79話 いかん呪われた!?
「もう全部ぶっちゃけるわ! 私はグランブルー王家の17番目の王女なの!!」
「絶倫だな、お前のオヤジ」
17人も子供を作るな。俺の妄想より多いじゃねぇか。
「全ては王家から勇者を出す為よ。数撃ちゃ当たるって寸法よね。あ、ちなみにお兄様は24人居るわ」
「41人も作る前にもう少し効率のいい方法考えろよ!!!」
「わ、私に言われても・・・」
どのみちグランブルー王家の先は長くなさそうだ。41人も居れば後継者争いで滅茶苦茶になるに違いない。
「それに、子供がまた頑張って子供を産みまくったり作りまくったりすれば倍々で確率が上がるって・・・」
「人間でネズミ算してんじゃねぇよ・・・国が傾くだろうが・・・」
頭が痛くなって来た。そんなにアホみたいに王族を増やしてどうすんだよ!
「で、でもね? もし勇者かそれに類する優秀な子供が出来れば次の王はその親に譲るってパパ言ってたし! お兄様やお姉様の中には適齢期を過ぎちゃって諦めてる人も沢山居るから・・・」
つくづく子は親を選べない現実を象徴してる王家だな。
「何だよ、お前女王にでもなりたいのか?」
「うん!! お仕事は臣下に任せてイチャイチャ贅沢に暮らしたい!!!」
「クズか貴様」
絶えてしまえそんな王家。
「そもそもだな、王家に勇者が欲しいならアレクセルフィを誑し込んで自分の奥さんにするとか、逆に名前が売れてて強い奴を旦那にするとかすりゃ済む話じゃねぇか」
俺の余計な一言にフローラは大きく口を開けて呟いた。
「・・・き、気付かなかった・・・リュウセイってば何て恐ろしい知恵の持ち主なの・・・」
「よし分かった。もうポンコツ王家の王女にゃ用はねえ。宝石置いてお前帰れ」
「イヤッ!!! リュウセイ、私のお婿さんになって!!! そして2人で怠惰に暮らしましょう!?」
「そんな最低のプロポーズがあるか!!! ええいくっ付くな!!!」
俺の足に全力でしがみ付くフローラは足をブンブン振っても決して離れる事は無かった。いかん呪われた!?
「リュウセイ、そのまま動かないで。私の持てる限りの魔力を振り絞ってその女を殺すわ。大丈夫、巻き込まれてもリュウセイなら死なないから」
《もう黙って見ていられません、私が頭から順に削り取ってあげましょう!!!》
《ヒィ! 妾はあんまりぐちょぐちょなのは怖いのじゃ!!!》
「・・・うるせえですよ・・・も少し静かにするです・・・ぷひー・・・」
「全員落ち着かんかバーローーーーーッ!!!!!」
両手でオリビアを押さえ空いている片足でシューティーを制し俺は本気で怒鳴った。
「分かった!! 子作りには協力出来んが強い婿探しになら協力してやる!!! それでも納得出来ないならお前の宝石はイラン!!! そして今後メシも奢らねぇしパンツの金も返して貰うぞ!!!」
「うぐっ!? そ、それは・・・」
そもそも人間の手にある宝石は一つじゃねぇんだ。無理難題を吹っ掛けるつもりなら別のを探すだけさ。
「どうした、今決めないと俺はもう知らんぜ? ・・・ってオリビア、バチバチさせるな、痛い!!!」
さっきからオリビアの魔法が微妙に俺に当たってて痛いんだよ!
「どいてリュウセイ、その女殺せない」
「殺すな!! もうマジ勘弁して!!!」
ようやくフローラが渋々説得に応じた時には俺の生命力は4分の1ほど削られた後の事だった。
腐れ縁とは断ち切れないからこそ腐れ縁なのかもしれませんね。