5話 高度な露出プレイだったのかよ
「ねぇ・・・ねえ!」
人がせっかく気持ち良く寝てるってのに、誰だよ・・・俺は眠いんだ。もうひと眠り・・・
「ねえってば!! 人の家で寝ないでよ!! 起きろーーー!!!」
「うるっせえぞコラァァァアア!!」
「きゃっ!!」
跳ね起きた俺の目の前に居た女の子が俺の声に驚いて尻もちをついた。白い下着が見えてしまっているが、いかんせん、線が細過ぎる。もう少しこう、ムチッとしていないと、俺の聖剣は反応しな・・・あ、しまった。朝は勝手に抜き身になるんだよな。男だモン。
「もう、なによ!! 勝手に人のい、え、に・・・」
うむ、マズイ。俺は跳ね起きた。女の子は尻もちを付いている。女の子の目線は俺の腰辺りだ。つまり、聖剣が俺のズボンを押し上げているのはバレバレだ。何かもうここまでハッキリ見られると隠す気にもならんね。いいさ、存分に見るといい。
「き、き、き、キャァァァァアアアア!!!!」
俺の股間を10秒ほど見つめた後、女の子は洞窟に響き渡るほどの大声で悲鳴を上げて尻もちをついたまま凄い勢いで後退し、洞窟の壁に後頭部をぶつけて静かになった。
・・・あれ、死んだんじゃね? うっそ、これって俺が犯人になんの ?凶器はナニ? 笑えねぇ・・・
こんな死に方したらダーウィン賞受賞しちまうよ、この子。可哀想にな。
せめてパンツだけでも隠しておいてやろうか。優しいな俺。
俺は丸出しになっている女の子のスカートを直してやると、手を合わせて拝んだ。
「短い付き合いだったけど、来世では幸せにな・・・」
「死んでないわよ!!!」
うおっ! びびった、生きてんじゃん。
「なんだよ、死んだ振りしてパンツを見せるっていう高度な露出プレイだったのかよ」
「違うわよ!!! アンタにはデリカシーってもんが無いの!?」
俺のも見たんだからフィフティフィフティだろ?
「すまん。で、それはともかく、俺腹減ってんだけど? この家は客に茶も出さんの?」
「アンタが・勝手に・私の・家に・居座ってるんでしょうが!!」
沸点低いな。晴子さんなら茶どころか朝食くらい勧めて来る所だぞ。仕方無い、背に腹は代えられん。
「マジで悪かった。実は俺、道に迷ってさ。昨日から何も食ってないんだよ。頼むからなんか食うもんを恵んでくれない?」
異世界人とかどうとかは今は言わんでもいいだろ。この女の子も寝ている俺を叩き出したりしなかった所を見るに、そこそこ善人に違いない。頼み込めば朝飯くらいは食わしてくれるかもしれん。
女の子は俺をジト目で疑わしそうに見ている。あ、この子、よく見たらエルフじゃん。胸は小さいけど、顔はアイドルより綺麗だな。俺の好みじゃないけど。
ああ、そう言えば、俺の脳内居候共は静かだけどどうしてんだ?
そう思って目を閉じると、ビキニアーマーのまま足をおっぴろげて眠るシリューと、ヨダレを垂らして眠るセルフィが見えたので、俺はすぐに目を開けた。何の育ちの良さも感じない寝姿だったな・・・朝から嫌な物を見たぜ。
「む~~~~~・・・仕方無いわね。いいわよ、ご飯くらい食べさせてあげる。嘘は言ってないみたいだし」
「おっ、サンキュー!!」
「貴方、ちょくちょく聞いた事の無い言語を使うわね・・・なんとなく意味は分かるけど」
そうか、この世界で英語なんて通じないか。一宿一飯の義理って言うもんな。ちゃんと礼くらい言っておこう。あれ、でも日本語は通じるみたいだし・・・ま、いいか。
「いや、ありがとう。マジで助かる。このままだと飢え死にする所だったんだ」
「大げさね。ちょっと待ってて」
捨てる神あれば拾う神ありってやつだな。ありがてえありがてえ。
俺はメシを持って来てくれるらしい女の子の背中に手を合わせたのだった。