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78話 俺はそんな場所から言葉を発した覚えはねえ

「ただいま・・・ってリュウセイ、なんでグッタリしてるのよ?」


「うるへー・・・」


性獣達に絡まれる俺の気持ちになってみろや。噂に聞くSAN値とやらがガリガリ削られる音が聞こえるからよ。思わずステータスを確認しちまったぜ。


「リュウセイ、疲れてるです? またマロンがしてやっても・・・」


「止めてくれ、特に述語を抜いて喋るのは。オヤジやフローラに聞かれるとまた食いつくから」


「「?」」


「いいから早く中で待ってる痴女に理性パンツを与えてやってくれ・・・」


フローラにとってパンツは拘束具の様な物に違いない。脱いでると普段の3倍くらいテンション上がってるからな。ガキか。


「分かってるわ。入るわよフロー・・・あっ、ちょっと!! 人のベッドで何してるのよ!!! 信じらんない!!!」


「はえ!? も、もうちょっとだから待っ――」


俺が知っているのはそこまでだ。何故なら次の瞬間、耳を塞いでダッシュで逃げたからさ。


だから断じて部屋でフローラがナニをしていたかは俺には預かり知らぬ事なんだってばよ。




しばらく外で蟻の巣に葉っぱを突っ込み、釣りをして時間を潰した俺は部屋に戻った。異世界にも蟻って居るんだな。


部屋には床に正座させられたフローラとゴミを見る目で仁王立ちするオリビアが居て、マロンは絶賛お昼寝中だった。幼児が!


「あ、リュウセイたしけて~」


「反省の色が無いわね。もう一時間追加しようかしら?」


「うきゅ~・・・」


黙った。これからはフローラの相手はオリビアに任せよう。


「で、宝石を寄越す気になったのかよ、あぁん?」


「リュウセイ、チンピラみたい・・・」


おっと、これじゃ俺のイメージが崩れるな。自戒自戒。


「ダメよ~、これが無くなったら私無一文だモン。大手を振って帰る為にはちゃんとした成果がなきゃイヤ~」


俺の股間を見ながら言うな。即物的過ぎるだろうが。


「俺じゃなくてもお前ならそのうちいい男が見つかるさ。・・・多分な」


見つからないと思うが俺の知った事じゃねえ。


「リュウセイの代わりになる人なんて居ないわよ~。・・・ばれちゃってるから白状するけど、私、生まれつきの魔眼持ちなの。そこそこの『鑑定眼』で、スキルや魔法、称号までは見えないけど、能力値くらいは見えるわ。レベル80越えなんて初めて見たし、その他の能力値も目を疑っちゃった。私が今後一生世界を彷徨っても絶対リュウセイ以上の人は見つけられないって断言してもいい!」


「断言されてもなぁ・・・」


「ねぇ~、いいじゃない~。リュウセイは気持ちいい事だけして宝石が手に入るし、私は気持ちいい上に強い子供を持って帰れるし。いい加減、帰りたいな~って思ってたのよね~」


「俺はその辺に生えてる野花じゃねぇんだ。種だけ無責任にバラ撒いて帰れるかよ」


子供を作るってのは責任を持つ事だ。交尾するのは個人の勝手だが、それで生まれて来る子供は親を選べねぇんだし、俺としては後腐れなかろうとそういう事はしたくない。


「アラ、案外固いのね?」


「テメェはドコ見て言ってんだよコラ」


いい加減股間から目を離せ。俺はそんな場所から言葉を発した覚えはねえ。


「平行線ね。リュウセイ、窓から叩き出しましょう」


「ひぇえ!!」


対フローラには容赦ねぇな。


「どうしてそんなに俺の子供を作りたいんだよ。そもそもその理由すら俺は聞いてねぇぞ?」


「あー・・・ちょっと外聞を憚る事情というか、その~・・・」


「知るか。これ以上話す事が無いなら帰れ。もう俺に近付くなよ」


「わ、分かった、言うわよ!! ・・・その・・・ウチのパパがどうしても自分の家系から勇者を出したいって・・・」


「はぁ?」


何言ってんだコイツ? 勇者って・・・あんなヘタレを生産してどうする?


「今の勇者は教会派だから、パパは悔しい思いをしているの。勇者を擁している勢力は発言力が強くて、たかが坊主のクセに王であるパパの事を舐めてるし・・・」


・・・・・・・・・ん?


「あっ!? グランブルー!! まさか、最も古き血を持つグランブルー王家!?」


オリビアが驚いてフローラを見ると、フローラはにんまりと笑ってウィンクした。


「えへへ、私お姫様なんだよ、リュウセイ。その落差に惚れた?」


「・・・王家も長くねぇな・・・」


「ひ、酷い!?」


面倒な気配をひしひしと感じ、俺は夢の世界に旅立っているマロンを心底羨ましく思ったのだった。

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