8話 格ゲーの必殺技ゲージみたいなモン
30分ほど泣いたらグリューネも落ち着いた様だった。
「・・・ゴメン。もう大丈夫」
目は真っ赤だし、耳は垂れ下がってるしで全く大丈夫になった様には見えなかったが、ここは本人の強がりを尊重しておこう。俺が何か言うと地雷を掘り起こすからな。
「じゃあ書くぞ」
「・・・」
急にしおらしくなりやがったな。思うにコイツは静かにしている時より、俺にツッコミを入れている時の方がいいな。俯いてイジイジしているグリューネ(仮)を見ていると調子が狂っちまう。
・・・チッ。前言撤回だ。地雷を踏み抜こうが知った事か!
「おい」
「・・・何よ」
「てい」
俺は俯いたままのグリューネ(仮)のスカートをファサ~っとめくった。白い肌に白いパンツが俺の目に飛び込んでくる。うん、やっぱりもっと肉を付けた方がいいと思うぞ。
「な、な、な」
突然の事態にグリューネ(仮)は混乱している様だが、俺は爽やかな笑顔で告げた。
「もっと肉食った方がいいぞ。男はムチッ!! とした方が好きだからな!」
しばし混乱し、俺のセリフに呆然としたグリューネ(仮)は徐々に青白かった顔を赤く染めていき、真っ赤になった途端に平手打ちを俺の頬にぶっ放して来た。
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカーーー!!!」
その平手が俺のライフをガンガン削って来る。どうやらグリューネ(仮)の顔色は格ゲーの必殺技ゲージみたいなモンらしいな。
・・・この乱舞いつ終わるんだろうね? もしかしてオラオラですかぁーッ!? ってか?
1ずつ減っていくライフを見ながら、俺はそんな事を考えていた。
「ほんっと!!信じられないわ!!何考えて生きてんのよっ!!!」
グリューネ(仮)は怒りでテンションを取り戻した様だ。へっ、元気になって何よりだよチクショウ。俺の生命力を80も削りやがって。おー痛ぇ。
「怒るなよ。減るもんじゃあるまいし」
「減るわよ!!価値とか尊厳が!!」
露出プレイ好きには今更だと思うがな。グリューネ(仮)の尊厳は0よーってか。
「・・・またくだらない事考えてるんじゃないでしょうね・・・」
「考えてねぇよ。そろそろ本題に行くぞ?」
「ふんだ・・・でも・・・」
「あん?」
グリューネ(仮)は俺をちらちら見ながら口をもごもごさせている。なんだ?惚れたのか?
「えと・・・・・・・・・ありがと」
・・・俺の聞き違いじゃなけりゃ、今コイツ、礼を言った・・・のか?
なんだよ、素直なとこあるじゃん。いいぜ、人間素直に生きないとな。エルフだけど。
俺はちょっと赤くなっているグリューネ(仮)の肩に手を乗せて言った。
「やっぱり露出出来て嬉しかったんだな?」
「違うわよこのバカーーーーッ!!!!!」
もう一発、でかいビンタの音が洞窟に響き渡った。やっぱりコイツ素直じゃねぇや。