやるよ!


ありがとうございます!

次回で魔王倒す予定です!


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