56話 やっすい駄フラグだな・・・
「おら、食えよチビっ子」
「チビっ子じゃないです、マロンです! で、でもそこまで言うなら食ってやるです」
別にそこまで熱心に勧めているワケじゃ無いんだが・・・いいか。コイツの意地っ張りなのはもう分かってる事だ。
「はぐはぐはぐ・・・!」
「お、いい食いっぷりだねぇ嬢ちゃん。オマケしておくからこれも飲みな。ドワーフにゃあ必須だろ?」
宿屋のオヤジがマロンに飲み物を差し出しているが、それ酒じゃねぇの?
「ドワーフは殆ど底無しっていうくらいお酒に強いのよ。まるで水みたいに普段から飲んでるの。ドワーフには血じゃ無くお酒が流れてるって言われるくらいにね」
ああ、そういやそういう話も聞いた事があるな。マロンも感激してゴクゴク飲んでいるが酔う気配も無さそうだ。見た目少女が酒をがぶ飲みしてる姿には違和感があるがな。
「うめえです、うめえですよぅ・・・」
飲んで食いながらマロンはいつしか涙を流していた。よほど食生活が貧しいのが堪えたみたいだ。そこまで喜んで貰えれば俺もそんなに悪い気はしないね。
「アナタも人がいいわね・・・あ、おじさん、お代わり」
待て、いつからキサマはここに居た、ビッチ姉ちゃん。
「・・・アンタの分は俺の奢りじゃねぇぞ?」
「え? 何で?」
心底意外そうな顔をして俺を見るんじゃねぇ。
「何でただの顔見知りのアンタに俺が奢らにゃならんのだ。そんな義理はねぇぞ?」
「そんな・・・私を餌付けしておいて、ヒドイ・・・」
それって昨日ステーキを一口やった事を言ってんのか? あれって仲間になるフラグだったの? やっすい駄フラグだな・・・
「自慢じゃ無いけど、私、お金は無いわ!!」
本当に自慢じゃねぇな。
「でもアナタが望むなら、私抱かれてもいいわ!!!」
アンタそれ言いたかっただけじゃん!
「悪いけど間に合ってるよ」
「そこをなんとか!」
粘るなよ。
「・・・奢ってやるからこれ以上絡まないでくれ・・・あとオリビア、尻を抓るな。痛い」
「バカ・・・」
爺ちゃん、女は魔物だよ、ワケ分かんねぇ。
「兄さんは今日も夜はお盛んだな!! ドワーフもエルフにゃ劣るが夜は激しいぜ!! だから今晩も俺の特製料理をだな・・・」
「えうえう、うまいです! お代わりです!」
「私も参加したいー」
「・・・リュウセイのバカ・・・」
俺は聖徳太子じゃねぇんだから一斉に喋るんじゃねぇ。
「静かにメシくらい食わせてくれ・・・」
当然俺の望みが叶う事など無く、その後2時間、やかましい夕食が続いたのだった。
18禁小説ならこのまま4人で部屋に雪崩れ込む流れでしょうね。オヤジのメシを食って。そしてピンクローパーで縛ったりして緊縛プレイ・・・しかし強調する胸が無い! 残念!!