74話 お前には交渉って概念はねぇのか?
「で、他の宝珠の情報は知らねぇのか?」
落ち込んでいても話が進まないので、俺は気を取り直して前向きに生きる事にした。人生のチャンスは前にしか転がってねぇって爺ちゃんが言ってたしな。その割には後退する時も全力だったけど。
「そうね・・・その種族のそこそこ偉い人に話を聞けば分かると思うわよ? ただ、相手を選ばないと不味いけど・・・」
「他の方法もあるです。六魂珠に魔力を注ぐと近くにある六魂珠と共鳴すると聞いた事があるです。ちょっと試してみるですよ」
「どれどれ・・・」
オリビアが試しに六魂珠に魔力を注ぐと宝珠が光り出し、近くにあるマロンの持つ六魂珠と光の線で結ばれた。
「おお、便利な機能が付いてるじゃねぇか! これなら相手がしらばっくれても持ってれば分かるって寸法だよな!」
「へぇ・・・こんな機能知らなかったわ・・・あら?」
オリビアの六魂珠から出た光の線がもう一本、ドアの方に向けて伸びている。それはつまり・・・
「お、おい!? まさかこの近くにもう一個あんのかよ!?」
「そ、それは想定外です!? リュウセイ、早く持ち主の口を塞ぐです!! もしくは奪い取るですよ!!」
「奪い取らねぇよ!! お前には交渉って概念はねぇのか? ったく・・・」
相変わらず追い詰められるとすぐテンパりやがる。俺は盗賊じゃねぇっての。とりあえず手持ちにいくらあったかなと考えながら俺がドアを開けると、そこには見覚えのある人物が一人立っていた。
「お、お兄さん!? 助けて!! 私のおっぱいが急に光り始めたの!!! どうしよう!? 吸って貰えば治る?」
そう、そこには服の下で光る六魂珠の光を自分のおっぱいと誤認して無い胸を寄せて上げるビッチ姉ちゃんが居たのだった。
ジーザス、神は死んだんだ。祈るべき対象を探して俺は晴子大明神に祈りを捧げるしかなかった。
こんなに絡んで来たんだからもう無関係ではいられないキミとボク。