57話 そしてお前が叩いているのは俺じゃねぇ。
「やっぱりお子様じゃねぇかよ・・・」
「すぴー・・・ぷぴー・・・」
「仕方ないわよ、色々あって疲れたんでしょ。私も今日は疲れたわ・・・」
例によってマロンは俺の背中で爆睡中だ。遊園地に行った夜の子供その物だよな。
「まぁな。でも銀貨8枚も稼げたんだから良かったじゃねぇか。毎日これくらい稼げば調べ物をするにも旅に出るにしてもそうそう困る事はねぇだろ?」
「・・・同じ金額を稼ぐにしても、私は次は討伐系がいいわ。もうあんなのはコリゴリよ」
特に命の危険も無く稼げるんだから採取でいいのに。
「俺の居た世界は動物を一般人が殺す事なんて殆どねぇんだ。解体だって出来ねぇぞ?」
「リュウセイは付いて来てくれるだけでもいいわよ。私が魔法で狩るから」
そういう事なら構わねぇか。オリビアが一人で行ってるのと変わらないが、俺は標的が見つかるまで採取しててもいいしな。採取王に俺はなる!
「むにゃ・・・ごはんです・・・ふひひ・・・」
もう食べたでしょお婆ちゃん。
「はぁ・・・こうしてるとまるで親子みたいだよな、オリビア」
ズダーン!!
突然オリビアがこけた。ビックリした~。何してんのコイツ?
「だ、だだだ誰がふふふ夫婦と親子なのよ!?」
「いや、夫婦は言ってないが・・・?」
何やらテンパっているオリビアは盛んにイヤイヤと首を振りながらバシバシと手近の物を叩いている。どうでもいいけどその仕草オバサン臭いぞ。
「へぷっ!? へぷっ!?」
そしてお前が叩いているのは俺じゃねぇ。寝ているマロンの頭だって事にそろそろ気付いてくれ。
「ばばば馬鹿な事いい言ってないで行くわよ!!」
そう言って俺を追い抜いたオリビアの足取りは疲れていると言った割には結構軽快そうだった。