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52話 ゲスとかそういう苦情は一切受け付けん!

「キャァァァアア!!」


「ば、オリビア! 大声を出すな・・・って、この野郎!!」


俺とオリビアは早速サワリ草とやらの採取に赴いたのだが、群生地は街の割と近くにあったのだ。マジかよ、楽勝じゃんって思った10分前の俺を殴ってやりたい。


このサワリ草、特に何という事も無いピンク色の蔓の様な植物なのだが、問題が二つあった。一つは大きな音や衝撃に反応して近くの物体に強く巻き付く事。そしてもう一つは・・・


「ちょ、い、イヤッ! は、入って来ないでよ!!」


暗い空間を好むらしく、巻き付いた物の陰に潜り込もうとするのだ。つまりどういう事かと言うと、迂闊に近づいたオリビアがエロゲー状態って事だ。俺? そんなの引き千切ってやったよ。男の触手緊縛なんて誰も見たくないだろ?


「リュウセイ!! 見てないで助けてよ!!」


そうやって大声を出すからますますオリビアに群れて来るんだと俺は思うんだがね? もしかしてオリビアの一人遊びなのかもしれないな。あの宿屋でやってたみた――


「リュ・ウ・セ・イ!!!」


オリビアがお前マジ殺すぞって目で俺を見るので俺は目を逸らした。相変わらずの鋭さだな。


「分かった分かった、しばらく静かにしてろ。ついでだから採取するからよ」


このサワリ草、途中から引き千切っては商品価値が無いのだ。根っこから引き抜かなければ途端に枯れ落ちてしまうらしく、俺が引き千切った分はもう地面で灰色に変色してしまっていた。


俺はそれ以降は音を立てない様に、ソロリソロリと近づいて根の近辺を掘り始めた・・・んだが・・・


「・・・ふっ・・・」


掘り掘り。


「あ・・・はん・・・」


・・・掘り掘り掘り。


「うんっ!? ・・・やっ・・・」


・・・・・・掘り掘り掘り掘り。


「だ、ダメっ・・・そこはっ・・・」


うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!! 人の頭上で喘ぐな!!!


我慢出来なくなった俺は力任せに引き抜いた。・・・言っておくが、サワリ草の事であって別のナニかでは無い。


するとサワリ草は最後の抵抗なのか断末魔なのか、その蔓をビクビクと高速で震わせ始めた。


・・・オリビアに巻き付いたままで。


「あっ、ああ、ああああアアアアアッーーーーーーー!!!」


いかん、これは見てはイケナイ物だ。


咄嗟に俺は目を瞑り耳を塞いで時間が経過するのを待った。


・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・もういーかい?


何となくかくれんぼの鬼の様な気持ちで俺はそっと耳を解放したが、嬌声は聞こえて来ない。よし、終わったな。


そしてオリビアを見た俺は別の意味で同じ事を思った。


「・・・終わったな・・・色々」


そこにはあられもない姿で痙攣するオリビアの姿があった。残念だがどんな顔なのかはオリビアの精神衛生上お話出来ない。俺にも情けってモンがあらぁ。


そっとオリビアに来ていたローブを掛けて俺は手を合わせた。オリビアは尊い犠牲となったのだ。つまりは、


「・・・まず一本」


って事だな。


ゲスとかそういう苦情は一切受け付けん!

規約に触れないか割とドキドキするんですが、大丈夫じゃないかな~


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