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92話 これ訴えられるんじゃ……。

ハイアが目覚めた事で俺達への拷問は終わった。俺は腹いせにラギの足をつついて鬱憤を晴らしたが、ラギがマジ泣きしつつマジギレしたのできっとまた宿のオヤジに誤解されたに違いない。その証拠に人の気配を感じてドアを開けると、やたらと元気になりそうな食事が差し入れとして置かれていたからだ。


それは餓死しかけていたフローラが全部一人で平らげた。人語を忘れて食事を貪るフローラを見て王女だと看破出来る者は居なかっただろう。俺も知らなかったらどこかの言葉を持たない部族の女の子だと思ったに違いない。


誰に配慮したのか分からないテレビのテロップのように、食事を粗末にしていないアピールが済んだ所でハイアの尋問が始まった。


「まずは自己紹介から始めるか。俺は佐々木 流星だ。リュウセイでいいぜ。お前の名前は?」


「……」


分かり切っている事から訊いてんのにこのガキ……そっぽ向いて知らんぷりしてんじゃねぇよ。俺が紳士だからいいようなものを、三度の飯より幼女をいたぶるのが大好きな野郎だったらちょっと人様にお見せ出来ない有り様になってんぞコラ?


「リュウセイじゃダメね。この子にいっぱい酷い事をしたんですもの。ここは優しさ担当の私が――」


「こっちくんなよ、まな板エルフ」


「な、何ですって!? 尻の穴に『魔法マジックアロー』ブチ込むわよ!?」


これが優しさ担当ならウチのパーティーには鬼畜しか居ねぇな。


「しかし、情報を吐かせなくてはならないのも事実です。ここは拷問しませんか?」


「お前らは言語を介したコミュニケーションを知らん野蛮人か」


シューティもサラッと拷問とか言ってんじゃねぇよ。……俺も恒常的にそんな扱いを受けている気がしないでもないが、もっと穏便な方法から提案しやがれ。


そんな俺達を見てマロンが鼻で笑いやがった。


「はっ、相変わらず力に物を言わせるしか選択肢が浮かばないとは、ここはバカばっかです。隷属化されているなら言う事を聞かせるのは簡単です」


「あ、そうじゃった」


マロンの言葉にラギが今思い出したという感じで手を叩いた。


「隷属化の魔法で縛られておるから、その小娘はリュウセイの命令には絶対服従なのじゃ。アスラがそう言っておったわ」


「おいおい、さっき俺がお願いしてもカンペキ無視だったじゃねぇか」


命令口調じゃなけりゃダメってか?


「名前を呼んで言葉に魔力を込めなければその手の魔法は効果を発揮しねぇですよ。呪歌と同じで……むぐ」


うっかり呪歌が使える事を漏らしそうになったマロンの口を塞ぎ、俺は言われた通り魔力を込めてハイアに命令してみた。


「ハイア、何か無意味に馬鹿な事をやってみろ」


実に適当な命令だが、こんな命令を俺を嫌っているはずのハイアが実行するはずも無いので試すにはいいだろう。


俺が魔力を込めて命令を発した瞬間、ハイアの目から意志の光が消え、毛布を被っただけだった全裸のハイアがバッと毛布を捨て去り、人差し指と中指を乳首に当てて高らかに叫んだ。


「こんにちは! こんにちは! こんにちは!」


こんにちはと言う度に人差し指を開いて乳首を見せるハイアは掛け値無しに馬鹿だった。というか命令した俺が言うのもなんだがあまりに酷い絵面だ。これ訴えられるんじゃ……。


「何をやらせてんのよっ!!!」


オリビアのドロップキックを受けてブッ飛ばされつつ、俺は適当な命令は止めようと誓ったのだった。


「こんにちは! こんにちは! こんにちは!」


あ、命令解除しなきゃ……。

「こんにちは!!!」


少しずつブクマして下さっている方々に感謝しつつ練り上げました。


……練り上げておいてこの下品さはいかがなものかというご批判は甘んじて受けます!


あ、嘘です。失笑くらいで勘弁して下さい。

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