55話 ・・・俺が死にたくなるぜ・・・
「・・・・・・・・・しにてぇです」
時間と登場人物は違うが何かデジャヴを感じるな。
「な、なぁ、気にするなよ。長く生きてりゃそういう事もあるさ、な?」
少女に掛ける言葉として適当なのかどうかは分からないが、俺はとにかく慰めようとしたが・・・
「・・・ねぇです。今まで生きててあんな目にあった事なんてねぇです」
クッ、同じ様な返しをしやがって。
「ほら、このままじゃ夜になっちまうぞ? 送って行ってやるから来いよチビっ子」
「マロンはチビっ子じゃねぇです!! れっきとした大人のオンナです!!」
「リュウセイ、それは本当よ? その子、ドワーフだもの。それ以上大きくはならないわ」
なぬ? ドワーフ? ・・・女も居るのか・・・ロリコンには夢の様な種族だな。合法ロリだ。
細い脚に薄い胸、低い身長。どうみても小学生なんだが、まぁ、エルフのオリビアも中学生と大差無いからそういう物なんだろうな。何だよこの世界、どっかのロリコンの精神世界なんじゃねぇの?
「それにエルフと仲良くしてる人間なんて信じられないです! マロンを誘拐して奴隷商に売りつけるに決まってます!!」
「・・・エルフとドワーフはとことん仲が悪いのよ。私は別にそんな事は無いけど、どちらの種族も8割方は相手を嫌ってるわ」
なるほど、エルフとドワーフが仲が悪いのは俺でも知っているが、恩人にその態度は頂けねぇな。
「おい、チビ。助けられておいてその言い草はねぇんじゃねぇのか? ドワーフってのは恩知らずの集まりか?」
・・・俺の予想が正しければ、これでアクションがあるはずだ。何故なら・・・
「なっ!? し、失礼な!! ドワーフは恩を売った事は忘れても恩を受けた事は忘れねぇですよ!!」
という事だ。ドワーフは義理人情を大切にするって知識もそのままみたいだな。
「じゃあ俺達に従って貰おうか? 俺はお前を助けた。そしてオリビアはお前のダメになったパンツの代わりを――」
「わーーーーー!!! そ、それを言うなです!!!」
「・・・・・・」
その事に対してはオリビアも触れられたく無い様で、赤面して沈黙を守っている。・・・いい年して人前で失禁したら触れられたくは無いだろう。
「じゃあこれ以上俺達を困らせないで貰おうか。サッサと立て。そして帰るぞ」
「う~~~~~~~~」
これのどこが大人なんだよ。駄々を捏ねる小学生の方がまだ可愛げがあるぜ?
それでもチビ・・・マロンはドワーフの流儀が勝ったのか、渋々立ち上がりキッと俺を睨んだ。
「気に入らねぇですけど助けられたのも事実なんで付いて行くです。マロンは腹減ったです」
・・・何で俺にメシをねだるんだ? むしろお前が奢る流れだろ?
「マロンはもう無一文です。今日は収穫が無かったから野宿するです。ちなみにもう3日も何も食ってねぇです・・・」
そこまで言うと、マロンはへなへなとその場に崩れ落ちた。寝っ転がっていたのは体力節約の為でもあったらしい。
・・・なんてこった。欠食児童を拾っちまった・・・
結局、マロンは俺が背負って街まで帰る事になった。以下今日の戦利品。
ピンクローパー:8キロ
欠食ドワーフ娘:一匹
汚れたパンツ:2枚
今日の出会い:プライスレス
・・・俺が死にたくなるぜ・・・
ピンクローパーはピンクロー〇ーと書こうかと思いましたが、余りに際どいかと思い留まりました。・・・あ、書いちゃってますね。まいっか!