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62話 むしろそんなペットなら俺も欲しい。

俺は纏わり付いて来るビッチ姉ちゃんをパーティーメンバーと思われる優男に擦り付け、そそくさと宿屋を後にした。あのままだとマジでいつの間にか俺の仲間になってしまいそうな気がしたからだ。冗談じゃねぇ、俺は晴子さんに操を立ててんだ。ビッチ姉ちゃんに食われてたまるか!!


「一回だけ!! お試しでいいから!!」


そんな捨て台詞をのたまうビッチ姉ちゃんには今後も悩まされそうな気がビンビンするが、かと言って今の俺達にこの街から移動するアテは無いから我慢するしかない。・・・畜生、なんで異世界でも資本主義の制約を受けてんだよ。俺は魔王を倒したんだぞ!? ・・・まぁ、勢い余って勇者も倒したんだが。


「とりあえずギルドで討伐系の依頼を探そうぜ。出来れば稼げるやつを」


「そうねぇ、この辺で稼げそうな魔物って居たかしら?」


俺の現代知識チート(笑)では稼げる魔物と言えば・・・はぐれているスライムや金属質なスライムだな。もしくはハメて安全に倒せる方法が確立している魔物なんてのも捨てがたい。逆にアンデットは嫌だ。特に腐肉系は。後ドラゴンも勘弁して欲しい。


・・・ところで何か忘れている気がするんだが、どうにも思い出せない。朝からドタバタしてたせいで何か重要な事を忘れている気が・・・


「リュウセイ! 早く来ないと置いて行くわよー!」


「何をしてるです、急ぐですよ!」


「あ、おう、今行く!」


ま、重要な事ならその内思い出すだろう。今はこっちだな。








ギルドの中はそれなりの数の冒険者達で賑わっていた。中には昨日の現場に居た奴も居るらしく、俺に手を振って来る奴もいる。俺もにこやかに手を振り返してやった。


そしてカウンターの方を見たが、あの巨乳美人のお姉さんと恐らく処女を失ったであろう組合長は居なかった。ただ、お姉さんの座っていたカウンターの前には目が取れ、腕の部分が半分千切れて中綿がはみ出している人形が置かれているだけだ。一つだけ残った虚ろな目から俺は目を逸らした。


「で、何か手頃なのはあんのかよ?」


「そうねぇ・・・あ、コレなんかどうかしら? ここからちょっと遠いけど、報酬は美味しいわよ?」


「ほう・・・どれだ?」


オリビアお勧めの依頼にはこんな事が書いてあった。




対象:ドラゴンゾンビ


期間:いつでも(なるべく早く!!)


出現位置:西の森


報酬:金貨10枚(一体)


推奨ランク:C以上


備考:発生からそれほど日が経っていない為、魔法や特殊能力はまだ無いと推測されるが要注意。体長は5~10メートル前後。




「却下」


「何でよ!!」


何でもクソもねぇよ! ドラゴンでゾンビって俺が戦いたくない2大要素をふんだんに盛り込みやがって!!


「デカいのもクサいのもドラゴンも却下だ!! もっと小さくて弱くて人に害の無い、いい匂いがする魔物の討伐がいい!!」


「そんな魔物討伐する必要無いじゃない!?」


至極もっともだな。むしろそんなペットなら俺も欲しい。


「そもそも弱い魔物じゃ稼げねぇですよ」


俺だって分かってらぁ。だがあまりにもオリビアが俺の嫌がるポイントを付いて来るモンだからつい・・・


「ドラゴンゾンビくらい、私の魔法だけで十分だから付いて来るだけでいいわよ! そういう約束だったでしょ!?」


「むぐ・・・」


そうか、そんな約束もしてたな、確か。約束を持ち出されると俺としても弱い。爺ちゃんに口を酸っぱくして約束は守れって言われて育ったからな。


当の爺ちゃんはよく永遠の愛を誓った婆ちゃんに浮気を責められ、眉毛を片方剃り落とされた上、板の廊下で正座させられている姿を見て、俺は約束の大切さを学んだのだ。逆説的に。


「・・・はぁ・・・分かったよ、それでいい。金貨10枚稼げばしばらくは調べ物に専念出来るだろうし・・・」


「やった! じゃあ決まりね!!」


嬉々として依頼の紙を剥がしたオリビアは、実に楽しそうな足取りでギルドを後にした。


ドラゴンゾンビかぁ・・・気乗りしねぇなぁ・・・

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