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73話 ・・・達成感ねぇなぁ・・・

俺が宿に帰るとオリビアとマロンは非情にも朝飯を堪能している所だった。何故か俺に纏わりついて来るビッチ姉ちゃんもいる。


「・・・俺のメシは?」


「知らない」


「マロンは育ち盛りなので分けられないです」


「美味しく頂いてるわよーん。あふぅ」


「ハッハー!! 兄さん、普通のメシは切らしちまったが、特別なメシなら用意出来るぜ!!」


どうやら俺は朝飯を抜くしかないらしい。朝から毒を摂取する気はサラサラねーよ。


「・・・ま、いいや。お前らに大事な話があるから、メシ食ったら部屋に戻って来いよ」


「え? 朝からするの? お化粧してからでもいーい?」


「アンタにゃ言ってねぇ!!」


「俺ももう若くないからなぁ、あんまり役には立てないぞ?」


「アンタにも言ってねぇ!!!」


どうしてこの準レギュラー達はそこまで性に対して前向きなのだろうか? むしろこれがこの世界のグローバルスタンダードだとでも言うんじゃなかろうな?


「とにかく、俺は先に行ってるからな」


これ以上この魔空間に居る事を本能が拒否したので俺はサッサと部屋に帰った。部屋の中は片付いていて、いつの間にか俺が吹き飛ばした窓は新しく入れ替わり、朝の狂騒を窺わせる物は残っていない。しばらく待つ間、俺はベッドにダイブして横たわった。


「くあぁ・・・眠いわ腹は減るわ手の平は痛ぇわ金は無駄に減るわ周りは変態ばっかりだわ、まるでいい事がねぇじゃねぇか。頑張れよ俺の幸運」


《こんなに可愛い聖剣が一緒に添い寝してくれる以上の幸運など無いと思うがの?》


《こんなに凛々しい愛機に跨れるマスターは世界に2人と居ない果報者ですよ?》


「うるせー無機物ども。おっぱいを手に入れてから出直して来い」


ギャーギャー騒ぐ2人を放置して俺はオリビアとマロンを待った。えぇと、確か宝珠とかいう奴の話をすりゃいいんだよな?


「でもなぁ・・・宝珠ってくらいだからなぁ・・・簡単には手に入らねぇんだろうなぁ・・・」


しかもそれが6個だ。考えただけで気が滅入るぜ・・・下手すりゃ年単位で帰れないかもしれん。


「ただいま。話って何よ」


「ただいまです。マロンは食べると眠くなるから手短に話すですよ」


うぬぬ、何て生意気な奴らだ。が、ここでキレても話は進まない。俺は大人の男として余裕のある所を見せなければならない。すぐむくれる子供とは違うのさ。フッ。


「シリューから聞いたんだけどよ、俺が帰る為にはそれぞれの種族に伝わってる宝珠とかいうやつが必要らしい。お前ら知ってるか?」


「宝珠・・・六魂りっこん珠の事?」


「正式名称は聞いてねぇな。だけどそれで合ってるんじゃねぇか? 数も六だしよ」


「知ってるわよ、というか持ってるわ」


「マロンも持ってるです」


そう言ってオリビアとマロンは懐から勾玉の様な形をした宝石を取り出した。オリビアのは緑色で、マロンの物は緋色をしている。色は違うけど同じ物みたいだな。


「そうか、持ってんのか・・・・・・・・・って何で持ってんだよ!!!」


俺の余裕のある男の演技は一瞬で吹き飛んだ。さっきの俺の悲壮な決意を返せ!!!


「な、何でって、おうぞ・・・違った、そ、それなりの家格の家に生まれたら持ってるわよ。ね、マロン?」


「そ、そうです! マロンはいいとこの子なので持ってるです!!」


「嘘つけや!! 世界に6つしか無いモンがそんな簡単にあってたまるか!!!」


俺の叫びにキョドッていたオリビアとマロンが怪訝な顔をした。


「世界に6つだけって・・・何言ってるのリュウセイ?」


「六魂珠は6種類ですが、6個しかない訳じゃないですよ? 元々は1個だけだったらしいですが、六魂珠は100年に一度の周期で分裂する性質を持ってるです。今では1、2、4、8、16と、この400年でそこまで増えてるです。ドワーフのは400年の間にいくつか失われて12個だったはずです」


「エルフも同じね。私は20年くらい前に兄様が持って来てくれたっきりだけど、いくつか失われて12、3個だったと思うし」


「あ、あのアホ魔王が・・・! ちゃんと説明しやがれってんだ!!!」


ハードルが下がって喜ぶべき場面のはずなのに、俺の心の中はモヤモヤしたもので溢れ、叫び声を上げずにはいられなかったのだった。


とりあえず3分の1ゲット! ・・・達成感ねぇなぁ・・・

青い鳥は裏庭に居るんですね(微笑)

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